2011年08月24日

フィトンチッドとアレロパシ−を考えるA

台風9号で、昨年に続いてまたしても2日半も停電になり、
冷蔵庫やテレビ、パソコン、給湯器といった電化製品は
使えなくなりました。
我が家では、懐中電灯の乾電池の予備やロウソクを準備しておくといった
停電を予期するなら当然の対策が
毎度疎(おろそ)かになっていることもあって、
こういう時は、
「日の出とともに起きて、日暮れになると寝る」
という
『太陽とともに生きる』
生活を強いられることになります。

現代は「定時法」という、季節に関係なく
1日を24時間に等分割した時間法が使われていますが、
江戸時代では夜明けから日暮れまでを6等分する
「不定時法」という時間法を採用していました。

江戸や京都、大阪、堺といった大都市以外の田舎の農村では
「日の出とともに起き、日没とともに寝る」
昔の生活そのものだったと思います。

日本の場合、昼の時間が最も長い日が夏至、
最も短い日は冬至ですから、
季節によって時間の長さが変わるのは不便なようですが、
時計を持たない当時の人にとっては、
太陽の高さでだいたいの時刻が判るのは
かえって便利だったかもしれません。

昼間の時間帯は、日の出を起点として
・卯の刻六つ(明け六つ)
・辰の刻五つ
・巳の刻四つ(お四つ)
・午の刻九つ(正午、太陽が最も高い)
・羊の刻ハつ(お八つ)
・申の刻七つ
・酉の刻六つ(暮六つ)

という日暮れまでの十二支の間を6等分し、
お寺などで時の鐘を打って庶民に時刻を知らせていたわけで、
・「牛の刻九つ」を正午
・「羊の刻ハつ」をお八つ=茶菓子の時間
というのは、当時のなごりのようです。

こうした不定時法は1873年(明治6年)の
太陰暦から太陽暦への改暦まで使われ、
その後現代の定時法に至っていますが、
明治時代の文明開化で照明が発達したことで
夜型生活も一般的になり始めたわけですから
劇的な時法改革も時代の変革に見合ったものだったようです。

リュウキュウアオヘビ110823.JPG
 昨日23日(火曜)のコーヒー山での作業は
 主に黒ポット苗木の水やりを中心に行いました。
 黒ポット苗木は数千もあるので、3日間かかって
 昨日が最終日になりました。
 台風9号一過後は、ヤンバルにはにわか雨以外に
 まとまった雨がなく、台風で中高木の照葉樹の
 枝葉が吹き飛ばされたことで森林内の見通しがよくなり
 降雨がないことで乾燥してきたために
 また台風の暴風で植え付け予定の苗木が大揺れになり
 根元がグラグラして根にストレスがかかっているために
 今月の移植は見送ったことで、
 先週末から水やりを行っています。
 昨日はリュウキュウアオヘビと出会いました。
 このヘビはコーヒー山には多いです。
 昼行性で臆病、俊敏な動きをする
 綺麗な黄緑色をした無毒へびです。
 奄美大島以南の南西諸島に生息するヘビですが
 絶滅危惧種ではないようです。


想像を絶する大津波で人々の暮らしが一瞬にして破壊され、
太平洋沿岸地域に甚大な被害をもたらした東日本大震災は
頼りない政治のために多くの被災者は今も不便な生活を強いられていますが、
電気の供給能力が不足したことによる計画停電や脱原発論などで
当たり前のように電気に依存し過ぎた電気文明社会が見直されつつあります。

ヤンバルクイナ110824.JPG
 自宅前にやってきたヤンバルクイナのオス。
 下の黒いピンボケなのは野菜のタネ撒き用の
 黒い育苗トレーを裏返しにして
 ブロック塀に積み上げてあるところですから
 ヤンバルクイナは我が家の庭内にも平気で侵入してきて
 ブロック塀の上は当然として、
 物干し竿にしている竹の上も
 サーカスのように歩いたりしているのです。
 それでも警戒色が強く、1日に何度も出会うのに
 カメラを取りに行っているスキにどこかへ行ってしまうし、
 なかなか撮影出来ないのです。


我が家のエリアはヤンバルクイナやノグチゲラ、
リュウキュウヤマガメといった
国の天然記念物たちが生息する過疎ですから、
郵便局のゆうパックや宅配業者の配達も1日に1回だし、
電力会社や電話会社の設備投資も後回しになるのも理解できますが、
だからこそ、江戸時代のエネルギー消費の少ない生活、
エコロジーな生活を再認識して、
我が家やコーヒー山でも、
将来的には風力発電を検討しようかと考えています。
コーヒー山での作業も、腕時計に頼るのではなく
昔ながらの陽の高さに応じて作業や休憩をした方が
良さそうです。

ヒメハブ110823.JPG
 またまたヒメハブ。
 ヘビが嫌いな方にはうんざりでしょうが、お許し下さい。
 私も爬虫類が好きではないのですが、
 どうも前世に因縁があるのか、爬虫類と出会う機会が多いのです。
 黒ポリポットの雑草や飛ばされてきた枝葉などを取り除いてから
 水やりをしていたのですが、
 雑草を取っている時にこのヒメハブが飛び出してきたのです。
 おそらく私の様子を伺っていたのでしょうから
 彼は私に咬みつこうと思えば出来たのかもしれませんでしたが、
 「邪魔しないでほしいな」
 と言わんばかりに
 右手のすぐ脇を触れるくらいの感じですり抜けて行きました。


我が家の屋上には、すでにオブジェと化した
太陽光の温水パネル装置があります。

国頭村でも、その昔
「米軍基地所在市町村活性化特別事業(=島田懇事業)」
という内閣府の直轄事業として
その恩恵に与(あずか)った名残りですが、
強烈な台風で、この地区の屋上に設置した太陽光パネルは
ことごとく暴風で吹き飛ばされている歴史がありますから、
我が家でも太陽光エネルギーは見送らざるを得ないのです。

USMC110824.JPG
 「USMC」とは、
 United States Marine Corpsの略で、
 「アメリカ海兵隊」のことを意味し、
 この訓練場の境界標識です。
 米軍の北部演習場は国頭村と東村のヤンバルをまたいで
 78.33平方キロという与論島の約4倍、久米島の約1.5倍、
 茨城県の竜ケ崎市などと同等の面積で、
 映画ランボーのようにゲリラ小屋を作って爆破したり、
 ジャングルや川の実戦移動訓練とか
 ベトナム戦争当時は枯葉剤の投下訓練までしていたという
 もう無茶苦茶な使い方をしている演習場です。
 我が家からこのUSMC標識までは約100mですが
 このエリアはもうずいぶん前に返されて国有林になっています。
 沖縄本島で基地がないのは今帰仁(なきじん)村だけじゃないかな。


前置きが長くなりましたが、ようやく本題に戻りましょう。
「フィトンチッドの話はその後どうなったの?
 @だけでもう終わりなの?」
というご意見がありましたので、
急きょ「フィトンチッドとアレロパシ−」の2回目を書くことにして、
今日は特に「人と自然の関係」について述べたいと思います。

植物は5億年前に地球に誕生し、
人類の誕生はまだ800万年前のことですから、
植物の起源を1日と換算すると、
人類の登場は夜11時半を回ったあたりのことなので
地球の生命体としてはまだまだぽっと出の新人なのです。

植物は5億年の歴史の中で、
地球の気候や地形の激変に耐えて、
それどころか激変の環境下でも何とか生きぬくように
進化を繰り返して現在に至っています。

日本では卑弥呼の後から聖徳太子までの約400年間が
歴史的に空白になっているのは、
この間の日本や沖縄は
「地形の激変があったため」
ともいわれています。

植え付けを待つコーヒー苗木たち110823.JPG
 昔の底抜け脱線ゲームというテレビ番組では
 先に針の付いた電車が通る前に
 課題をこなしながら風船を持ちあげて電車を通過させて、
 また戻って課題をこなすという、
 見ていてイライラする番組でしたが、
 「コーヒーの苗木の高さが30cm前後になったら定植」
 といっても、次から次と30cm級に生育するので
 簡単に移植といっても数千もあるとなかなか大変なのです。


19世紀の米国の思想家・エマーソンが
What is a weed?
A plant whose virtues have no been discovered.
「雑草とはとは何か、その美点がまだ発見されていない植物である」
と言ったように、
動くことが出来ない植物に対して、人間は
単に人の役に立つとか毒があるとか、
人からみて綺麗かどうかなどの勝手な判断で、
多くの人は植物を見下した目で見ますが、
実は植物の方が人間よりもずっと進んでいると私は思っていて、
植物にはむしろ敬意を払っています。

私たちは生まれてからずっと便利な文明下で生活し、
近年のコンピューターの日進月歩の発達で
時間に管理され、時間に追われる生活習慣になっています。

人は海や山などの自然に触れたときに
ストレスが和らいで、心身がリフレッシュされることを知っていますが
それは人がもともとそういうDNAを持っているからだと思うのです。
つまり、
「ヒトは自然と長く共生してきたことで
 もともと自然から生まれたヒトは、
 “自然に還りたい”という原点回帰があったり
 人工的な都会より、
 自然の中でこそ生き生きするDNAが人間にありそうだ」

と。

生理人類学者・佐藤方彦(まさひこ)先生の
「人間が人間になってからの500万年の間、
 人間が生活してきたのは自然環境でした。
 (中略)人間の生理機能は、脳も、神経系も、筋肉も、肺も、
 消化器も、肝臓も、感覚系も、すべてが自然環境のもとで進化し、
 自然環境用につくられています。
 全く不自然な都市での生活は人間の資質に
 さまざまな影響を及ぼすことが想像されます。」

「人類が森に生まれた。
 霊長類の仲間として森に住み始めたのは約6千万年前のことであった。
 さらに、猿人・原人・旧人・新人と続く進化の過程を通して、
 森は人間の体質に深く刻み込まれてきたはずである。」

と「おはなし生活科学」という本に書かれていることに
感銘を受けてから、
ますますそういう思いになりました。

現代人が都市化・人工化された環境を
「18世紀後半の産業革命以降」とすると、
また、人類の誕生が800万年前だとして、
  250年÷800万年=0.00003
つまり人類史上の99.997%は自然環境下で過ごしてきたことになりますし、
「人工化は産業革命よりもっともっと前だよ」
としても、
それまで狩猟と採集で生活してきた人間が
メソポタミア文明の頃に農耕と牧畜を始めたとされている頃を
“人工化”と考えたとしても
  1万年÷800万年=0.00125
つまり99.875%ということになり、
人間が人工的な文明で生活してきたのは
人類学的な見かたからすると、まだまだ最近のことなのです。

医学的には癌は
「人類が多細胞生物になってから癌はある」
らしく、
日本でも平安時代には癌らしい病気があったというので、
「癌は特に戦後以降の怪しげな食生活や化学物質が原因で、
 癌は近代病」

とも言い切れないのですが、
現代人は常に緊張状態を強いられ、
交感神経活動が高まり、
ストレスが溜まる状態にあることは誰でも体感している通りです。

こういったストレスに病んだ現代人が
緑にあふれた森林のなかに入って行くと
清々しい爽やかな空気が広がり、
しばらく歩いていると森林独特の
かすかな懐かしい香りに気がつくはずです。

この森林浴効果をもたらす森林の香りが
「フィトンチッド」
とよばれるものなのです。

「フィトンチッド」は、森林の植物、
主に樹木が自分で作りだして発散する揮発性物質で、
その主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物といわれています。

この揮散している状態のテルペン類を人間が浴びることが
“森林浴”というわけです。

フィトンチッドは身体をリフレッシュさせるだけではなく、
・抗菌
・防虫
・消臭

などといった、さまざまな効果があることも判っています。

樹木の光合成は、樹木が生きていくために必要な活動で、
人間が食事を取ることと同じで、
光合成は太陽の光エネルギーを利用して、
炭酸ガスと水から炭水化物を作り酸素を放出するのですが、
さらに樹木は二次的にフィトンチッドなどの成分を作り出しています。

その目的は
・他の植物への成長阻害作用
・昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食
・阻害作用
・昆虫や微生物を忌避、誘因する
・病害菌に感染しないように殺虫、殺菌を行う

などと、
樹木自身を護る、多種多様な働きをしているのです。

土に根ざして生きる樹木は
「移動することが出来ない」
という決定的なリスクがあることで
外敵からの攻撃や刺激を受けても避難できないために
意識的にフィトンチッドを作り出して
発散することで自らの身を護っているわけです。

フィトンチッド110824.JPG
 Amazonで中古本が1円で買えました。
 といっても配送料が250円かかるので251円ですが。
 私は図書館で借りるか、中古本で安価に買うことが多いです。
 1983年(昭和58年)第7刷版の古い本です。


フィトンチッド(phytoncide)という聞き慣れない言葉は
ギリシャ語で“植物”を意味する「phyto」と、
ラテン語の“殺す”を意味する「cide」とを併せた造語で、
1930年ごろ、旧ソ連のB.P.トーキン博士に名付けられました。

人間から微生物にいたるまで、
生物というものは生存するための
さまざまな能力を身につけていますが、
フィトンチッドも樹木にとっては自分を護る防御の仕組みであり、
だからこそ樹木は何百年も生き続けることが可能なのですから、
人間が上から目線で見下せるものではなく、
むしろ植物が人間を冷ややかに見ているのではないかと思うのです。


次回に続く

フィリピン東海上に台風11号が発生しました。
勢力を拡大しながら北上し
またしても沖縄本島に向かっているようです。
どうやら週末から来週初めは大荒れになるかもしれませんね。

posted by COFFEE CHERRY at 18:28| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | フィトンチッドとアレロパシ− | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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