2008年12月27日

江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考えるE

ひところ、
「会社は誰のためのものexclamation&question
というトンチンカンな論議があって、
米国流の株主主権論とかが持てはやされたり、
「顧客満足(Customer satisfaction)」
という概念が流行普及したりしていましたが、
今秋の米国型金融の破たん後の世界の激変や
大量解雇の報道を見ていると、
「顧客満足よりも、まず自社の社員を
満足させられない会社に未来はなさそう」

と思う今日このごろです。

キノボリトカゲ0812.JPG
コーヒー山に多数棲息するキノボリトカゲですが、
どうも天敵が減少する冬に孵化しているようで、
地表を歩いている子供をよく見かけます。
この画像は、雨水貯蓄用の
45リットルのポリペールに入り込んでしまって
出られずに困っているキノボリトカゲです。
もちろん、雨水は入っていません。


さて
江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える1
江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える2
江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える3
江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える4
江戸時代を見直して沖縄コーヒーのブランド化を考える5
の続きです。

第15代将軍・慶喜(よしのぶ)が
京都二条城に諸藩の大名を集めて
大政奉還を発表して政権を朝廷に返還し、
その1ヵ月後には近江屋で
坂本龍馬と中岡慎太郎が襲撃されるのは
1867年という江戸時代の終わりの年ですが、
ここからわずか8年前の安政6年(1859年)というと、
吉田松陰が江戸伝馬(でんま)町の
幕府評定所に投獄され処刑され、
天璋院(てんしょういん、篤姫)は
夫の将軍・家定(享年35歳)が急死して
結婚生活1年9ヶ月で24歳で未亡人になり、
その10日後には養父・島津斉彬(なりあきら、享年50歳)も
亡くなった翌年で
傷心のまま前将軍の妻ということで大奥を仕切っていた
この安政6年(1859年)には
農学者・大蔵永常が日本各地を縦断して
特産作りに成功しているところと
そうでないところの違いを調べあげ、
「国家繁栄の基礎は発想の転換から」
という理念で書き上げた
「広益国産考」
が刊行された年でもあるのです。

キノボリトカゲ0812−2.JPG
 ササッと3〜4歩動いては静止する見慣れた光景ですが、
 小昆虫を捕まえたようで、目が嬉しそうですね。


ここには
「国(藩)の特産物についてわきまえるべきこと」
として、
「まず、その国で生産しないために
 他の諸国から購入している出費を防ぐことを考え、
 さらに、適当なものがあれば作って
 他国へ出荷し利益とすることを考えるべきです。
 米穀の次に無くてはならないものは、
 第一に蝋(ろう)、油、畳表、醤油などです。
 これらを生産していない国は、
 まずこの品を生産するようにしなければなりません。」


「醤油を買い入れて使っている農家がありました。
 なぜ手造りしないのかと聞くと、
 家で醸造するより買って使うほうが得だというのです。
 この考えを私は熟考してみたのですが、
 やはり家で造って使う方が
 得だという結論に達しました。」


「菜種ができる条件があるのに、
 他から油を買うのは
 その国の財産をとられるようなものです。」


「下々の人民の生活を豊かにし、
 その結として領主の利益になるように計画すべきです。」


というように、
『人民の生活が豊かになる』
ことが基本にあり、
 ・ まず主食の米穀があること
 ・ 農家の自給があること
 ・ 藩の自給があること

その上で
 ・ 他国への出荷、販売があること
という堅実な考え方になっていて、
 ・ 不毛の地に杉や檜を植える
 ・ 畑の境や山畑などの傾斜地に
   楮(こうぞ、紙の原料)を栽培する
 ・ 屋敷周りに茶を栽培する
 ・ やせ地には薬草を栽培する

というような土地の有効活用や
 ・ 農閑期には楮(こうぞ)の紙すきをする
などの時間的活用など
土地と資源、そして人間の活用を重視するように
書かれていて、
全国に遊休地があって失業者があふれている、
100年に1度の危機だからこそ
見直してみたい考え方だと思います。

キノボリトカゲ0812−3.JPG
 コーヒー苗木を降りてきて、
 擬態しているつもりのミニ・恐竜
 キノボリトカゲです。


また、
「国の利益になると思えば、
 商売のように、その年に始めて、
 もうその翌年には
 利益があがるように思う人もいるのですが、
 まず十年間は継続してやってみなければなりません。
 そうすれば、莫大な利益をあげることができるでしょう。」

というように、
長期計画で取組む姿勢も重視されていて、
「半年後の換金作物」
に振り回される沖縄農業では、
特に必要な考え方だと思います。

オキナワヤモリ1.JPG
 キノボリトカゲとほぼ同じ大きさで
 体型も顔や背中がゴツゴツして
 何となく似ているのですが、
 これはキノボリトカゲではなく、
 トカゲの親戚のヤモリで、
 環境省レッドデータブックの
 準絶滅危惧に指定されている
 「オキナワヤモリ」です。


また、
「初めから領主の御威光で指導し命令する方法では、
 かえって受け入れられず、
 なかなか普及しにくいものです。
 国の趣きに熟達した人に一任する形で
 特産物の普及に努めれば、
 ついには国全体にひろまって、
 農家の利益となるに違いありません。
 さらに領主が、その品物の販路がよく開けるように
 もっぱらお世話下さるならば、
 国の特産物ともなり、御利益ともなることでしょう。」

というように、
官の主導ではなく、
地域のリーダーに裁量を発揮させることが第一で
官はそのサポート役に徹すべき、
という、
本来当たり前のことなのですが、
最近流行の産学官連携は、
昔の産学軍の流れで官主導になりがちですし、
審査側にプランの“目利き”が不在なこともあって
短期投資効率化ばかりが求められて
大成しないプランを採択してしまうケースも多く
 ・ 『土地に応じ』た高品質
 ・ 他にはない『比類無き』特色
 ・ あせらない長期戦略
 ・ 生産者自らの創意と工夫

が特産を名産に育て上げる、
という江戸時代の思想は、
決して過去の遺物ではなく、
今だからこそ見直す必要があると思うのです。

オキナワヤモリ2.JPG
 「オキナワヤモリ」は約13cmで
 ヤモリとしては大型の部類です。
 沖縄本島北部、伊平屋島、久米島あたりの
 森林に棲息しているようです。


また、江戸時代後期に出版され、
全国の特産物商品100ずつを東西の番付として記した
「諸国産物見立相撲番付」(作者・発行年不明)
では、
横綱に
 ・松前(北海道)の昆布
 ・土佐(高知)の鰹節

という、だし素材と
 ・上野(群馬)の上州織物
 ・山城(京都)の京織物

の織物
大関に
 ・尾張(愛知)の瀬戸焼
 ・鍋島(佐賀)の有田焼

関脇に、
 ・最上(山形)紅花
 ・阿波(徳島)の藍玉

という染料、
 ・越後(新潟)の縮(ちぢみ)
 ・山城(京都)の茶
 ・紀州(和歌山)の蜜柑
 ・備後(広島)の畳表
 ・日向(宮崎)の椎茸
 ・薩摩(鹿児島)の黒砂糖

などがランキングされているのですが、
ここで
「特産と名産の違い」
を考えてみましょう。

定義としては、
 ・「特産」
  その地域に特に産出される固有な産物で、
  他の地域ではあまり見かけないもの

 ・「名産」
  他の地域にも有るかもしれないが、
  その地域の物が特に優れているもの。

ですが、
沖縄での「コーヒーのブランド化」という観点で考えた場合、
沖縄でのコーヒー栽培の歴史は明治時代にさかのぼり、
特に戦後は故・和宇慶朝伝さんから
始まった流れが明確になっていて、
「沖縄でコーヒーが栽培出来るのか、出来ないのかexclamation&question
という答えはすでに出ていていますから、
現状でも
「沖縄で栽培する国産コーヒー=特産」
と充分にいえるはずです。

オキナワヤモリ3.JPG
 沖縄では、なぜか「ヤンバルクイナ」ばかりが
 脚光を浴びるのですが、
 開発や農薬、マングースなどの影響で
 ひっそりと確実に
 数を減らしている動物たちも多いのですが、
 このオキナワトカゲも同様で、
 以前は本島南部でもあちこちにいたオキナワヤモリも
 コーヒー山でもなかなか姿を見かけません。


しかし、私が目指す
「沖縄コーヒーのブランド化」
とは、
「世界中のコーヒー豆に
 対抗しうる高品質でなければならない」

ことを出発点に考えているので、
現在、もちろん私も含めてですが、
「沖縄での現状のコーヒー栽培は、せいぜい特産」
という、ややもすれば
「ただ沖縄で栽培しているコーヒー」
の域を出ないのが現状なので、
これでは「ブランド化」どころではないのです。

それなら、沖縄でコーヒーが栽培可能であるなら、
「どうすれば高品質化出来るかexclamation&question
という考え方については、また次回に続きます。

林床地081224.JPG
 バナナロード近くの林床地には、
 まだまだコーヒー苗木があります。
 沖縄では1月中旬が最も寒いのですが、
 土温もだいぶ下がってきましたから
 移植は暖かさを見ながら2月以降になりそうですね。


年内はこれが最後になるかもしれません、
読者の方々は、良いお年をお迎え下さい。

コーヒー苗木081224.JPG
 木漏れ日を浴びて
 気持ち良さそうなコーヒー苗木です。


posted by COFFEE CHERRY at 14:22| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 江戸時代の農政から学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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