2006年08月25日

「コーヒー“生産”マイスター」を、「いつか自分自身で授与できるか」という心の中の戦い〜その1

ドイツのマイスター制度の崩壊
ドイツでは13世紀のギルド制度が改良され、
1953年からは職能制度として法制化されていて、
ドイツの産業発展に大きな役割を果たしてきたとされる
「マイスター制度」
は、
各職人の
“技能と理論を実践と教育で培う制度”
で、
「高度な技術を持つ職人」
を意味しています。

ドイツでは日本とは違って、
国家がマイスター(職人の親方)を認定していますから、
「親方」や「名人」を意味する“マイスター”の称号は
熟練技術者にとって最高国家資格で、
権威があり、とても名誉な資格なのです。

ドイツでは、憧れのマイスターになるためには、
必要な技能と理論を永い年月をかけて学ぶ必要があり、
「見習い」として3年間は働きながら職業学校に通い、
さらに「徒弟」として3〜5年間の研修を受けた後、
認定試験に合格しなければなりませんし、
手工業法で指定された業種で開業するためには
マイスターの資格がなければ
起業の許可がされないというような規制もあります。

ドイツでは長い間マイスター制度が社会に定着し、
“物づくり”を底流から支えていたことで、
「ドイツ製」の品質は高く、信頼されていたわけです。

ところが、1989年に共産主義が崩壊したり、
1993年にはEU(欧州連合)25カ国が統合したり、
世界経済の激変の中で、
ついに伝統あるマイスター制度も
転換を迫られることになったのです。

3年前の2003年、
ドイツ政府はマイスター制度対象職種のうち、
53業種についてマイスターの資格を不要とし、
事実上の制度廃止を行ったのです。

その理由は、
マイスターの人件費上昇や社会保障の充実により、
ドイツ企業がコスト削減のため、
近隣諸国に安価な労働力を求めるという現象を引き起こし、
ドイツ国内で430万人を超える
大量の失業者問題の一要因となったことや、
産業界のオートメーション化やIT化により
技能や技術の機械化・標準化が進んだこと、
厳格なマイスター試験に合格しなければ開業できない、
という開業規制やM&Aの規制が経済の硬直化を生む、
などといった問題を是正するためには、
手工業法を改正し、
マイスター資格取得を義務付ける手工業の業種を大幅に減らし、
創業し易い環境を整えることにしよう、
という大きな方向転換に踏み出さざるを得なかったのです。


マイスターの本家本元のドイツが、
「マイスターの崩壊の危機」
に直面しているときに、
日本では最近になって
「伝統民族工芸職人」
志向になり、
ドイツの歴史や実態を十分に理解しないまま
マイスター制度を美化し、
NHKの「プロジェクトX」や
「ビフォーアフター」が“職人・名人・匠”などと、
さらにそれに拍車をかけることで、
あちこちの任意団体や自治体で
「マイスター」
が、登場してきました。

次回に続きます。
posted by COFFEE CHERRY at 20:24| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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