2011年09月02日

知念コーヒー農園は台風9号で壊滅的被災を受けていました

南城市の奥武(おう)島近くの
知念コーヒー農園の知念さんから昨夜電話があり
「海側からの暴風に対応できるように
 ハイビスカスの防風林を作っていたが、
 今回の台風9号は風が海側ではなく、
 反対の内陸側から吹き下ろしてきたことで、
 実をつけていたコーヒーの木やアボガドは
 ほとんどが折れたり倒されたりした」

という残念なお話を伺いました。

知念コーヒー0705-1.JPG
 4年前の2007年、GW後に伺った時の知念コーヒー農園で撮影した画像です。
 南城市の奥武(おう)島を見降ろす傾斜地にあります。
 恩納村の山城武徳先生の“山城方式”で作り上げられたコーヒー農園です。
 “山城方式”を忠実に再現していたのは、
 他では見たことがありませんから貴重な農園でした。


8月第1週の週末に太平洋側からやってきた台風9号は
糸満沖を島尻に沿って半円を描くような進路をとり、
しかも人が歩くくらいのゆっくりした速度で通過したことで
沖縄本島が45時間も暴風域に入り、
特に南部の葉タバコやナーべラーといった夏野菜を中心とした農産物に
戦後最大の被害をもたらしました。

知念コーヒー農園は、恩納村の山城武徳先生の
「ハイビスカス(アカバナー)を防風柵としてこれを7m置きに作り、
 この間に2列のコーヒーの木を樹高2mに剪定して
 収穫しやすいようにする」

という“山城方式”で作られています。
また中性土壌の島尻マージに牛糞堆肥を入れた有機農法で、
山城先生のニューワールド1号、2号、
つまりムンド・ノーボとアマレロの2品種を栽培されていました。

知念コーヒー0705-2.JPG
 山城先生のコーヒー農園も感動的でしたが、
 知念さんのコーヒーも負けず劣らず素晴らしいものでした。
 知念さんご夫妻の身長が低いので、樹高2mだと
 台に乗って収穫する場面が出てきます。
 そのため転倒落下の危険から身を防ぐために
 コーヒー成木の主幹の先端を手でポキポキ折っているようで、
 年々主幹が低くなっていましたね。


コーヒーやアボガド以外にも、
・アテモヤ
・スターフルーツ
・カニステル
・グァバ
・アセロラ
・シークワーサー

などの熱帯果樹や、
もちろんバナナも栽培されていて、
Little Tropical Fruit Orchard
といった様相を呈していました。

70代のご夫婦でのコーヒーの収穫は年々負担がかかるようで
近年、アボガドのリード種を数本栽培し、
「コーヒーからアボガドに変えていきたい」
と、言われていました。

知念さんも
「有機栽培による安全な沖縄産100%コーヒーで海外産とは混ぜない」
というホンモノ志向の理念です。

知念コーヒー0705-3.JPG
 牛糞堆肥が農園入口に積み上げられているのをよく見ました。
 充分に発酵されて真っ黒くなってから
 根元の周囲に施肥されていて、地面もフカフカしていました。
 微生物やミミズが充分に機能している土壌なので
 葉も生き生きしていますね。


私は、沖縄産コーヒーに海外産を混ぜる方を非難していますが、
決して
「海外産と混ぜてはいけない」
というのではありません。

「海外産と混ぜることで味を良くしたい」
という理念は当然あるはずだし、
そういう理念はあっても当然だと私は思っています。
うるま市の沖縄ティーファクトリーが生産・販売を手掛ける
琉球紅茶シリーズでははっきり
「海外茶葉とのブレンド」
というコンセプトを打ち出しています。

海外産と混ぜているなら「混ぜている」と正直に公表すべきであり、
『さも「沖縄産100%」のように錯覚出来うる、
 あいまいな偽装的表示はすべきではない』

というのが私の考えなのです。

沖縄産や国産表示は、
少なくとも脆弱な生産の沖縄コーヒーは
「沖縄産100%」
という解釈であるべきだと私は思います。
沖縄コーヒーの信頼を得るのは、規模の大小を問わず、
各生産者の清廉潔白な姿勢が
基盤にあることが大前提だと思っているからです。

知念コーヒー0705-4.JPG
 5月のGW後でも、最初の頃の開花は
 しっかり結実しています。
 沖縄ではこの状態から秋冬の収穫までの間に
 「台風からどう守るか」
 というのが思案のしどころなのです。


沖縄コーヒーの生豆生産推量は、
恩納村の山城武徳先生が昨年亡くなり、
農園の管理が出来ず荒廃して枯れてしまったために、
また東村の渡嘉敷さんの農園の成木約500本を
カットバックのために今春切り倒してしまったことで、
生豆生産推量は県全体で、
私はせいぜい約1トン程度ではないかと思っています。

「生豆1トン」という数字だけはピンときませんが、
1カップ12グラムとして計算すると
1トン÷12グラム=8万3,333カップ分
でしかありません。
それでもまだピンときませんね。
これは
「1年間毎日1杯飲める人数」
として考えると現実味を帯びてきます。
 8万3,333カップ÷365日=228人
驚きの少なさではありませんか?

少ない生産性を、美しい例えでは
「沖縄産コーヒーは“幻のコーヒー”」
ともいえましょうが、
実態は「脆弱」そのもので、
「純沖縄産は本土にはとても出せない零細レベルの状況にある」
と言えるのです。

はたしてこの程度の数字で、
「沖縄産100%コーヒー」をネットで売ったり
本土に拡販できるのでしょうか?

沖縄コーヒーの収穫期は冬(例年遅くとも3月まで)ですから、
梅雨時期までには生豆・焙煎加工は終わります。
となると、夏以降、山のように焙煎している県内生産者の
自称“沖縄産(国産)”の豆は、
いったいどこの豆なのでしょうか?
というのが私の素朴な疑問ですし、
その疑念を晴らす具体的根拠が
確認出来たことは今まで一度も無いばかりか
不信感が増幅するばかりです。

「売れれば混ぜものだって何だっていいでしょ」
というのも理念だとすれば、
私がこういうことに神経をとがらせても私が疲れるだけなので、
今後こういったことは出来るだけ言わないように、
また書かないようにして
「少なくとも私はインチキやお土産作りはしない。
 ホンモノを大量につくってみせる」

と、
ますます高くて厳しい目標をクリアするために
たとえ無謀とか無鉄砲とかいわれたとしても
ひたすら精進するしかないのです。
私には完結させなければいけない
天命というか使命があると思っていますから。

知念コーヒー0705-5.JPG
 5月上旬でも、こういった収穫近い実が付いてることがあります。
 海外とは若干違うのかもしれませんが
 沖縄では収穫可能な実を見つけると
 それから約7カ月逆算して、
 「その大潮の頃に開花していたんだな」
 と感慨深く見入ってしまいます。


知念コーヒー0705-6.JPG
 とかく工業製品のように思われがちなコーヒーですが、
 私はこういう実を見るたびに“命”を実感します。
 この中に入っているのはタネで、
 地面に植えれば発芽してくるのですから、
 こういうコーヒーの恩恵というか、コーヒーの思いというか、
 尊厳といったらいいのか、私はとても軽くは扱えないのです。
 良い実をつけてもらうためには
 元気に生き生きと木を生育させないと気がすまないのです。


そういう意味で、
誠実なコーヒー生産者であり、
また人生やコーヒー栽培でも先輩であり、
懇意にさせていただいている知念さんの農園が
台風で大きな被災をされたことは、
私にとってもひとごとではなく残念で悲しい出来ごとなのです。

松下幸之助氏は、
「志さえ失わなければ、
 困難や問題はすべて新たな発展の契機として生かすことができる」

といわれていますから
知念さんにも頑張ってほしいと思ったのですが、
知念さんからの用件は
「アボガド(リード種)の苗木は入手したのか?余分にあるか?」
というものでしたから
知念さんはもう困難を乗り越えていたのですね。

近年の沖縄に襲来する台風は大型化し、
またその進路も多岐に及ぶようになりました。
コーヒー農園だけではありませんが、
より一層の堅固な防風対策が求められます。

国頭(くにがみ)村の比嘉さんも
最近コーヒーのタネ植え実験を始めたそうです。
「長い道のり」
だと認識をされての取り組みですから
失敗を山のように積み重ねてきた私のアドバイスも
活かせるかもしれませんし、
私自身も近くに新しい仲間が出来て
張り合いが出てきました。
沖縄コーヒーが国頭村の特産品になれるように
まだまだ頑張らないといけません。

知念コーヒー0705-7.JPG
 奥武島入口にある中本鮮魚店です。
 ここのてんぷらはボリュームがあって安くて
 何より美味しいです。
 私はここのてんぷらが一番美味しいと思います。
 南城市方面に行かれる方がいましたら
 ぜひお立ち寄り下さい。
posted by COFFEE CHERRY at 19:34| 沖縄 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 沖縄のコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今晩は、ご無沙汰しております。

コーヒーの木の収穫と台風についての記述を途中まで読んで、収穫期をずらす事で
解決できるのでは、沖縄の冬では無理なのかなと思っていましたが最後まで読むと
解らしき事例が紹介されていました。

5月上旬に色付いた実が有ると言う事は、収穫期を台風の前に合わせた栽培の可能
性が多分に有ると言う事ですね。 リスクを伴うチャレンジが必要とは思いますが。

落果の他にも台風によるリスクは有る訳ですが、少なくともリスクのひとつは解決の
可能性が有る訳です。

沖縄のなま豆生産量1トンは大きいのでしょうか、小さいのでしょうか。
生産者組合が有って、まとめて処理していると考えると、1回に5〜6kgづつ焙煎
すると、毎月15回年間185回の焙煎ですね。
釜は1つでOKと言う事ですね。

開花から収穫まで7ヶ月との事、早いですね。
私の鉢植の木はもっとかかっています。
樹高は手の届くところで押さえていますが、植え替えをさぼっているので衰弱が
激しいのも原因と思われます。

沖縄コーヒーの収穫期は12月から3月との事ですが、いつごろがピークですか。
開花のピークはその7ヶ月前ですね。

また思いつくままに書きちらかしてしまいました。

自然災害の多い年ですがそろそろ落ち着いてほしいですね。
Posted by まめこがし at 2011年09月06日 02:59
知念さんの件、とても残念です。
頑張って欲しいですね。
パーチメントは、見本みたいな量がきたので、
もっとたくさん欲しいと頼んでいるところです。
Posted by ボーンチャイナ at 2011年09月06日 21:41
パーチメント豆で発芽テストしてみたいので、ご面倒をおかけしますが宜しくお願いします。
Posted by 岡田 康子 at 2011年09月07日 20:00
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