2014年06月13日

台風とどう向き合うかを改めて考える

6月11日(水曜)15時に、南大東島の西南西で台風6号が発生し、
北北東の小笠原方面に向かっていましたが、
昨日12日(木曜)には温帯低気圧に変わり、
Wethernewsによると、その後消滅して低気圧になって、
現在伊豆大島方面に進んでいるようです。

ということは、11日〜12日にかけて
大東島地方では飛行機や船が欠航になり、
沖縄本島では強風注意の予報が出ていましたが、
バナナが倒壊するほどの強風も吹かず、
むしろ昨日は久々の、おだやかな晴天でしたね。

大東諸島は、住居表示では沖縄県島尻郡北大東島とか南大東島となり、
私が前に住んでいた南風原(はえばる)町も島尻郡南風原町、
「ケラマブルー」で有名な東シナ海の慶良間(けらま)諸島も沖縄県島尻郡なので、
島尻郡はかなり広範囲に及ぶのですが、
大東諸島は宮崎県の真南で、沖縄本島からは約400kmも離れています。

約400kmという距離は、
東京駅から東海道新幹線では「岐阜羽島〜米原間」、
東北新幹線だと「古川〜くりこま高原間」、
直線距離では東京駅〜大阪・梅田駅間が約403kmですから、
沖縄本島と大東諸島は関東と関西くらい離れているので、
台風の影響も時間差も、だいぶ違ってくるのです。

沖縄は「台風の通り道」とか「台風銀座」といわれますが、
台風は例年25個前後発生するうち、
毎年4〜7個は沖縄地方を通過し、
農産物などにかなりの被害を出すのですが、
近年台風は大型化し、微速停滞型も増え、
また進路も読みにくくなりました。

恩納村の山城先生のコーヒー農園は
ハイビスカス(アカバナー)の防風林で
東側と北側を重視した造りになっていましたが、
近年の大型台風では、
最大風速が40km/sが限界のハイビスカスでは耐えられませんし、
防風対策は「より堅固で全方位」必要になりました。

台風というと、本土のNEWSでは、新人アナなどが岸壁などで、
おおげさな突撃リポートをするのがお馴染みですが、
本土では土砂災害、人的被害が多く、
土砂災害は、その直接的な気象より
人為的な地形改変を起因としているようです。

沖縄で建造物の倒壊、損傷や人的被害が少ないのは、
・沖縄の人は台風慣れしている
・家屋のほとんどが鉄筋コンクリート造り
 (屋根が赤瓦の場合でも漆喰で塗り固められているので飛散することもほとんどない)
・大きな川はなく(二級河川以下)海までの距離も短く
 降雨で雨水は海へ流れてしまう
・屋敷を石垣や防風林で囲い台風に備えているところが多い
 (防風林には、フクギ、ガジュマル、イヌマキ、フクギ、ハイビスカスなど)

などが理由と思われますが、
近年土砂災害は増えています。

2、3年前の大型台風の被災では、
やんばるの林道はあちこちが崩落して通行止めになり、
現在でもまだ復旧工事を続行中のところさえあります。

テレビの観光番組で海外の美しい街並みを観ていると、
沖縄はコンクリ造りの家屋が多く、
それも白色に統一されているわけではなく、
風水やユタなどの信心なのか、
中には緑色とか紫色、あるいはドピンクなどの家屋まであって
首里城のような赤瓦の屋根の街並みを期待された方は
その統一感のなさに違和感すら覚えることでしょう。

観光的見地としては、
ロマンティック街道と古城街道とが交差する中世都市ローテンブルク、
アジア側とヨーロッパ側の2大陸にまたがる大都市イスタンブール、
世界遺産のベルン旧市街などの美しい街並みの景観のように
沖縄も伝統的な赤瓦の屋根住宅の街並みであってほしいのですけど、
都市景観の統一基準の前に、台風がそれを阻んでいるのです。


さて、沖縄でのコーヒー栽培は、
近年チャレンジ希望者は増えつつも、
実際の取り組みまで至るのはほとんどいないのが現状だと思います。

県内の最近の新聞でも、
コーヒーが少量収穫出来ただけなのにコーヒーの里宣言したいとか、
売ることばかり優先するグループとかの記事を目にしたくらいで、
目立った動きはありません。

「沖縄でのコーヒー栽培のやり方が判らない」
というより、
とにかく時間がかかり過ぎる、
「10年は辛抱しないと」
というのが、
言葉では何となく理解できたような気がしても、
実際にやってみると、大小さまざまなハードルが次から次へと現われ
奥穂や谷川岳で山岳マラソンをやるようなものですから、
途中の落伍者が多かったり、
あるいは楽観的な見通しが立たないなら最初からスタートラインに立たないとか、
難レースを完走するまで我慢できる変人は少ない、
ということだと思います。

「タネ植えから初収穫まで5年」
というのは、
故・山城先生が言われたことで、
それは、
「すべてのリスクを考えない、最短期間」
のことを言われているのですが、
ほとんどの方はその「5年」を真に受けて、
それをさらに2〜3年に短縮できないかと
こぼれタネによる自生苗を使ってしまうのです。

実は私もその「5年説」を真に受けしていたのですけど。
しかも自生苗も一時重宝していた時期がありましたね。

でも、自生苗の使用は、私としては良い結果は出ませんでした。
山城先生でも自生苗は使いませんでしたし、
海外のコーヒー農園でも使っていないようです。
なので、私は自生苗は卒業し、
時間がかかってもタネ植えから行うようになりました。

沖縄は「台風の通り道」のために、
沖縄でのコーヒー栽培では、
今日の主題になりますが、
「台風とどう向き合うか」
を考え、防風対策を講じる必要があります。

これが甘いと、今まで私が知り得る限り、
半壊、全壊ですべて失敗、撤退しています。

ハイビスカス防風林を7m間隔の並列にした造りの山城方式に対し、
本島南部の南風原町でのテスト圃場の時は
ハイビスカス防風林を5mの正方形ブロックに区切り、
山城方式より堅固にしたのですが、
周りは農薬・化学肥料のかぼちゃ畑ですから、
自然栽培の私のテスト圃場から
・ハブが出てきた
・害虫が出てきた
・雑草が生え過ぎ
・ハイビスカスが道路に覆ってきた

などの理由で、
無断で除草剤を撒かれたり、
テスト圃場に入り込んで重機を転回したり等々
かなりの嫌がらせを受けて、
おまけに集落では孤立して村八分状態でしたけど、
・ハイビスカスの剪定と防風強度
・風の通り具合と害虫の関係
・微生物の多種共存の有用性
・コーヒーの支柱について
・台風でのコーヒーの被災進捗状況

など、多くのことを学び、
コーヒー山に活かすことが出来ました。
進化中というより、まだまだ無知だらけですけど。

本当は誰でも失敗はしたくないので、
事前に対策を立てたいところですが、
ほとんどは失敗をして、原因を考え仮説を立て、それから対策を立てる
ということを繰り返していますから、
必ずしも
「3歩進んで2歩下がる」
のではなく、
「3歩進んで4歩下がる」
あるいは5歩も6歩も下がる時もあるのです。
むしろ、その方が多いかもしれません。

その時に
「もうダメだ」
とあきらめるのか、
「私は無知すぎるな」
とくじけずタフになるのか、
そこも分かれ道ですよね。

沖縄でのコーヒー栽培では台風と向き合うのは大切ですが、
世間一般のコーヒー栽培のイメージは
「熱い陽射しの晴天に、見渡す限りのコーヒー農園」
という、
ブラジルのプランテーション農場ですから、
そのイメージを優先した農園造りが沖縄では多いです。

外見の見た目は良いかもしれないけど、
それは台風には無防備で間違いなく被災します。

「台風が来なければいいな」
「今年は台風は来ないさ」
とか
「台風が来ても何とか無事であってほしい」
といった、
「困ったときの神頼み」
ではなく
「やることやって神頼み」
にしないと。

ふだん信心深くないくせに、
初詣に行って、神社の祭壇に10円を投げて
「二拝二拍手一拝だったっけ?」
と神社参拝マナーを思い出して
重大なお願いをいくつも神様に要求したって
効き目があるわけないのと同じことなのです。

出来るだけ被災しない、良くいえばギリギリの防風対策、
ふつうにいえば「テーゲー(=大概、適当)」の対策をして
失敗するケースが多々あるのです。
この事例は多すぎて紹介できません。

南城市の知念農園でも、
本島南部を襲った3年前の大型台風で壊滅的な被災をして
以降コーヒー栽培はしていません。
ここでは山城方式で行っていましたから、
それでは近年の大型台風到来時代では、もう通用しないということなのです。

コーヒー山は、やんばるのほぼ中央に位置する民有林ですから、
森を覆う照葉樹林などから、森林内のコーヒーが守られるので
沖縄でのコーヒー栽培は森林栽培が最適だと思います。

また、台風では塩害も考えないといけません。
海抜80m、海岸から1kmの我が家からは藍色の太平洋が見えます。
黒潮海流を北上する台風の暴風は東風ですから、
太平洋から吹き付けてくるのですが、
海抜80m、海岸から1kmに位置する丘陵地でも
潮は横殴りに立っていられない勢いで吹き付けてきます。
車は潮で茶色い錆びが広がってしまいます。

東村の諸井清二さんのコーヒー農園は
ヒロ・コーヒーから県道70号線を約10km南下した右側の丘陵にあり、
海側に傾斜した地形で海が見えていたので、
私の住んでいるところとかなり似ている環境ですが、
ここも10年以上前の台風で壊滅しています。
(ここでは防風対策がほとんどされていなかったこともありますけど)

コーヒーにも耐塩性の品種がありそうですが、
現段階ではまだ入手出来ていません。
沖縄のニューワールドでいうと、
1号は塩害にも弱いけど、生育にも時間がかかる。
生長に時間がかかるのは故国ブラジルでも同じ。
ようやく収穫期を迎えたかと思うと、その後数年で枯れ始める。
2号はアマレロ.(Amarero)、ポルトガル語で「黄色」、
つまり黄色い実が成るのですが、これも塩害に弱い。
1号に比べると沖縄向き。ただこれも長寿にはならない。

「ニューワールド系は塩害を受けやすい」
ということは沿岸での栽培には不向きといえます。
コーヒー山は海岸から約5kmも離れているので、塩害はありません。
また、ニューワールド系は中米品種などに植え替えています。

私の住む集落の古老は
「東海岸で柑橘類果樹がほとんど栽培されないのは、台風の暴風のため。
 柑橘類は西海岸で盛んなのはそのため」

と言われました。
台風銀座の沖縄で、コーヒー栽培をしようと決意したら、
「どう売るか」
ではなく、
「台風と向き合い、コーヒーが長く元気に生育出来る場所」
を確保し、
同時に
「その土壌に向く品種探し」
が必要で、
さらに
「10年以上辛抱する不退転の覚悟」
が要るとなると、
私のように世俗を離れたボヘミアン的生活をするのも
止むを得ないことなのです。

長らくお休みしてご免なさい。

ヤンバルクイナの餌付け201405-1.JPG
 我が家の台所を出た庭のブロック塀の向こう側に
 コーヒー苗木を定植してあります。
 (小さな支柱があるところ)
 見にくい画像ですみません。


ヤンバルクイナの餌付け201405-2.JPG
 コーヒー苗木を定植したあたりは、
 出来るだけ自然な環境にしたいために落ち葉を撒くのですが、
 国の天然記念物ヤンバルクイナが毎日、
 出没するようになりました。
 おそらく虫やミミズを食べに来るのだと思います。
 あわてて撮影したのでピンボケになってしまいました。


ヤンバルクイナの餌付け201405-3.JPG
 最初の頃は人の気配を感じ取っただけで、
 警戒してすぐに逃げ去っていた彼(彼女?)ですが、
 最近はブロック塀を歩いたり、私を見ても様子を伺い、
 逃げなくなって、仲間を連れてくるようになりました。
>
posted by COFFEE CHERRY at 09:45| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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