2006年06月15日

ラオスのコーヒー事情

大河メコンが流れ、
豊かな森に覆われたインドシナ半島ラオスは、
国民1人当たり1日約1US$で暮らす貧国でもあります。

太平洋戦争後、1953年にフランスから独立し、
内戦や政治的混乱を経て、
1997年にASEANに加盟した途上国です。

何しろ、貧国ライン以下人口が
国民の40%を占め(2001年度推定)、
・ ラジオがある家庭 52%(2000年度)
・ テレビがある家庭 30%(2000年度)
・ 水道・井戸・安全な飲み水あり 56%(2000年度)
・ 車がある4%(2000年度)
・ 自宅出産率86%(2000年度)
・ 平均寿命55.8歳(2005年度)
で、
ベトナム、タイに挟まれた国にしては、復興が遅れています。

この主因は、約30年間に及んだ内戦や政治的混乱ですが、
国土の8割は山岳地帯で、
耕地及び耕作適地は、国土面積の約4%しかなく、
道路や水も充分に普及されておらず、
国内の村が孤立して自給自足的生産を強いられていること
などもあって、
隣国カンボジアと並んで
東南アジアに取り残された貧国となっているようです。

ラオスは、地形的に細長く、
北部のシュンクァン高原では畜産や野菜が主体で、
南部のボロベン高原ではコーヒーを主体に
野菜、果樹が生産されています。

ラオスのコーヒー生産量
・ 1996年 1万トン
・ 1997年 1万2千トン
・ 1998年 1万7千トン
・ 1999年 1万8千トン
・ 2000年 2万3千トン
と、
ラオスでもコーヒー生産を国策として力を入れつつあるようです。

2005年度のコーヒー栽培面積は
35〜40万ヘクタールと言われていて、
・ ロブスタ種90%
・ アラビカ種10%
の割合のようです。

昨年度の販売価格は
1トン当たり500〜600US$
(1kg当たり約65円前後)のようです。

ボロベン高原のタイ側国境付近のチャンパサック県だけで、
年間1万3千トンのコーヒーが栽培されているようです。

生産の85%を、
フランス・ドイツ・オランダの欧州先進国と
隣国タイに輸出しているようです。

2年前の2004年から日本へも輸出が始まりました。

日本の規格が厳しいため、というより品質管理上の問題で、
この年は約7トンが輸出されたようです。

315ヘクタールの農園を所有するルアン・リッダンさんは、
自ら資金を出してUCCに人材を派遣し、
生豆の検査方法を学ばせ、品質向上に努め、
昨年度は200トンの輸出契約が成約したそうです。

315ヘクタールに約8万本のコーヒーの木を栽培し、
1本の木から約5sの生豆を生産した、
と大ざっぱに仮定しますと、
この農園の生産量は、

約8万本の木 × 約5sの生豆 = 約400トンの生豆生産

ということになりますから、
数字的にはおかしなものではありませんね。

“フェアトレード”という言葉は、
実際には装飾後として使われているようで、
世界的に見ると、
途上国のコーヒー生産者は1kg1US$を
はるかに下回る価格しか手に入らず、
生産意欲が低下し、それが品質低下につながっています。

近江商人の
「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」
という教えは、
「取引は、当事者だけでなく、
 世間の為にもなるものでなければならない」

ことを、今一度考えなければいけないと思います。

生産者は、
まず「良いもの」を作らないといけないし、
また「良いもの」を作らせるような環境も必要だと思うのです。

「三方よし」の原典は、
1754年(宝暦4年)の中村治兵衛宗岸の
書置に出てきますから、もう250年も昔の思想なのですが。


2年前のテレビ番組「世界の知られざる大富豪」で、
ラオスコーヒーの女性オーナーが
取り上げられたことがありました。

断片的な記憶ですが、
・ コーヒー農園の経営で年収4億円
  (日本の貨幣価値に換算すると400億円?)
・ 十数年前は雑貨屋の売り子だった
・ ラオスの国策としての市場経済導入を機に、
  「個人でも輸出入の商取引ができる。
   欧米に対して輸出できるラオス産のものは何かないか」
  と考えた結果、
  まったく未経験だったコーヒー栽培に乗り出した
・ 不慣れなコーヒー栽培に当初は失敗の連続で、
  初年度は1,600万円の損失を出したが、
  研究を重ねてついに成功した
というようなサクセス・ストーリーでしたが、
ラオスで1,600万円の損失は、
この番組での日本の貨幣価値換算では100倍ですから
実に16億円になります。

ただのオバさんが16億円もの損害を出せるものなのでしょうかexclamation&question

年収4億円、とすると、
この農園の売上げ規模では20億円前後が必要ですから、
20億円 ÷ 1kg当たり約65円 = 約7万1千トン
約7万1千トン÷1本の木から約5sの生豆 =1,420万本
ということは、最低1,500万坪=約5,000ヘクタール
の農場が必要になりそうですが、
一介のオバさんに、
そんな広大な農地が確保できるものなのでしょうかexclamation&question

まあ、面白おかしく肉付けされた内容でしょうから、
実話とは程遠いと思われますよね。

posted by COFFEE CHERRY at 15:18| 沖縄 ☔| Comment(9) | TrackBack(0) | ラオスのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ラオスのコーヒーですが、ダオフアンというコーヒー屋ですね。この会社のオーナーは確かに女性で、そのテレビの番組に出ていた人です。ラオス南部のパクセイ郊外のパクソンという平均高度1300mの高原でコーヒーの栽培をしています。一昨年の秋ごろに訪問しましたが、ことコーヒ園に関しては立派なもので手入れもご主人が自ら住み込んでしておられました。
さて社交の奥さんも朝青龍!に似た人で、気さくだし根性もありそうな人でした。豆はグリーンの状態で手に入れ、自家焙煎して愛飲していますが、中々のものです。
実際、この人は味の素の輸入でお金儲けをし、各地のラオス国境に免税店を持ち、日本円で10億くらいの仕事をしているらしです。またコーヒーはロブストを年約一万トン、ベトナム、またはベトナムを通じてヨーロッパへ輸出しているようです。アラビカは自らはティピカを年1000トンほどできるようになったとのことです。
コーヒで4億というのはそれほどの法螺ではありません。
また、近年、中国雲南のアラビカのティピカは中々手に入れるのが困難になってきました。私自身はラオス・アラビカを愛好しています。
Posted by 野中明 at 2006年06月26日 18:19
コメント、有難うございました。
ラオスの女性経営者の経営能力はすごいですね。

野中様がラオスを視察されたということは、
ベトナムも見られたのですね。

「雲南アラビカは品質が良いが、加工技術に問題がある」
と聞いていますが、どうなのですか?
Posted by 岡田康子 at 2006年06月26日 19:25
ラオスは大体毎月行っています。ベトナムの方は残念ながらあまり行っていません。雲南のほうは今後いろいろ調べようと思っています。
焙煎機を現地で作ろうと思っています。何かよい情報あるでしょうか?一応の調査はしましたが、今一歩踏切れていません。
沖縄にも近いうちに是非行きたいと思っています。その折はよろしく。
Posted by 野中 明 at 2006年07月02日 14:49
ダオフアンですが、20億のうち4億くらいがコーヒー事業で、ロブストに関しては地域の農民から仕入れ、アラビカを自家農園で栽培していると思います。私の感想では社長さん夫妻は別として、スタッフはほとんどボーっとした人のいい人ばっかりで、中に中国人顔負けの欲深の成り上がりスタッフがいるようです。市場経済を取り入れた発展途上の社会主義国というのはこういうのが相場です。
昔は西洋植民地主義の代表的プランテーション、典型的商品作物。今は低開発国の成金の事業というのが、このあたりのコーヒー産業かと。
ラオスの人は基本的にコーヒーは飲みません。ラオコーヒーと称してラオス国内で飲まれていますが、在庫の豆を超深炒りして、それが、中々売れないためもう油が浮いてきて、いかにも胃が悲鳴を上げそうなコーヒーが売られています。これはベトナムでも同様かと思います。首都ビエンチャンにも焙煎をしているところは見当たりませんから、南部パクセーあたりで大量に焙煎して出荷しているものと思います。
現地での飲み方はコンデンスミルクを先に、後からコーヒーをというベトナム方式です。このごろはカリタもメリタも、スズキもペーパーフィルターを売っていますが・・・・・
コーヒーを好きな人がコーヒーを栽培する、これが無いとどこかがおかしくなります。
沖縄のコーヒー期待しています。
Posted by 野中 明 at 2006年07月02日 15:20
焙煎は野中様の方がよほど詳しいと思いますが、
ボタン・ポン式の焙煎機では、
・焙煎をする室内温度や湿度の関係、
・生豆の保水率や乾燥度合い
が、加味されませんから、
より安定した品質にするためには、
焙煎する環境も考えなければいけないと思っています。

ラオスに毎月のように行かれるなんて、
凄いですね。
雲南で栽培出来るものは、沖縄でもずいぶん栽培されていますよ。
Posted by RIU at 2006年07月02日 18:58
その後のラオスのコーヒー事情
ビエンチャンにコーヒーハウスが出来ました。松島さんという女性が経営なさっています。ラオス・アラビカ生豆を毎日自家焙煎して、一杯一杯点ててくれる、小さいけど立派なコーヒーハウスです。松島さんはラオス南部、主にパクセー、さらに付近のパクソン高原の豆を直接農家から仕入れされています。
ラオス国内では最近なかなか良い豆が手に入らなくなってきました。フェアートレードとかいって「大きなお世話団体」が大量に買い付けているようです。この手の輩は今あらゆるところで問題を起こしているようです。わたしはキリスト教の「大きなお世話思想」の現代版かなと思っています。あのザビエルのイエズス会のように世界のとんでもない奥地にまで進出しています。そんなに困ってもいない現地の人をまるで不幸のどん底にいる人のように扱って、おしまいには現地の人までもが自分たちのことを何か不幸だと錯覚するほどです。現代はそれと経済が結びつきフェアートレードなる運動となっているのではと思います。日本ではNPOだとかNGOといって、いわば頼みもしていないのに「大きなお世話」活動をされているようです。
ラオスでもいろんな団体がいかにも善いことをしに来ていると言う態度で町を闊歩しています。それに乗じて、いわば「すねかじり」の若者が日本留学などをした経験を使って「ちょうちん持ち」のようにちょろちょろと動き回っています。
去年なんかはそのおかげかアラビカがまったくラオス国内で手に入らなくなりました。日本へインスタントか缶入りコーヒーの原料として輸出されたからです。
西洋のどこかの国がフェアートレードといって豆を持ってゆく、日本がもったいない豆の輸入をする。困った事です。
最近わたしはチェンマイから豆を持ってきて飲んでいます。
ところで5月か6月に沖縄へ参ろうと思っています。出来れば訪門したいのですが、いかがでしょうか?

Posted by 野中 明 at 2007年04月13日 15:29
以前に投稿してから随分時が過ぎました。その折の文中のコーヒーの収穫量についての計算について、気になることがありますのでお知らせします。
先ず,1haのコーヒー畑には2500本〜3000本のコーヒーを植えることができ、また収穫は1本あたり5kgのコーヒーチェリーが取れますが、これはGreen Beans では1kgとなります。
315 haでは約79万本から93万本が植えられることになり、これが約79000kg、すなわち79tから93000kg,93tのGreen beans の収穫になります。
200tはチョッと無理だと思います。
これはアラビカ種の計算ですが、ロブスト種では200tは可能かもしれません。


Posted by 野中 明 at 2011年01月05日 16:12
前回の投稿からもう3ヶ月経ちました。その後ラオスへ行って来ました。今回はいよいよ3ヘクタールのコーヒー園を手に入れ、この4月からいよいよ苗木を植えるまでにこぎつけました。この土地は「専有」しますが「所有」という形式ではありません。また、3分の2は未だ手つかずのジャングルです。ただ1ヘクタールは、1000本ほどのコーヒーの木が放置されているような状態でした。
品種はアラビカのカチモール、ティピカ種です。それでも、結局、今年としては200kgの生豆が採れました。
この土地の2ヘクタールには様々の巨木が密生しており、一見してコーヒーを植えるというのには向かないように見えましたが、また、立派な巨木を切り倒すのには忍びない思いを持ちました。それで様々な案を考えていますが、出きるだけ環境を破壊しないような利用方法を模索してます。
さて、ラオスのコーヒー生産は去年、2009年から2010年にかけてはいわゆる「不作」、しかし今年、2010年から2011年はかなりの「豊作」でした。質もかなり良かったようです。日本からはATJという組織が現地の人と協力、指導し、収穫後の加工技術等も進歩していると思います。
ここボラベン高原(Bolabeng Plateau)はラオス南部チャンパサック州にある標高1300mから1600mの高原です。私見ですが阿蘇の外輪山を超えるの広さがあると思います。今回1月末では気温が朝晩は10℃、昼が20℃程度でした。3,4月はそれが20℃/35℃に上がり、5月頃から雨季になります。ロブスタ、アラビカティピカ、カチモールが主に栽培されています。年々生産量は増大しており、最近は特にティピカの生産を増やしているようです。今月3月も現地へ行く予定があります。
ラオコーヒー、特にアラビカ・ティピカはなかなかのもので、浅炒りにしますと澄んだ酸味を持つ果実香が素晴らしく、毎日自家焙煎し楽しんでおります。
Posted by 野中 明 at 2011年03月07日 14:50
初めまして 私もラオスのコーヒーに大変興味を持っています。来年早々に現地に行く予定ですがパソコンで見ている程度で何もわかりません。何から始めれば良いのかアドバイス頂ければありがたいのですがーむしのいい話かもしれませんが宜しくお願いします。
Posted by 高橋 功 at 2012年09月14日 12:07
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