2008年12月22日

江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考えるC

昨日21日(日曜)は
「冬至(とうじ)」
で、
江戸時代の「暦便覧」という暦の解説書で
『日南の限りを行いて、日の短きの至りなれば也』
と説明されているように、
太陽が南回帰線上にあることで
北半球では1年の中で昼は最も短く、
夜が最も長い日で、
気温が低い冬の空は透明度が高く、
晴天の夜10時ごろはオリオン座が天頂よりやや南に見え、
オリオン座の左上(北東)のペテルギウス(1等星)と
その北側のプロキオン(1等星)を結んだ1辺を底辺にした
下側の正三角形の頂点の星がシリウス(1等星)ですが、
この“冬の大三角形”がくっきりと見えて、
また、夜中には
この“冬の大三角形”の下側の頂点シリウスから
地平線あたりまで下を見ると、
カノープス(1等星)も見えて、
星座にはあまり詳しくはないものの、
古代の人々が満天の星空を仰ぎ見て、
壮大な星の物語や神話を生み出したことを想うだけでも
星に願いを込めてみたくなります。

黒糖づくり1.JPG
 ファーマーズマーケットで
 「黒糖作り」をしていたので撮影しました。
 これはもちろんサトウキビです。


さて、江戸時代から学ぶ話に戻りましょう。

 ・江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える1
 ・江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える2
 ・江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える3
の続きです。

「暴れん坊将軍」は、第8代将軍・吉宗が、
貧乏旗本の三男坊・徳田新之助となって
町火消し「め組」の頭・辰五郎のところに居候し、
南町奉行・大岡忠相(ただすけ)らが協力して
悪を退治する勧善懲悪もの時代劇でしたが、
史実でも大岡忠相が、
自営組織として「いろは四十八組」の町火消しを組織し、
実在した新門辰五郎の受け持ち区域は、
神明町(神田)、増上寺(芝)あたりの
「め組」の管轄になっていますので
時代背景的には割りあい正しいようです。

黒糖作り2.JPG
 これはサトウキビの簡易圧搾機です。
 左はモーターで、右の四角い入口から
 サトウキビを入れて圧搾するのです。


江戸時代264年のうちに、
「江戸では火元から長さ15町(約1,637m)以上
 延焼した大火が96回あった」

といわれていますから
264年÷96回=2.75回/年(=平均2年9ヶ月に1回)
という、
平均すると3年に1度は大火があり、
7日に1回は小火(ぼや)があった、
ともいわれていますから、
「火事と喧嘩は江戸の華」
というのは、
江戸っ子の威勢の良さを表わしたことばですが、
延焼を防ぐために火災の周囲の家を競って
ケンカをするように打ち壊した様子も思い浮かびますし、
「宵越しの銭は持たない」
のも、
頻発する火事で財産や命の保証もないし、
また当時は貯蓄をする銀行もなく、
住居には鍵もあまりないような時代ですから
「焼けたり盗まれるよりは使い切った方がましだ」
という江戸気質が育ったのでしょう。

当時の建物が木造で、
木材と竹、和紙(ふすま)で造られていましたし、
長屋や屋敷など建屋が連結していること多くて
ちょっとした火災でも次々に延焼したらしく、
江戸時代では放火は死罪であったのもうなづけますね。

黒糖作り3.JPG
 反対側から撮影したところです。
 左の四角い出口から
 圧搾されたサトウキビが
 竹刀(しない)がよれよれになったように出てきます。
 圧搾した液は、機械の下側から出るようです。


江戸時代初期の大開発時代に
農地も人口も急増して江戸も大都市になり、
また度重なる火事も重なって
建築用の木材需要増大や
大規模な寺社・城郭の造営が相次ぐなど
森林の伐採は全国的規模で拡大し、
大開発時代の終わりごろの
第6代将軍・家宣(いえのぶ)のころには
本州、四国、九州、北海道南部の森林のうち
当時の技術で伐採出来る森林の大半は失われていたといわれ、
この弊害として、
土砂流出や河川の土砂が堆積したり、
河川の洪水が発生したり、
またそれらに付随して舟運・利水が困難化したり…
という様々な災厄を
日本列島にもたらすことになったのです。

黒糖作り4.JPG
 サトウキビを圧搾した液はコゲ茶色をしているので
 何かを混ぜたのではありません。
 鍋でグツグツと煮出して乾燥したのが黒糖です。


こうした開発による弊害を憂慮した幕府は
「山の価値」
を見直し、森林保護政策に乗りだして
第4代将軍・家綱時代の寛文6年(1666年)に発令された
「諸国山川掟(やまかわおきて)」
や、
 ・ 留山(とめやま)
   森林資源の維持を目的に特定の森林の伐採を禁じる制度
 ・ 留木(とめぎ)
   特定の種類の樹木の伐採を禁止し,制限する制度
 ・ 割山(わりやま)
   村落による入会地を分割する取り決め
 ・ 年季山
   期間限定で入山利用可能にする制度
 ・ 部分山
   領主と村人(利用者)で収穫を分け合う取り決め
 ・ 番繰山
   収穫する山の順番の取り決め
など、
森林資源の回復促進と厳格な伐採規制・流通規制を敷き、
大開発時代の集約農業を反省し、
山を見直して荒廃した田畑を救い、
農業・農村を立て直そうという気運が高まり、
明代後期1639年に刊行された、
欧州の農法の紹介と自然科学の視点で
中国在来の農業を解説した「農政全書」を参考にして、
江戸時代前期の農学者・宮崎安貞が
第5代将軍・綱吉の時代、元禄10年(1697年)に
日本最初の農書「農業全書」を刊行して以降、
全国各地に“農書”が続々と登場してきました。

黒糖作り5.JPG
 圧搾したサトウキビのカスで“バガス”といいます。
 これには糖蜜やミネラルが豊富で
 有益な肥料になり、コーヒー山でも欲しいのですが
 製糖工場では多くが燃やされているのです。


第8代将軍・吉宗が丹羽正伯に命じて編さんさせた
「諸国産物帳」
から、
“適地・適産政策”が広まって
米以外の農作物の商品化が進み、
「四木三草」
  四木
   ・ 茶
   ・ 桑
   ・ 漆(うるし)
   ・ 楮(こうぞ、紙の原料)

  三草
   ・ 麻
   ・ 紅花
   ・ 藍

の栽培が盛んになり、
また、なたね油等を灯に使うようになって、
庶民の夜の生活が変わり、
読書、芝居、習い事などの趣味・娯楽が盛んになって、
庶民文化が一斉に花開きました。

第11代将軍・家斉(いえなり)の時代、
寛政5年(1793年)には
彦根藩湖東の農学者・児島如水が
稲作や稲の雄・雌の図説、稲穂の掛け干しの効用、
病害虫の駆除法、
綿栽培の要領などを解説した
「農稼業事」
を刊行するのですが、
この上巻付録の「農人常々心得の事」には、
 「山林に樹木が繁茂していないと、
  池や川の用水が少なくなって、
  作物が充分生育できなくなる。
  また、そのために薪にも不自由するようになると、
  肥料として利用すべき草木類までも
  薪として使用してしまうので、
  次第に田までもやせおとろえるものである。
  伐採した山林や、あるいは大風によって
  被害を受けたところには、
  年々いろいろの樹木類を
  植え継いでいかなければならない」

というように
現代にも知らしめたい内容が書かれています。

ローゼルの苗木.JPG
 ローゼルの苗木をコーヒー山に植えつけしました。
 ローゼルの収穫は今ごろがピークですが、
 種植えや植え付けの時期がよくわからずに植えたので
 うまく育てば良いのですが。


篤姫(あつひめ)が嫁いだ
第13代将軍・家定(いえさだ)の江戸時代後期、
安政6年(1859年)には、
農学者・大蔵永常が
「国家繁栄の基礎は農家の経済改善から」
という考えを基に、
実が蝋(ろう)になるハゼノキや棉(わた)、
サトウキビ、茶などの工芸作物や
さまざまな加工製品、養蚕、養蜂など
販売に有利な60種類の品目について解説し、
諸藩の支援による特産物育成を記した
「広益国産考」
を刊行し、
「諸木植立」の思想が全国に広がりました。

林床地1220.JPG
 バナナロードに近い林床地の奥の方です。
 デジカメがやや斜めになって撮影したので、
 実際にはここまで急斜面ではなく、
 なだらかなスロープ、といった感じです。
 奥の方はまだ伐採していませんが、
 この林床地はかなり広く、
 山のオーナーが30年前に大変な思いをして
 山を開拓したことを感じずにはいられません。


江戸時代中期は、ヨーロッパでは産業革命の時代で
日本は鎖国のために近代化・機械化では
大きく遅れをとることになるのですが、
ヨーロッパでは鉱物資源(石炭)を原料に
生産の効率化を追求し
資源の確保と製品の販路を広く海外に求め、
農村を圧迫して貧富を生み、
やがて戦争をもたらす資本集約型ですが、
これと対照的に江戸中期は
鎖国による国内の植物資源を基礎として資本を節約し、
人間自身の力で地域資源を活用した農産加工は
農村と都市を結び、
安定と平和をもたらした内需拡大型で、
自給率が低く、暗黒の時代に入った今だからこそ
江戸中期の先人たちの知恵を学びたいのです。

長くなりましたので、また次回に続きます。

クモの孵化0812.JPG
 北山山麓のコーヒーの木でクモが孵化していました。
 無事に育って害虫駆除をお願いしたいところですが
 多くはトカゲ類やカマキリ、
 鳥などに食べられてしまうことでしょう。


posted by COFFEE CHERRY at 21:36| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 江戸時代の農政から学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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