2008年11月12日

コーヒー山のヤンバルオオフトミミズ

先週の11月7日は冬の始まりを告げる
「立冬(りっとう)」
で、沖縄の短い秋も日増しに晩秋化してきました。

北山山麓1108−7.JPG
雲が多い日の北山山麓の様子ですが、
落ち葉が堆積していてフカフカしています。


今から221年前、
全国で数十万人が餓死したという天明の大飢饉のさ中の
1787年(天明7年)に
「暦便覧」
という暦の解説書が出版されているのですが、
この中で「立冬」は
『冬の気立ち初めていよいよ冷ゆれば也』
と説明されていて、
「立冬は秋分と冬至の中間にあたり、
この日から立春の前日までが“冬”」

となるわけです。

北山山麓1108−9.JPG
北山山麓は土着菌やキノコも豊富で、
まだ撮影出来ていませんが
常緑高木の上の方で、姿は見えないのですが
「ホー、ホー」とフクロウ科の
コノハズクが鳴いています。


9月23日(火曜)「秋分の日」は、
太陽が真東から昇って真西に沈む日なのですが、
これは3月の「春分の日」でも同じです。

また、
「夏至の日」は
太陽の出ている時間(=昼間の時間)が最も長い日で
「冬至の日」は
太陽の出ている時間(=昼間の時間)が最も短い日になる、
ということは学校で習いました。
(実際には数日前後するようです)

これらの
「春分、秋分、夏至、冬至」
というのは、
古代中国で考案された
「二十四節気(にじゅうしせっき)」
という、
1年を春夏秋冬の4つの季節に分けて
それをさらに6つに分けた24の期間を表わした
カレンダー方式に出てくる季語で、
この24の季語の中には
「立春、立夏、立秋、立冬」
という、
その季節が始まる日もあるのですが、
この二十四節気をさらに細かく
「初候、次候、末候」
という約5日ずつ3つに分けた、
「七十二候(しちじゅうにこう)」
という分類があり、
それぞれの時期に応じた自然の特長、
気象の動きや動植物の具体的な変化を知らせる
短文になっていて、
これがなかなか面白いのです。

重機の道1108−7.JPG
 一時雨模様の天気で、
 しかも午後の撮影のため画像が暗いですね、
 ここは重機の道です。


例えば、二十四節気の「立春」を3分割した
七十二候の「次候」では、
「蟄虫始振((ちっちゅう はじめてふるう)」
となっていて、
その意味は
「冬ごもりの虫が動き始める頃」
というものだったり、
「啓蟄(けいちつ)」の「初候」では
「桃始華(もも はじめてはなさく)」
「桃の花が咲き始める頃」
とか、
同じく「啓蟄(けいちつ)」の「次候」では
「倉庚鳴(そうこう なく)」
「山里で鶯(うぐいす)が鳴き始める頃」
とか
「春分」の「初候」では
「玄鳥至(げんちょう いたる)」
「燕(つばめ)が南からやって来る頃」
とか、
その季節に現われそうな事象が
かなりアバウトで表現されているのですが、
二十四節気の「立夏」の「次候」では
「蚯蚓出(きゅういん いずる)」
というのがあり、
その意味は
「地中からミミズが出てくる頃」
というのです。

こういう季節の事象は北海道や沖縄など
地域で時期が異なりますから、
沖縄の気候条件に合わせた
「沖縄での二十四節気」
を、
コーヒー山での虫たちを観察しながら
いずれ作成してみたいものです。

竹の広場1108−5.JPG
 重機の道の中ほどの「竹の広場」は
 7月頃にコーヒー苗木を移植したので
 まだ4ヶ月程度しか経っていませんが
 苗木たちはすくすくと元気に生育しています。


私は小学生の頃に百科事典が欲しくて、
これがあればきっと勉強もして
成績UPも間違いなしと思っていたのですが、
親にムリして買ってもらうと、
とたんに無用の長物と化してしまい
以降殆ど新品同様のまま利用しなかったのですが、
日本の百科事典の原点と思われるのに
平安時代の
「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」
というのがあり、
中国で唐が滅亡して宋が成立するまでの
五代十国時代の平安時代中期の934年ごろに
醍醐天皇の第4皇女・勤子親王の依頼で作成されたもので、
この中でミミズのことが
「蚯蚓 美美須」
と出ているのです。

「ミミズ」を漢字で「蚯蚓」と書くのは、
日本ではこの頃からと思われますが、
中国語読みでは
「キュウイン(qiu yin)」
というのだそうです。

この「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」にも
バナナに似た芭蕉(バショウ)が掲載されていて、
ここでは和名が
「発勢乎波(はせをば)」
と書かれていて
 「葉は席(わらむしろ)のように見え、
  またの名を、苑(えん)、一名甘蕉(かんしょう)」

と記述されているそうです。

ヤンバルオオフトミミズ1.JPG
 体長30cmもある「ヤンバルオオフトミミズ」が
 珍しく地表を移動していました。
 MAX40cmにもなるそうです。
 見た目は紫色で綺麗とは言いがたいですが、
 コーヒー山では「山神様」なのです。


また、江戸幕府第5代将軍徳川綱吉の元禄の頃は
経済的にも文化的にも発展した華やかな頃で
赤穂浪士の討入り事件があったり
井原西鶴や近松門左衛門、松尾芭蕉といった
独創性に優れた文化人が輩出されましたが、
松尾芭蕉が江戸深川の自宅の庭に植えてあったという
「芭蕉(バショウ)」から名前を取ったのは
あまりにも有名ですが、
芭蕉は
「蚓(みみず)鳴く 明日は日和ぞ 蓼(たで)の花」
という、
ミミズ(蚯蚓)を季語にした俳句も読んでいます。

また、小林一茶も
「里の子や 蚯蚓(みみず)の唄に 笛を吹く」
というミミズ(蚯蚓)を題材にしているように、
前述の二十四節季を、
それぞれ3分割した七十二候は
俳句の季語として使われることが多いようですね。
実際にはミミズ(蚯蚓)は鳴かないのですが。

ヤンバルオオフトミミズ2.JPG
 「ヤンバルオオフトミミズ」は
 土や落ち葉を食べて、
 地上に灰色の団粒の糞を積み上げるのですが、
 コーヒー山ではあちこちで見受けられます。


前述で、日本の百科事典の原点とされる
平安時代の
「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」

ミミズのことが
「蚯蚓 美美須」
と出ている
と書きましたが、
ミミズの語源としては、
ミミズは土の中に住み目が無い
目で見ることが出来ないことから
「目不見(めみず)」
が「ミミズ」
「日不見(ひみず)」
あるいは、
「ミミ」がミミズの鳴き声(実はオケラの鳴き声)で
「ズ」がキリギリスやカラスの「ス」と同じように
虫や鳥の名前の下に付く「ス」が
濁音化されたもので「ミミズ」
など、
語源には諸説あるようです。

欧米では、ミミズは
「Earthworm(アースワーム)」
で、
「地球の虫」
とか
「大地の虫」
といわれて、
日本よりも寛容な解釈をしているのですが…

前置きばかり長いので、
ここでようやくミミズのパワーについて話を変えましょう。

ヤンバルオオフトミミズ3.JPG
 「ヤンバルオオフトミミズ」は
 一見すると“ヘビ”のようで、
 日本で最大級のミミズではないでしょうかexclamation&question


コーヒー山では、
コーヒーやアセロラなどの果樹や
バナナの子株などを移植するときに
地面に穴を掘るのですが、
このときに、
地中に大きなミミズがいることが多いのです。

“ミミズ”と一口に言っても、
ミミズには、
 @ 大型ミミズ(体長5cm〜40cm)
  ・ フトミミズ(日本の本州以南の南方系)
  ・ ツリミミズ(北海道や欧米の北方系)
  ・ シマミミズ(世界中にいる、ツリミミズの仲間、
          釣りの餌、「堆肥ミミズ」)

 A コガタミミズ(体長5mm〜2cm)
  ・ ヒメミミズ(世界中にいる)
というように、
アバウトに分けると、
大型ミミズと小型ミミズに分類され、
「フトミミズ」は、
「土と有機物を食べて分解し、土にもぐって耕す」
「シマミミズ」は、
「生ゴミや堆肥などの分解を得意」
という特長があり、
コーヒー山では、
シマミミズよりフトミミズが尊重されるのです。

ヤンバルオオフトミミズ4.JPG
 軍手と比べても
 「ヤンバルオオフトミミズ」の大きさが
 かなりのものだとお判りいただけることでしょう。
 こんなのが苗木移植のために穴を掘ると
 シッポか頭部分が見えて、
 孔(穴)の奥にすごい速さで逃げ込んでゆきます。
 もちろん、このミミズしかいないのではなくて
 ふつうのフトミミズも山にはたくさんいます。


ミミズのすごいところは、
 ・ 食べる(土と有機物の分解)
 ・ 糞をする(ミミズの糞は最高の即効性肥料)
 ・ 尿(体表の粘液)を出す(ミミズの尿も最高の肥料)
 ・ 動き回る(土に孔を開け酸素を通し耕し、
        糞や菌を根のそばに移動させる)
 ・ 死ぬ(ミミズの死骸も最高の即効性肥料)

という、
日ごろの何気ないミミズの活動そのものが
土や農作物に多大な好影響を与えているのですが、
有機農法のミミズのいる農地で生産された農作物は
窒素やアミノ酸、ミネラルが効いて
ビタミンが豊富になることで
美味しさが違うのは納得のいくところでしょう。

ヤンバルヤマナメクジ1108−5.JPG
 北山山麓の薄暗い樹木には
 体長15cm級のヤンバルヤマナメクジが
 貼り付いていることが多いです。


また、ミミズの糞は、
ミミズのいない周辺土壌に比べて
窒素や炭素、アミノ酸の種類や含量も多いし、
農作物に吸いやすい形のカルシウムやマグネシウム、
カリウム、リン酸なども豊富なのですが、
土を食べるフトミミズの場合は、特に
土の中で吸われにくいミネラルを
自身の体内で水溶性に変えてしまうのです。

ミミズの腸内は酵素だらけなのに
土や有機物と一緒に飲み込んだいろいろな微生物も
酵素を出しているので、
腸内を通る土や有機物が劇的に有効に変化してしまうわけです。

ミミズの糞は「耐水性団粒」なので
 「ミミズがたくさんいる畑は
    排水や保水が良く、土がフカフカ」

なのですが、
コーヒー山でも、
特に木漏れ日が入るような伐採にした
北山山麓より北側は、
フトミミズが特に豊富にいるようです。

土着菌に分解される枯れ木.JPG
 枯れ木が土着菌によって分解されて
 土に還る過程ですが、
 スパゲティの細麺のように
 繊維がグニャグニャになっています。


ミミズが地中で縦横無尽に動き回った跡の孔(穴)も、
排水・保水性が良いのは当然としても
孔の壁面にミミズの尿(粘液)が塗り込められていて
栄養が豊富なだけでなく、
多くの微生物が棲み、
これらの微生物を食べるトビムシや
ササラダニなどが大繁殖し、
これらが増えるとその他の小動物も増えて、
地面の中に豊かな生命空間が生まれて、
食物連鎖の“天敵社会”は
地上だけでなく地中にもあって、
その先導役がミミズなわけですから、
「ミミズ様々」
なわけです。

また、ミミズのいる畑では
根こぶ病や立枯れ病、萎チョウ病、など
「病気が出にくい」
という研究が海外では行われているようです。

そういうことを超越して
自然農法の福岡正信先生(故人)が言われる
「健全な環境」
とは、
「人間は本来何もしないでよい」
つまり
「不耕起で、ミミズを始め土には生き物がいた方が良い」
ということなのだと思うのです。

となると、
「フトミミズを増やしたい」
と熱望したいところですが、
そのためには、
 ・ ミミズが好物の有機物を土の表面に被覆すること
 ・ ミミズの住まいを破壊しないように、
   なるべく土を耕さないこと

という、
ミミズがご機嫌になるような環境にしてあげることですが、
コーヒー山では年中落ち葉が堆積していますし、
森林栽培では不耕起ですから、
「フトミミズのご機嫌を伺いながら…」
という私の方針は、
ひいては
「コーヒーの木も居心地が良い環境」
になり、
コーヒーの品質向上に
好影響を及ぼすものと考えているのです。

北山山麓1108−8.JPG
 昼食後に一時晴れ間が出た時の
 北山山麓(南斜面)です。


ハイビスカス1108.JPG
 沖縄ではハイビスカスは1年中咲きますが、
 この花のように、葉が丸い新種タイプは
 防風の役は果たせず、
 もっぱら観賞用になります。
 コーヒー山では、
 いろいろな色のハイビスカスを咲かせて
 多くの蝶が来れたり、
 蜜蜂が逃げない環境にしてあげたいのですが、
 ハイビスカスは原種と新種を
 防風対策用と観賞用とわきまえて
 植えるつもりでいます。


posted by COFFEE CHERRY at 17:37| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒー山の動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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