2012年09月08日

防風対策として効果的な土塁

近年沖縄に来る台風が大型化して、沖縄弧列島に沿う従来の進路だけでなく
沖ノ鳥島方面から北西の沖縄本島に向かって来る台風も珍しくなくなり、
防風対策としては北東方向だけではもはや充分ではなく、
全方位での必要性が出てきました。
しかも台風の大型化で、より堅固なものが必要になっています。

ここ数年の台風による被災があっても
なお防風対策の重要性を理解しないコーヒー生産者も実際にいて
私としては不可思議ですが、こういう方々は論外として、
「沖縄でのコーヒー栽培では台風対策は必要不可欠」
なのが、
他の生産地と大きく異なるポイントだといえるでしょう。

防風対策には防風ネットや防風柵、鉄骨ハウスなどもありますが、
恩納村の故・山城武徳先生の名言
「自然には自然で立ち向かう」
「人工的な防風柵や防風ネット、ハウスを使わず、
 台風にはハイビスカスやホンコンカボックなどを防風林とすることで
 ある程度防ぐことが出来る」

ことに共感している私も、出来うる限り
「自然体」
「あるがまま」
を意識したいので、
人工的なハウスや防風柵、防風ネットは使わず、
地形や防風林で対応したいのです。

防風ネット20120905.JPG
 台風15号で倒された島バナナの修復に防風ネットを使いました。
 この防風ネットの主用途は収穫したバナナの房を置くクッションとして使っていますが、
 その前はタネ植えしたプランターの遮光や
 タネ植えプランターに雨がポタポタ降り注ぐのをやわらげるための
 天井ネットとして使っています。
 防風ネットを「風を防ぐ」という目的ではなく、
 遮光や防虫ネットとして使っていたことがある程度なので、
 私にはムダな買い物でした。


山城先生が
「どこか被災があれば、どこをどう対策をすれば良いのか、
 次回被害に遭わない方法を考えればいい、その繰り返しだ」

と言われたように、
例えば
「バナナは風速20kmで倒壊してしまう」
「ハイビスカスやホンコンカボックの防風林は風速40kmまでしか耐えられない」
ことが判ったのですが、
「それなら具体的にどうすれば守れるのか?」
を考えないといけないし、
またその対策に仮説を立てて、すぐに行動を起こさなければいけません。
台風はまた必ず来るのですから。

そういう意味では、誤解を恐れずに言えば
台風が来るのがある意味楽しみにもなってくるのです。

私の対応策で、
「暴風にどの程度耐えられるのか」
「どこがどうダメだったのか」
「どこをどう補修すべきなのか」
などが体験学習できるからです。

山城先生が、見事なハイビスカス防風林を
樹高2.5m、7m間隔で並列させる方法を確立される前には
ハイビスカスの剪定の度合いで減風率が違うとか
ブロックで花壇風にした上にハイビスカスを植えたらブロックごとなぎ倒されたり、
その後何度も何度も何度も改良して、
最終的に並列式に至ったという話を聞きましたし、
東村のヒロ・コーヒーの故・足立浩志さんからも
1㎥のコンクリートの塊を基礎にした防風ネットが暴風にあおられて倒壊し、
基礎のコンクリ塊が地表に出てきた話も
もう10年以上昔のことですが聞いていて、
今でも昨日のことのように覚えています。

また、足立さんからは二段式防風柵「ひんぷん」という、
防風ネットが離れた2段式になっていて、
風が上に吹き抜ける構造になっている防風柵の話も
何度も聞いたことも懐かしく想い出されます。
「通常の防風柵より数段強そうだけど高額すぎる」
と言われていましたね。
私は北中城村のコーヒー農園で、この「ひんぷん」を見たことがあります。

ここでは「ひんぷん」の防風効果が実際にどうだったのかはよく覚えていないのですが、
この「ひんぷん」で囲われた中の平地でコーヒーの成木が数十本定植されていて
そこにはニワトリが数十羽放し飼いにされてました。
農園内の雑草をニワトリが食べ、同時に園内に鶏糞がばら撒かれることに
「よく考えているな」
と、興味深く見ていたのですが、
雑草がやがて全部無くなって地肌が露出し、
その後ニワトリがコーヒー成木の主幹を突き出したようで
コーヒー成木すべてが立ち枯れてしまった光景を見た時には
私は驚愕してしばらくそこを動けませんでした。
「ひんぷん」の防風効果はあったように思いますが、どうだったかな…。

東村慶佐次(げさし)の「森のハーブガーデン」の比嘉利正さんのところでは
イスノキの並木道が作られているのですが、
ここに至るまで
「20年かかった」
といわれています。

森のハーブガーデンのイスノキ並木道201208.JPG
 台風で枝が折れたのを一度見たくらいで、
 主幹はビクともしないイスノキの並木道で壮観です。
 東村役場を退職されて苦しい時も悲しい時も乗り越えてきた
 比嘉さんの強い想いを感じさせる風景です。


森のハーブガーデンの鶏201208.JPG
 比嘉さんはハーブガーデンで安全な鶏糞を使いたいがために
 自身で養鶏を行っていて、
 その飼料も安全であることはもちろん、漢方薬まで使われています。
 県内では10個400円で卵が売られていますが、
 なかなか買えないくらい予約が殺到しています。


また、やんばるの古民家の多くは
フィリピン原産のフクギを防風林、防潮林として植栽してあり、
みごとな景観と、どんな台風でも折れない強さもあって
イスノキやフクギは私はとても魅力的なのですが、
「とにかく成長に時間がかかる樹木」
なので、即応が出来ないのが欠点なのです。

我が家に隣接するミニバナナ園でも、
防風対策の実験をいろいろテストしていましたが、
「土塁は有効」
ということが、今回の台風15号で判りました。

高さ約1mの土塁は、昨年11月に一輪車で何度も土を運んで
約2週間で造り上げた私の手作りで、
土が固まるように倒木を積み重ねた中に土を入れて作り上げました。

ミニバナナ園の手作り土塁20111110.JPG
 土塁だけでは雨で土が削られてしまうので、
 土塁完成後は、土塁手前にハイビスカスを並列に植え、
 さらに土塁の上にもハイビスカスを植えました。
 ハイビスカスは適度に剪定して強化を図るのですが、
 ハイビスカスは“短中期”用であり、
 イスノキやフクギの苗木をポットで準備して来年には定植し、
 「次世代の時に堅固な防風林が完成出来ればいい」
 と考えています。


重機で高い土塁が築ければ、減風率は著しく向上するはずです。

今回の台風15号は沖縄気象台から
「戦後最大級」
という警告が発令されていましたが、
(それが当たっても当たらなくても警報はありがたいです)
私が住む集落の長老の漁師は、台風上陸前に
「今回の台風はあまり強くない」
と判っていたのだそうです。

ところが戦後最大級と信じて疑わない区長の避難誘導があり、
「区長の立場を尊重して公民館に避難したが…」
と言われていました。
具体的にどうして台風が強くないことが判ったのか、
今度お会いした時に、何度もしつこく聞いて
そのキーポイントの一部でも学べたら、と考えています。

農家は昔からそれぞれが試行錯誤でいろいろな学習経験がありますが、
良くも悪くもそういう大事な知恵が次世代にうまく引き継がれないと
同じことの繰り返しになってしまいます。
私の後継者にはそういうことがないようにしたいのですが、
「言うは易(やす)く、行うは難(かた)し」
という格言の通り、
何をどう伝えれば判りやすいのか、
判りやすい整理の方法が難しいところです。

大国林道20120908.JPG
 我が家からコーヒー山に向かうのに利用する大国林道でも
 土塁があちこちに見られます。


大国林道の土塁20120908-1.JPG
 大国林道建設時に、斜面を削った時に土塁として残ったのか、
 意識的に土塁造りをしたのかは、見ただけではよく判りませんが、
 土塁に樹木が生えていて、防風効果があることは判ります。


大国林道の土塁20120908-2.JPG
 土塁に生えている植物は、
 土塁をしっかりと根で抑えるように伸びていて
 「防風土塁+防風林」
 というセットが、
 沖縄の防風対策としては理想的ではないかと思います。
posted by COFFEE CHERRY at 23:23| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 台風の被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月06日

アオカナヘビを見て自然環境を考える

今日はコーヒー山の苗木定植の休憩中に、
南西諸島の宝島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖縄島、久米島などに
生息するアオカナヘビと出会いました。

アオカナヘビ20120905-1.JPG
 どこに居るか判りますか?
 綺麗な緑色や白、褐色が迷彩色のようで
 動かないとなかなか見つけにくいトカゲです。


和名は
「青金蛇」
といって“蛇”と書きますが
手足があるように、ヘビではなくてトカゲです。

コーヒー山では冬以外はよく出会う昼行性のトカゲですが、
とにかく俊敏で警戒心も強く、緑色の保護色をしていて
体長が30cm弱でヘビのような体形をしているので、
なかなか撮影しにくいのですが、
今日はたまたま彼が小さな昆虫を食べるのに集中していたことで
20枚以上を撮影出来て何とか数枚がきちんと写っていました。

アオカナヘビ20120905-2.JPG
 とにかく俊敏で、チョロチョロと動いたかと思うと止まり、
 止まるとどこにいるのか判りにくくなり、撮影しにくいので、
 「このへんだろうな」と思うあたりで何度もシャッターを下ろして
 何とか4枚だけ撮影に成功しました。


アオカナヘビ20120905-3.JPG
 30年前には本島のどこでも見られたようですが、
 近年は腐葉土の多いやんばるや大きな公園などでしか見かけられないようです。
 南西諸島の日本固有種なので越冬ももちろん可能ですが、
 地表温度が15℃を切ると堆積した落ち葉の中に潜り込み
 沖縄のヘビのように動きが鈍くなって春までほとんど捕食しないようですから、
 そういう腐葉土がある環境が減っていることが
 彼らを見かけなくなったことと大きく関連しているようです。


アオカナヘビ20120905-4.JPG
 出会ったトカゲがどうして“彼”と判るのかというと、
 体側の白線の上に褐色のラインが入るのがオスだからです。
 メスには褐色ラインがないので、すぐに見分けがつきます。
 全長の7割以上が尾で、
 この尾を草や枝などに巻きつけることで低木などに登り、
 肉食性で、昆虫類や接触動物、ミミズなどを食べますが
 MAX2cm程度の小動物しか食べられないようです。
 また、彼らの生息には充分な湿気が必要不可欠のようで、
 厚い落ち葉の層は保水力が高く、温度変化も緩やかですが、
 コーヒーベルトがバナナベルトと同等なように
 アオカナヘビの生息区域はリュウキュウヤマガメとも同等だといえそうです。
posted by COFFEE CHERRY at 00:19| 沖縄 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | コーヒー山の動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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