2011年04月19日

カカオの品種について

日曜夜から今朝まで、約1週間ぶりの降雨があり、
乾燥しきった地面は久々に潤い、植物も活気を取り戻しました。
水たまりが貴重に見えるほどです。

ミミズ110418.JPG
 コーヒー山でも5cm程度の雨量はあったようで、
 カサカサで乾燥しきっていた森林内は
 しっとりとした湿潤環境に変ぼうして
 植物が生き生きしていました。
 表土にはミミズの団粒土があちこちにあり、
 地面の中にトンネルを迷路のように
 掘ってくれているようです。


タネ植えに最適な満月直前の先週15日(金曜)に
ベリーズ産カカオのタネ植えを行いましたが、
コーヒーにアラビカ種やロブスタ種、リベリカ種などの品種があるように
カカオにも以下の3〜4品種があるようです。

@クリオロ種(Criollo)
 古代に栽培されていた原生種カカオは“クリオロ種”で、
 主にメソアメリカ文明の栄えた地域
( メキシコ、グァテマラ、ホンジュラス、ベリーズ、エル・サルバドルなど)
 で栽培され、
 「もともと土着していた植物」という意味から、
 スペイン語の「その土地産まれ」つまり「中南米産まれ」という意味で、
 本国産まれのスペイン人に対して、
 植民地産まれのスペイン人のことを意味しているらしく、
 以下のAフォラステロ(Foraster)については
 「よそ者」を意味する言葉なのだそうです。
 アステカ帝国のモクテソマ王が飲んでいたという
 本家門元のカカオだということもあって
 「The prince of cocoas」とも呼ばれているようです。
 他の品種よりやや苦いものの香りが良いことで、
 ブラック系チョコレートには無くてはならないブレンド豆として
 ヨーロッパの伝統的なチョコレートでは重宝されてきたものの、
 生産量が減少傾向で幻のカカオになりつつあるようです。
 群を抜いてマイルドで上品な味わいのために、
 「コーヒーでいえばアラビカ種」と例えられている最良品種です。

Aフォラステロ種(Foraster)
 上記@クリオロ種に比べて、病害虫に強く生産性が高いことで、
 現在のカカオ産業の最も重要な品種
 (世界のカカオ収穫高の約80%)のようです。
 苦みが強いのが特長で、クリオロ種よりも脂肪分、抗酸化物質とも
 多く含まれているようです。
 「コーヒーでいえばロブスタ種」と例えられている品種です。

Bトリニタリオ種(Trinitario) トリニダードで上記2種を交配させた品種です。
 生産地域によって味にバラつきがあるものの、
 香りが良いのが特長といった品種です。

以上が「カカオの3品種」といわれるものですが、
文献によっては以下も付け加えて
「4品種」とされているものもありました。

Cナシオナル種(Nacional)
 エクアドルだけで栽培されていて、
 「arriba」(フローラル&スパイシー)の香りが特長の品種のようです。

輸入業者は「大実 イエローカカオ」というだけで
「品種はわからない」というので、
今回届いたカカオの品種は自分で調べることになりました。
カカオの実を割ると、中のタネの色が
 ・白っぽくて薄い色がクリオロ種
 ・濃褐色がフォラステロ種
という特長や、
もともと中米が原産地としたクリオロ種ということからしても、
今回ベリーズから、はるばる沖縄の我が家まで送られてきたカカオは、
“クリオロ種(Criollo)”
で間違いないようです。
もし実が出来た時は、
ココアやチョコレートにする前に
アステカ帝国のモクテソマ王が飲んでいたという
カカオ飲料を作って飲んでみたいと思います。

コーヒー山の東側110418.JPG
 コーヒー山の東側は大きな谷になっていて
 東側からの風はこの谷を駆け上がってくるように吹くので
 コーヒー山での風は、特に東側からの風が要注意なのです。


チョコレートが現在のような“食べ物”になったのは
まだ200年も経っていない、
チョコレートは意外と新しい食べ物で、
それまでは永く飲料の歴史だったようです。

紀元前2000年くらい、といいますから
今から4千年も前に、
「カカオはメキシコを中心とするメソアメリカで栽培されていた」
とされています。
地球が誕生したのは約46億年前、
生物が現われたのは40億年前といわれていますが、
5億年前に生物が海から陸に上がり、
この最近の5億年の間に地球環境が大きく変わりました。
地表を緑でおおい、森林をつくり、餌となって他の生物を養う
生態系を構築したのが、この5億年なのです。
そして、植物の花や種子の誕生は、
花粉や種子を運ぶ動物との共進化現象を通して、
地球生命の多様化に大きな役割を果たして現在に至っているのですが、
人類誕生が600万年前だとか800万年前だとかいうのは、
人間の歴史は地球や植物から見ると、
まだまだ産まれたての乳児のようなものなのです。
カカオやコーヒーがいつごろ現在のような木になったのか、
ということは、「近5億年内」というだけで、詳細は判りませんが、
人類誕生よりはるかに前のことだけは確かで
4千年前のメソアメリカでカカオ栽培がされていた、とすると
最初は鳥や猿しか食べなかったカカオの実が
いつしか人類がカカオの実を割ってタネを食べたり、
中のタネをすりつぶして飲むドリンクになっていったのです。

大航海時代のコロンブスがアメリカを発見する前には、
カカオはマヤ、アステカの王侯の飲料であり
カカオの実は貨幣として使われていたようです。
当時の飲料は甘みがなく、
むしろトウガラシやトウモロコシを混ぜたスパイシードリンクとして
貴重な飲み物だったようです。

コーヒー山の東斜面110418.JPG
 コーヒー山の東側斜面です。
 コーヒーは幹が細く強風が苦手なので
 初期に東側へ移植した苗木は葉を落したりして、
 一部掘り起こして自宅に持って行きリハビリ再生中です。
 東側の風が吹き抜けるエリアは、
 成長の早い在来植物やイスノキなどの堅くて防風林になる木々を
 植え始めています。


カカオは
「お金の成る木」
であり、
そのためにカカオの神様までいたようです。
なにしろカカオの正式名テオブロマ(Theobroma)は
アステカの神話に由来して
「神々の食べ物」という意味の神聖な名前ですから。
マヤ文明が栄えた7、8世紀頃には
各地に多くのカカオの石彫も作られています。

コロンブスが4回目の最後の航海に出た1502年は
ボロ船4隻、船員140人しか支援されなかったので
ほとんど成果を挙げられなかったのですが、
現在のホンジュラスからスペインにカカオのタネを持ち帰り
その後メキシコに植民したスペイン人などの工夫によって
チョコレートは甘い飲料になり、
やがてヨーロッパ人の嗜好に合うようになります。

当初は、疲労回復剤としてなど薬効が注目され
僧侶、貴族などを中心に広まり始め、
その後大衆に広まるのは17世紀後半くらいからになります。
ほぼ同時期にお茶やコーヒーがヨーロッパに登場し
食文化などに合わせて定着していき、
ドロっとした濃くて甘い飲料のチョコレートは
飲料としてはお茶やコーヒーとの競争に完敗し
マイナーになっていきます。

19世紀に入り、産業革命の技術革新の波は
チョコレートにも波及し、
飲料として飲みやすくするために搾油技術が発明されます。
搾油されたココアバターを利用して
食べるチョコレートが19世紀後半にイギリスで発明されました。
1847年にイギリス人のジョセフ・フライが
ココアに砂糖とココアバターを加えて板チョコの成型法を発明したのです。
その後、イギリス国内にチョコレート製造業が盛んになり、
1867年にはアンリ・ネストレがスイスに
チョコレート工場を創業(現在のネッスル社)しています。

林床地北西側110418.JPG
 コーヒー山の北西部(林床地)です。
 画像の左側が西、右側が東で
 東側が尾根で高い地形になっていて西に下がっていますから、
 西側ほど、風が当たらないのです。
 画像の黒いのは生地をハサミで切ったもので、
 これを支柱代わりに主幹を張っています。
 以前は鉄筋の支柱を主幹近くに打って
 鉄筋支柱と主幹をヒモで結んで風対策にしていましたが、
 出来る限り自然に近い栽培方法を取り入れたいので
 “過保護”は止めて、自立を促しています。
 実際に支柱無しでも、コーヒーはしなるだけでなかなか折れません。


食べるカカオ・板チョコは、まだ164年しか経っていない
意外と新しい食べ物なのです。

カカオの生産地も
起源地の中南米からアフリカへ広がり
世界の需要に応じられるようになっています。


世界のカカオ豆生産量(単位1000トン)2007/2008推定
世界  3,740(=374万トン)
@ アフリカ     2,608
A アメリカ      455
B アジア・オセアニア 677


@ アフリカ 2,608
 ・カメルーン      195
 ・コートジボアール  1,385
 ・ガーナ        690
 ・ナイジェリア     200
 ・その他のアフリカ地域 138

A アメリカ 455
 ・ブラジル       160
 ・エクアドル      115
 ・その他のアメリカ地域 180


B アジア・オセアニア 677
 ・インドネシア   570
 ・マレーシア     34
 ・その他のアジア地域 73


沖縄では「ロイズ」ブランドのチョコレートを販売する
ロイズコンフェクトが石垣島でカカオ栽培に取り組んでいて
1,300本の成木から1,500個の実を付けるところまで
こぎ着けたそうです。


「5棟でのハウス栽培」
とか
「ドミニカから苗木を取り寄せた」とか
資金力がうらやましいところですが、
私は
「タネ植えでのアグロフォレストリー(森林自然栽培)」
にこだわっています。

偉そうな言い方ですが、
カカオフルーツの現物を見たのは3日前が初めてですし、
タネ植えも3日前が初めてのことで、
「うまく発芽するかな」
という、
お金も経験も何も無い段階からのスタートなのです。

cacaoタネ植え110415.JPG
 カカオのタネ植えは生まれて初めてなので、
 タネ40個を、1個ずつ黒ポリポットにあてがう
 特別扱いで様子をみてみます。
 「発芽は1週間」と聞いているのですがどうでしょうか?
 黒ポリポットには、国頭マージに、やんばる特性腐葉土を敷いて
 その上にカカオのタネを置いた画像です。
 ポットの中央あたりの白っぽいのがカカオのタネです。
 この後この上に薄く腐葉土をかけました。



ココア豆の成分
 ・ココアバター 54%
 ・ポリフェノール 8〜13%
 ・たんぱく質 11.5%
 ・食物繊維 9%
 ・デンプン 7.5%
 ・水分 5%
 ・ミネラル 2.6%
 ・有機酸 2%
 ・テオブロミン 1.6〜2.7%
 ・糖類 1%

 ・カフェイン 0.2%

コーヒー同様にカカオには“カフェイン”が含まれています。
植物でいう
「外敵から身を守る」
ためのアルカロイド(毒)としてですが、
これがコーヒー山の3大脅威
・台風
・ドロボー
・イノシシ

の中で、
「イノシシがカフェイン(アルカロイド)を嫌がり、
 コーヒーに傷を付けたことがない

のです。
そういう意味ではカカオもコーヒー山では安心なわけです。
posted by COFFEE CHERRY at 00:11| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | カカオの栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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