2009年08月24日

タイワンシロガシラから学ぶ

沖縄本島で“北部三村”というのは、
 ・ 国頭(くにがみ)村
 ・ 大宜味(おおぎみ)村
 ・ 東(ひがし)村

のことを指し、
この地区はうっそうとした亜熱帯原生林が広がっていて
その森林率はいずれも8割前後もあり、
「やんばる」が“山原”と書かれることも
納得出来るのです。

タイワンシロガシラ0908-1.JPG
 自宅近くのコーヒーテスト圃場のバナナです。
 右はフィリピンバナナ、
 左の房を布で覆っているのはブラジルバナナです。
 この圃場にはこの他に、
 島バナナやボリビアバナナ、
 マッサンバナナ、イスラエルバナナ、
 三尺バナナ、調理バナナなどを栽培しています。
 左のブラジルバナナは完熟が近いので
 鳥害から守るために房を布で覆っているのです。


コーヒー山は国頭村の中心あたりにありますが
北部三村の農作物の野生鳥獣被害は、
 ・ イノシシ
 ・ カラス

が突出していて、
コーヒー山でも、
今のところカラスの被害は
昼食時のお弁当くらいで実害はないのですが
イノシシは、実際に“ウリ坊”と
林床地で出会っていますし
コーヒー山に植えたバナナの子株の9割以上が
イノシシに次々に掘り出されて株を食べられていて
林道からコーヒー山に入る私道は
「バナナをズラッと並べたい」
ということから
『バナナロード』
と名付けているものの、
バナナ子株がほぼ壊滅の状況では
「コーヒー山にバナナを植えたくても植えられない」
のが実情で、
バナナは自宅近くに植えようと考えています。

タイワンシロガシラ0908-2.JPG
 フィリピンバナナの房の上には
 何やら鳥の巣らしいものが乗っていました。
 この圃場ではメジロが度々巣を作っているので
 始めは「メジロの巣」と思っていました。


私の自宅やテスト圃場は、現在は本島南部ですが
この地区の鳥獣被害では
カラスよりも
「タイワンシロガシラ」
の方が実害が大きいのです。

タイワンシロガシラ0908-3.JPG
 翌日圃場に行くと、房の上の巣には
 「タイワンシロガシラ」が入っていたので
 「タイワンシロガシラの巣」だということが判りました。
 画像からでは判りにくいのですが、
 「タイワンシロガシラ」が入っているのが
 判るでしょうか?


「タイワンシロガシラ」
は、
もちろん沖縄に
もともと生息していた野鳥ではなくて外来種ですが、
スズメ科ヒヨドリ科の体長15〜20cmのやや大きな鳥で
警戒心が強くて敏捷性にも優れていて
おまけにものすごく学習効果が高くて賢い野鳥なのです。

沖縄に入ってきたのは
 ・ 台湾から台風などで渡ってきた
 ・ 沖縄に駐屯する海兵隊が
   ペットとして持ち込んで逃げ出して繁殖した

などの諸説があって
本当のところははっきりしませんが、
沖縄が日本に復帰して4年目の1976年(昭和51年)、
ロッキード事件で田中角栄前首相が逮捕されたり、
中国で第一次天安門事件が起こったその年に
タイワンシロガシラが沖縄で最初に確認されたそうですから
最初の発見から、まだ33年しか経っていないのに、
またたくまに県内で繁殖して、
国立環境研究所の侵入生物データベースにも
リストアップされるほどになっている
立派な“害鳥”に出世してしまいました。

沖縄で発見されてから20年後の20世紀末には
「大宜味村でも見かけた」
という北限情報があったようですが、
それから10年ほど経つのに
隣接する国頭村では目撃情報を聞いていませんし、
私も今のところ見たことはありませんから
以外と「タイワンシロガシラ」は人里近辺に棲息して
農作物を食害しながら
分布を拡大しようとしているのかもしれません。
温暖化の影響なのか、
“北限”は沖縄も奄美でもなく、
すでに鹿児島でも見かけられているようです。

タイワンシロガシラ0908-4.JPG
 画像では鳥の頭が白いのが見えないのですが、
 「タイワンシロガシラ」です。
 巣を守っているようで、
 警戒してこちらを見ています。
 このバナナがあるブロックでは
 先月2m級の大物ハブが
 私のすぐ近くを横切っっているので
 私は地面を警戒しながら巣を見ているのです。


「タイワンシロガシラ」
が、どのくらい頭が良いかというと、
例えば、防風ネットや防虫ネットで囲われたハウスに
小さな「穴」が開いていると、
タイワンシロガシラだけでなく、
スズメももちろんハウスの中に入ってきますが、
何かの拍子で、鳥が逃げ出す時には、
スズメが出口がわからずパニックになり、
逃げ惑うのに対し、
タイワンシロガシラは入ってきた小さな「穴」から
冷静に逃げ出すのです。

また、猟師が散弾銃で発砲しようとしても、
電柱や車、人の居る方などに移動するとか
バラバラに分散するとかの
頭脳的な逃げ方も出来るのです。

タイワンシロガシラ0908-5.JPG
 いつもなら人間の姿を見ただけで
 逃げ出すほど警戒する鳥が
 大事に巣を守っているので、
 巣の中を覗いてみると
 卵が2個あるのを見つけました。
 ただし産卵日は不明です。


このタイワンシロガシラが、
「コーヒーの実を食べるかどうかexclamation&question
ということについては
実害は少ないものの
「タイワンシロガシラはコーヒーの実を食べる」
のです。

樹木の果実が糖分を含んで甘いのは
鳥類や哺乳類に食べてもらうための
果樹の“仕掛け”で、
果肉が消化されても中の種子はフンと共に排泄されて
遠く離れた場所に子孫を芽吹かせて
分布拡大に役立たせているのですが、
コーヒーの実も糖度が10以上あって甘く
赤い実を付けるのも緑色や茶色の樹林の中で
目立ちやすくさせているのです。

県内のコーヒーの生産者の一部の方は
「タイワンシロガシラはコーヒーの実を食べない」
と断言する方もいるのですが、
それは間違いのはずです。

タイワンシロガシラ0908-6.JPG
 卵発見日から4日後に圃場に行ってみると
 すでに孵化していました。


それならなぜコーヒーの実害が少ないのかというと、
もちろん答えをタイワンシロガシラに
直接聞くことは出来ないのですが、
おそらく
 ・ コーヒー以外に、もっと魅力的な農作物があり、
   そっちを優先している
 ・ コーヒーの実が甘いだけでなく、
   何か苦味成分のようなものがあって、
   それが嫌われている

などが考えられます。

タイワンシロガシラ0908-7.JPG
 卵発見日から6日後には雛が少し大きくなっていますが、
 もう1つの卵はまだ孵化していません。


沖縄に生息し始めてまだ三十数年しか経っていない
タイワンシロガシラにとって
コーヒー自体がまだ県内でも目新しい農産物ですから
「認知されていない」
ということもあるかもしれませんが、
私は上記2点の事由で
「今のところは、あまり被害に遭わないで済んでいる」
と考えていて、
コーヒー生産者が増えるにつれて
いずれ被害は増加傾向にあると危惧しています。

タイワンシロガシラ0908-8.JPG
 卵発見日から8日後には
 雛は羽の形がはっきりしてきました。
 親鳥は近くのハイビスカスの垣根で
 私に怒っています。


コーヒー山には
今のところタイワンシロガシラは見かけないものの
ホントウアカヒゲやアカショウビンなどの
多くの野鳥が棲息していて
これらがやがてコーヒーの実も
食害するのではないかと危惧しているのですが、
沖縄でコーヒーの実を収穫する時期は“冬期”が中心で
この時期のやんばるは柑橘類の収穫期も重なっていて
野鳥のDNAも
「柑橘類は昔からやんばるにある美味しい食べ物」
と伝授していて、
野鳥は柑橘類を重視すると思いますが、
コーヒー山では、念のために
「おはよう、フェルプス君。今回の任務だが…
 野鳥に食べさせる“おとりの果樹”を
 周りに植えることで実害を少なく…」

という
「おとり大作戦」
を遂行しようと考えています。

タイワンシロガシラ0908-9.JPG
 卵発見日から10日後には
 外径10cmくらいの巣の中が
 窮屈になるくらい雛は大きく成長していました。
 もう1つの卵はついに孵(かえ)らなかったようです。
 この2日後に巣を覗くと雛はもう巣立ちしたようで、
 親鳥も居ませんでした。
 メジロは産卵後11日前後で孵化し
 それからまた11日前後で巣立つといわれていますが
 どうやら「タイワンシロガシラ」も
 同じくらいのようです。


posted by COFFEE CHERRY at 23:50| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒーから学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイワンシロガシラは、私が沖縄で最初に覚えた鳥の名です。たくさんいますね。害鳥となると手ごわそうですねぇ。

「おとり大作戦」・・なるほどです。
Posted by ボーンチャイナ at 2009年08月30日 17:50
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