2012年11月04日

コーヒーにおける適地適木を考えるin Okinawa

私は三重県の過疎の出身で、父も林業をしていた関係で、
「尾根マツ、谷スギ、中ヒノキ」
という山間地の格言を何度も聞いたことがあります。

その意味は、
「やせた土地にはマツを植え、肥沃で水分の多い土地にはスギを、
 その中間の、やや水分が少ない土地にはヒノキを植えて、
 それぞれ早い成長を期待しよう」

という、
江戸期以降の里山の経験による考え方です。

江戸期の藩政時代の植樹は、
建材用のマツ、スギ、ヒノキ、
家具材、下駄材用のキリ、保存食としてのウメ、クリ、
薪炭のための、コナラやクヌギ、
果樹としてキシュウミカンやナシ、
漆や蝋(ろう)、塗料を取るためのウルシなど
特別な用途に供される有用樹の造林が
盛んに行われていましたから、
古くから適地適木の概念が浸透していたようです。

沖縄にはスギの人工林が無いのでスギ花粉症が発生しないのですが、
スギの適地といわれる「肥沃で水分の多い土地」に、
例えばヒノキを植えてしまうとどうなるかというと、
「徳利(とっくり)病」
という、
トックリヤシのように根元に近い部分が太くなる、
病気というより整理障害のようになってしまうことがあるのです。
もちろん良質な板材には成り得ません。
また、ヒノキを樹下に植えても、光量不足で枯れることがあります。

乾燥した痩せ地にスギを定植しても、
根に必要な水分が不足して枯れることがあります。
そう考えると“適地適木”というのは、
植樹に際して、根本的で且つ絶対的な要因といえるはずです。


やんばるの森は、ブナ科のイタジイやウラジロガシ、マテバシイ、
クスノキ科のタブノキ、ツバキ科のイジュ、ホルトノキ、ヤマモモ、フカノキなど
50種以上に及ぶ樹種で構成されている常緑の照葉樹林帯で、
昨年8月の、45時間にも及ぶ本島全体が暴風域にさらされた台風や
今年の8月下旬以降の大型台風が3度襲来して、
やんばるの森は、本来はうっそうとした森林なのに、
すきバサミで刈り過ぎた頭のようになってしまっていますが、
放任していても、2〜3年もすれば、枝葉が伸び、
在来種の生存競争が始まって、
やんばるの森は適地適木の森林になっていくことでしょう。

コーヒー山から西側の風景20121103.JPG
 コーヒー山から西側には、
 遠くに伊是名島、伊平屋島、伊江島などが高台から見えるのですが、
 森林内はうっそうとしていて、数十メートル先もよく見えなかったのに、
 今では近くの山も見えるほどスカスカになっています。
 ということは太陽光が入るということになります。
 沖縄も最近は寒いし、光合成も活発になり、いいかもしれません。



沖縄本島でのコーヒー栽培は、
アルカリ土壌のジャーカルでも実ができるものの、
品質的には良い実は出来ませんから、
「国頭(くにがみ)マージの金武(きん)町以北」
が“適地”ということになりますが、
「金武町以北なら、どこでもいいの?」
というと、
「塩害があるから沿岸部は適さない」
ということがいえて、
少し適地のエリアが狭まりましたよね。

沿岸から2km前後あたりまでは塩害が及ぶ可能性もありますし、
また地形的なこと、栽培地の方位なども良し悪しがあるでしょう。
さらに、沖縄は何といっても
「台風台風とどう向き合うのか?」
を考えて、その対策が絶対条件になります。

今帰仁村の古宇利島や
標高172mの城山(タッチュー)を除くとわりと平坦な伊江島、
宮古島、竹富島、粟国島、
国頭村東北部から見える鹿児島県の与論島など平坦な島では、
台風対策はフクギなどで、長い時間をかけながら
頑強な防風林を造り上げないと
コーヒー栽培は難しいと思います。

また、コーヒー農園というと、多くの人が
「見渡す限りにコーヒーが広がっている」
というブラジルのプランテーションをイメージしがちですが、
空が見える青空栽培で、台風対策が充分といえるのかどうか、
その選択も成否のturning pointといえるでしょう。

リハビリ中のコーヒー苗木20121103.JPG
 リハビリ中の苗木が復調気配です。
 一度ストレスを受けた苗木が成木になった時に、
 良い実を付けるのかどうか判らないので、
 リハビリ苗木は、いずれどこかのエリアにまとめて定植し、
 家族の自家用とかで考えています。


コーヒーを“適木”として考える場合、
真っ先に考えなければいけないのは品種選定です。

恩納村の山城先生が、
「沖縄バージョンで判りやすいように」
と、命名してしまったニューワールドでいいのか、
沖縄の土壌や気候環境に適合した品種を探し出すべきなのか、
という選択がありますし、
タネを撰び、タネ植えから始めるのか、こぼれタネによる自生苗を使うのか、
という選択肢もあります。
タネ植えからは時間がかかりますし、自生苗は徒長という、
それぞれのリスクもあります。
それぞれの選択により“適木”に成り得るかどうかの結果も違ってくるはずです。

また、コーヒーを路地で栽培し、樹高を2mでピンチすると、
成木では直径約3mの円すい形のような樹形になります。
面積でいえば成木1本で約3坪にもなりますから、
密植えはしない方が良いのは当然です。

コーヒーは放任すると、樹高7〜8mのヒョロヒョロした樹形になりますから、
それを2m以下に、低くピンチするのも、木に相当なストレスがかかることになり、
私は問題があると考えています。

また、コーヒーは陰樹という、陰ひなたでも生長できる木です。
植物は、太陽光と水と二酸化炭素で有機物をつくり出すという
他の動物はもちろん、現代科学でもマネ出来ないような光合成という
ハイテク機能を供えていますが、
コーヒーは陰樹だからといって、陽の当たらない日陰で栽培すると
生育が遅れたり、病害虫に侵されやすくなります。
特にタネ植え後の発芽苗は、生長する過程では積極的に光合成をしたいのですが、
苗木定植後は、どちらかというと木漏れ日の当たる場所でも生長できるという、
少し手がかかる偏屈でデリケートな果樹でもあるのです。

コーヒーに光量がどのくらいあれば充分なのかは、
なかなか言葉で表現するのが難しく単純ではないのですが、
山城先生の農園が残念ながら枯れてしまったことで、
「光量が生長と寿命に密接に関連し、それらが相反関係にあるのではないか」
と、私は仮説を立て検証しています。

コーヒーを適木にするためには、
「コーヒーは栽培植物」
だということを認識して、
人の介在が必要だということも、知っておかなければなりませんし、
「たかがコーヒー栽培」
と思うのか
「されど」
と思うのかでも、
またゴールが違ってくるように思うのです。

発芽苗20121103.JPG
 これだけあると何本か見当がつきませんが、
 このあと全部ポット移植して58本あることが判りました。
 この発芽苗は今年の2月にタネ植えしたものですから、
 約9か月にしてはニューワールドより格段に生育が良い品種です。


移植した発芽苗20121103.JPG
 葉の元気さや幹の太さ、樹高も、
 ニューワールドとは別の果樹じゃないかと思うほど
 生育が良く、今後の生長が楽しみです。
 沖縄の土壌や気候環境にどういう品種が向くのか今後も積極的にテストをして、
 沖縄におけるコーヒー栽培の土台を築いていきたいと思っています。
posted by COFFEE CHERRY at 22:30| 沖縄 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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