2010年09月27日

アグロフォレストリー(森林農法)こそコーヒー栽培の原点回帰B

1994年(平成6年)は、
小室哲哉プロデュ−スの篠原涼子が
「恋しさとせつなさと心強さと」
をヒットさせ、
相沢すず役の安達祐実が
「同情するなら金をくれ」
と言った「家なき子」が放映されたり、
F1ドライバーのアイルトン・セナが事故死した年ですが、
この年は世界一のコーヒー生産国ブラジルでは
6月と7月の2度の降霜による大不作で
同国の年間生産量が3〜4割(日本の輸入量の約2年分)減少になり、
その影響でコーヒーの国際価格が約2倍に急騰した年でもあるのですが、
この年のコロンビアでは、
約40万トンの化学肥料が使われ、
同国で生産された生豆1kg当たりに換算すると、
実に500g以上の化学肥料が使われたといわれています。

1エーカー(約0.4ヘクタール=約1226坪)当たりの殺虫剤使用量でみると、
「コーヒーは綿花とタバコに次いで3番目の殺虫剤漬け作物」
ということは、
私たちの飲食品の中では、
コーヒーは最も殺虫剤が投入される作物なのです。

ヒカゲヘゴ0926.JPG
 コーヒー山から北側をヒカリヘゴ越しに見た画像です。
 脈々と山が連なっています。
 やんばるは南北約32km、東西約12kmの範囲内に
 与那覇岳の標高503mを最高峰に
 300〜400m級の山々で構成された
 脊梁(せきりょう)山地となっています。


貧困のコーヒー生産者が収入を増やすには、
“増産”が手っ取り早い方法ですが、
そのためには効率的に生産性を上げなければならず、
品質よりも病気や害虫に強く、たくさんの実を付ける品種を大量に植え、
しかも省力機械化によって、収穫時に未完熟豆も一斉に収穫したり、
必然的に農薬を大量に使うことになるのです。
その甲斐あって生産性は飛躍的に増大しますが、
生産者の収入は増えるどころか
大増産でコーヒーがダブついて国際相場を下げてしまうのです。
そうなると生産意欲はなくなり、
他の作物生産に切り替えたり、農園を手放したりする人たちも出てきて、
収穫量は減少し、またそうなることで国際相場は上昇する、
という悪循環が繰り返されるのです。

これは沖縄のシークワーサーやドラゴンフルーツなども同様のパターンで、
「健康成分が多く、テレビで取り上げられた」
とか
「本土で高値で売れているらしい」
というと
一斉に作り出して、
その市場を一気に飽和状態にして
暴落させて多くの人が止める
という繰り返しなのです。

キノボリトカゲ0926.JPG
 コーヒー山ではキノボリトカゲに毎日10回以上出会います。
 彼(彼女?)はスダジイの木を降りてきたところです。
 ミニ恐竜のようで、コーヒー山では
 彼らと出会うのをいつも楽しみにしています。


もともと陰樹のコーヒーが、
部分的あるいは全面的に直射日光の下で栽培される
“サン・コーヒー(Sun Coffee)”
になったことによる弊害は、
森林伐採で広大な農地を作り出し、
そこではコーヒー以外ほとんど植えない単植栽培になったことで、
土から同じ養分だけが吸収されるために、
より多くの農薬、
 ・殺虫剤
 ・除草剤
 ・殺菌剤
 ・化学肥料

が必要になったことで、
こうした生産システムは、
コロンビアではコーヒー耕作地の7割弱、
コスタリカでは約4割を占めるようになりました。
メキシコ、コロンビア、中米、
カリブ諸国におけるコーヒー耕作地のうち、
1990年代前半に約4割が
“サン・コーヒー”に転換されたといわれています。

殺虫剤には、
 ・DDT
 ・マラチオン(Malathion)
 ・ベンゼンヘキサクロリド(BHC)
 ・リンデン(γ-BHC)
 ・ディルドリン
 ・アルドリン
 ・クロルデン
 ・クロルピリホス
 ・へプタクロル

など、
コーヒー栽培に使われる化学薬品の多くに
発ガン性や残留性環境汚染の疑いがあり、
それらは先進国の多くが販売や使用が禁止されているにも関わらず、
発展途上国の多くではいまだに販売・使用されているのが現状です。

2年前の2008年(平成20年)の
イエメン・エチオピア産のコーヒー豆(モカ)から
基準値以上の残留農薬が検出されて輸入停止に至ったことは
記憶に新しいところでしょう。
「厚生労働省 平成20年度輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果」
(12〜18、24、29ページなどを参照して下さい。)

一方、農薬は消費者の安全や生産地の環境汚染だけではなく、
コーヒー労働者にも多大な影響を及ぼしています。
“サン・コーヒー(Sun Coffee)”の栽培システムに切り替えた結果、
窒素肥料を大量に投与するようになり、
多くの生産地の飲料水が汚染され、
ある種のガン、不妊、発育障害などにも影響があると懸念されています。

また、コロンビアではコーヒー豆に穴を開ける
ラ・ブロッカと呼ばれる害虫駆除のために
毒性の強いエンドスルファンが日常的に使用されているようですが、
この殺虫剤は急性毒性があり、
また神経系や生殖機能に悪影響を及ぼすことから
世界の多くの地域で禁止されている農薬でもあるのです。
コロンビア政府やコーヒー生産者連合も使用を禁じているものの、
依然として使用され続けているのです。

自生みかん0926.JPG
 コーヒー山に向かう途中の林道で
 自生のミカンがなっています。
 青切りミカン(温州みかん)?カーブチーかな?
 カラスがふもとのミカン農園から拝借して果実だけ食べて
 ここにタネを棄ててミカンの木が自生したのでしょう。
 昨年見つけたのですが、誰にも知られていないのでしょうか、
 いつも実が付いています。


「プランテーション化されたコーヒー農園は
 それまでの日陰栽培に比べて4倍の生産がある」

といわれているものの、
収益性でみると、
手間暇かかる伝統的な日陰栽培の方が有利になっているようで、
 ・汚染された水の浄化や新しい水源の開発
 ・殺虫剤による汚染
 ・土壌の浸食、堆積と土壌汚染による地域の魚の減少
 ・労働者が農薬汚染にさらされる人的損失

などは私たちが購入するコーヒーの価格には含まれず、
生産地が負担しているものの、
こういった諸々の問題をふまえて、
これまで軽視されてきた伝統的な日陰栽培が
徐々に見直されているのです。

次回に続く。
posted by COFFEE CHERRY at 22:11| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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