2012年06月30日

知る、好む、楽しむ

台風4号、5号が通過して、
ちょうど1週間前の6月23日(土曜)に
沖縄地方は例年より14日遅く、梅雨明けしました。

それまで雨が多かった沖縄ですが、
台風が梅雨前線を九州まで押し上げてしまい、
台風一過の梅雨明け以降、今日まで降雨がありません。
雨続きだと青空が恋しくなり、
晴天が続くと雨乞いしたくなるのですから、
人間は勝手なものですね。

国頭村辺土名の海20120630.JPG
 今日の午後の国頭(くにがみ)村、辺土名(へんとな)の
 58号線から見た東シナ海


それでも、やんばるは昼夜の温度差があり、
朝方にはしっとりと朝露が出ていますから、
まだ日照り、とまではいきませんが、
昨日一昨日は、にわか雨が降りそうで降らないじれったい天気で、
天ももったいぶっているのか、あるいは私が試されているのか、
とにかく平常心を保たなければいけません。


孔子と、孔子の高弟たちの言行・思想を集積して編纂した
『論語』の雍也(ようや)篇第六の二十に、
子曰、知之者不如好之者、好之者不如樂之者
子曰わく、之(こ)れを知る者は之れを好む者に如(し)かず、
之れを好む者は之れを楽しむ者に如かず。

という名言があります。

孔子が言われた。
物事を理解する人は、物事を好んでいる人にはかなわない。
物事を好んでいる人は、物事を心から楽しんでいる人にはかなわない。

という意味で、
「好きこそものの上手なれ」
(自分の好きなことは自然とそれに集中し、熱心に工夫するので、ますます上達する)
ということわざより、
もう一歩踏み込んだ、何事にも通ずる真理です。

登山に例えてみると、
山があり、山に登る技術を知らなければ、登山は成功しない。
しかし、登山家といわれるには、まず山が好きでなければ始まらない。
好きだからこそ、あくまで登攀(とうはん)を成し遂げようという闘志も湧いてくる。
しかし、本当の登山家の達人は、
谷を渡り、岸壁を登ること自体に楽しみを見出している。
だから周囲の人びとなどに要求されて登るわけではなく、
自分自身のために登るのであり、
気分が悪いとか体調や天候が思わしくないとみたら、
登攀を打ち切っても何ら気にすることもなく、
日を改めてまた登って楽しめばいい。
途中途中の絶景ポイントで小休止して山の趣(おもむき)を楽しんだり、
なにげない花や野鳥などの出会いを楽しんだり、
また風樹の風情を楽しんだりできれば最高だ。

というような、深い意味合いのある名言で、
コーヒー栽培だけでなく、
誰にでも何事にも通ずる真理なのです。

定植するコーヒー苗木20120630.JPG
 コーヒー山に定植する苗木です。
 1年以上山の環境に慣れ親しみましたので、
 いよいよポットを卒業して、地面での新生活に入ります。
 在来種の森林ではコーヒーは外来種でデリケートなため、
 すくすくと生育させるには過保護にならない範囲で
 お手伝いが必要になります。


春秋時代の孔子が亡くなってから10年後に産まれた
古代ギリシアのソクラテスや、それ以降の哲学の
「知を愛する」
という思想は、
「嫌々、義務的に勉強をしても、
 その知識や技術を自らの血肉とすることは出来ない」

という、
学力や理解力よりも、
詰めこみの暗記力が試される受験勉強を思い出しますが、
「物事を知的に理解することも大切だけど、
 物事を好きになって積極的に楽しもうとする姿勢を持つことが、
 真の叡智(えいち)へと導くことになる」

というのが
「知を愛する」
という哲学の本来の意味で、
『知る、好む、楽しむ』
は、
長続きするための必要条件でもあるのです。

沖縄でのコーヒー栽培は、
狭い島でも異なる土壌や栽培する品種、
あるいは露地なのか日陰栽培なのかといった栽培方法などもそうですが、
台風対策も必須になりますから、
どんなことがあっても貫徹する確固たる意志や決意の前に
『知る、好む、楽しむ』
という長続きの秘訣三原則の有無は
とても大事なことになるのです。

定植したコーヒー苗木20120630.JPG
 コーヒー山に梅雨時期に定植した苗木たちです。
 移植する穴の大きさや表土にかける腐葉土の量、
 あるいは風の入り具合や間伐のかげん、
 遮光の量などをコーヒーによく聞いて、
 定植方法も日々改良しつつあります。
 在来種でいっぱいの、森林のフィトンチッドたちとも仲良く会話して
 コーヒーたちが森林の住人として認知してほしいところです。


沖縄産コーヒーに新規参入されては辞める方々に共通するのは、
コーヒー(木)と会話をしないどころか、
早期にビジネスにつなげたいという焦りが多分に見受けられます。

何事も地道にコツコツと積み上げていくことを
何よりも継続出来ないなら何も生まれません。

コーヒーからの恵みを頂くには、
しかも良い実を付けてもらうためには、
コーヒーが機嫌よく、
出来るだけストレスを感じないような生育ができるように、
私は側面からバックアップするように常に考えていて、
歌舞伎や人形浄瑠璃では、
観客からは見えないという約束のもとに舞台上で、
役者や人形遣いを助けたり、小道具を役者に渡したり舞台から下げたりする
黒衣(くろご)という係のような役割を
今後も私は果たしていきたいと考えています。


コーヒーとの会話は、私のその時々の知識の甘さで、
私が好き勝手な解釈をしてしまい、
コーヒーに失礼なことをしてしまうことが多々あります。

キノボリトカゲ20120615.JPG
 自宅の庭のハイビスカス付近に棲みついているキノボリトカゲです。
 私が見ている前で花をくわえました。
 表情も和やかだしメスではないかと思います。
 彼女とも会話をしながら共生していきたいです。


徳川幕府の第3代将軍家光の治世に島原の乱がありましたが、
その寛永14年(1637年)に、
フランスではデカルトが「方法序説」を刊行し、
その中で真理の探究の言葉として
「我思う、ゆえに我あり」
という有名な言葉が書かれています。

「ただ信じ従うのではなく、徹底的に疑いを排除することによって実現する」
という意味で、
なにやら理解出来たようでよく解からない抽象的な意味ですが、
要するに
学説や定説、推論、文献などはすべて取り除き、
とにかくほんの少しでも疑いをかけうるものは徹底的に廃棄したうえで
自分の信念の中にまったく疑いえない何かが残るかどうかを見極め、
揺るがせないほど堅固で確実なものがあればそれを認めて受け入れ、
そこから出発しなさい

という
「ゼロからの出発」
といった考え方を方法的懐疑といったのですが、
お互いに予備知識がない外国語同士で会話していても、
喜怒哀楽が表情で少し理解し合えたりするのと同様に
私も10年前や5年前から考えると、
ほんの少しだけコーヒーと会話出来るようになりつつあるように感じます。

野口勲さんと木村秋則さんの講演20120630.JPG
 奇跡のりんごの木村秋則さんの考え方は
 人が介在しない森林の樹木はなぜ元気なのか、
 というのが出発点で、まったく私も同感です。
 また野口勲さんは固有種、在来種のタネを使うべき、
 遺伝子組み換えのタネは危険だ、という論理で、
 これもまったく同感です。
 私はプレゼンが大の苦手ですが、
 野口勲さんもプレゼンが苦手なようですね。


バナナ園のコーヒー20120630.JPG
 自宅に隣接するバナナ園のコーヒーです。
 海抜約80m、海岸から約1kmの丘陵地で
 海が見えますから台風では塩害の被災がある地域ですが、
 定植3年を経過して開花するようになりました。
 「ただ植えて放任して実が出来たら収穫する」
 ということは沖縄では可能ですが、
 ただ作っただけで満足するのか、どこを目指すのかという
 求めるレベルや理念が今後問われるところだと思います。


倉本聰のライスカレー20120630.JPG
 27年前にテレビ放映された「ライスカレー」の本です。
 Amazonの中古本で1円で買えました。
 銚子の高校野球部で一緒だった三人の若者、
 ケン(時任三郎)、アキラ(陣内孝則)、ブンタ(布施博)が、
 同じ野球部の先輩でバンクーバーで
 手広く寿司屋をやっている次郎(北島三郎)に誘われ、
 残りの青春を懸けて、カナダでライスカレー屋をやろうと思い立ち、
 悪戦苦闘する物語で、私としては名作だと思っています。
 数年間さほど真剣に修行しなかったコック見習い経験しかないのに
 プライドだけは高いアキラは、
 周りに認められるはずもなくやがて挫折していくのですが、
 このドラマの中でカナダ人シェフが、英語でアキラに諭す場面が印象的でした。
 アキラは何を言われているのか理解できていないのですが
 「山が険しければ険しいほど迂回して遠回りをしながら登らないと頂上にはいけない」
 「修行を真剣にせずにシェフになる近道はない」ことを諭していたのです。
 沖縄でのコーヒー栽培もまったく同じで、近道はないのです。
 「石の上にも三年」といいますが、それはふつうの人のことですから
 私は5年でも10年かかったとしても貫徹する覚悟です。
 「ライスカレー」がTSUTAYAのレンタルDVDにあるのなら
 また見てみたいですね。
posted by COFFEE CHERRY at 20:55| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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