2012年10月20日

コーヒー栽培ではなぜ直播ではなくポット苗移植なのかを考える

コーヒーのタネは温度、酸素、土壌湿度といった条件が揃えば
発芽まで1カ月前後と時間を要すものの、わりと簡単に発芽します。

本当に良い豆を作るなら、
タネ植えをする前段階で、品種選定はもちろん、タネ自体の良し悪しの選別や
発芽以降の苗木の生育や定植する苗木の選別や時期なども重要で
「発芽したから、もう成功したようなものだ」
というのは早計なのです。

稲作に昔から伝わる
「苗半作(なえはんさく)」
というのは、
「苗を上手に育てれば半分は成功した様なもの」
「苗の善し悪しによってその後の作物の育ち方に大きく影響する」
という意味ですが、
これはコーヒーにももちろん言えることで、
良い苗木を作るには、まずコーヒーの特長を知る必要があります。

コーヒー山の東側20121020.JPG
 コーヒー山の東側には大きな谷があります。
 台風の東風は、谷を降り、山に吹き上がってきます。
 度重なる台風で、照葉樹は葉が吹き飛ばされて
 隣の山が見えるようになってしまいました。
 やんばるらしい深い森林に回復するまでは2年はかかりそうです。


タネ蒔きには、
栽培する場所に直接タネを蒔く
「直播(じかまき)」

育苗箱やプランターなどにタネを蒔いたあと、
ある程度の大きさに育った苗を圃場に植える
「移植」
があるのですが、
コーヒーのタネ蒔きでは、
「移植」
が行われます。

コーヒーでも直播で発芽しますし、
実が熟して「こぼれタネ」となって落下して発芽する
「自生苗」
があります。
コーヒーの成木の幹の周りには
おびただしい自生した苗が発芽していて、
私も2年前まではその自生苗を重宝にしていたのですが
今は苗木を選別して、良い苗木だけを定植するようにしています。

「発芽までの長い時間や、その後の苗の生育期間を考えると、
 自生苗の利用は、かなりの時間短縮になる」

という考えでしたが、
実際には自生苗は、その後の生育が悪かったり、徒長苗が多かったりと、
デメリットの方が多かったからです。

直播(じかまき)は、文字通り
「栽培する圃場に直接タネを蒔く」
方法で、
コーヒーのような根が真っ直ぐ下に伸びる直根性の植物には
本来、直播の方が良いのですが、
コーヒーの場合は、
「生育に、とにかく時間がかかる」
というのが特長ですから、
「コーヒーより雑草の方が生育が旺盛なため、コーヒーの生育が負けてしまう」
そのため
「発芽したコーヒーは、光合成をしようと焦り、徒長してしまう」
ということや、
自生苗をプランターやポットなどに移植しようとした時に
「移植で根を損傷させてしまい、その後の生育を阻害してしまう」
こともありますし、
また、
「圃場では灌水(水やり)や排水、保温がしにくい」
ことや
「圃場は土壌が固く、デリケートな苗は根が伸びにくい」
こともあり、
直播は苗づくりの省力が図れるメリットはあるものの、
コーヒーの場合は使い勝手が良くない、ということがいえるのです。

また、自生苗は、そのまま放置しておくと、
すくすくと生育することはなく、苗段階で枯れてしまいます。
熱帯地域では違う結果が出るのかもしれませんが、
沖縄では、私の知り得る限りでは、
例外なく自生苗は苗段階で枯れてしまっています。

自生苗をポットに移植し、その後圃場に定植した苗木は、
その後の生育過程で徒長が修復することは無く、
節間が間延びした状態で、すくすくと成長します。

節間が長いと収穫量が少なくなりますし、風にも弱く、
台風には耐えられない木になり、
ストレスが多く、良い実を付けない結果に至るはずです。
また、収穫後の浮豆も多く、
この時点で
「どうして浮豆が多いのかな?」
と悩むことになるのですが、
多くの人は、それさえも気づかないかもしれません。

私は今に至るまで13年間、
コーヒー栽培では紆余曲折して失敗を山のように積み重ねてきて、
「沖縄でのコーヒー栽培ではこうすべきだ」
というゴールは、まだはるか遠く先で、
私が生きているうちにゴールに到達できるのかどうか、
というゴールのないようなマラソンレースに出場しているようなものですが、
「沖縄でのコーヒー栽培では、こうすべきではない」
ということに関しては、
「どうしてダメなのか」
ということを、よく学習してきました。

そういう意味でも、
「沖縄でのコーヒー栽培では自生苗は扱いにくい」
というのが、
私なりの結論なのです。

さて、そうなると、
沖縄でのコーヒー栽培におけるタネ植えは、
「直播(じかまき)ではなく、プランターや育苗箱でタネ植えさせて
 さらにポットに移し替えて、適当な時期が来たら、圃場に定植する」

という、
面倒で時間もコストもかかる方法が良い、
ということになるのですが、
なぜ、そんな面倒なことをするのか、というと
「充分な根出し」
をさせたいからです。

コーヒー苗の根20121020.JPG
 プランターで発芽させ、根を切らないように注意して
 ポット苗に移し替えます。


コーヒーは陰樹という、照りつける太陽のもとで育つより、
森林内の木漏れ日の入るような、遮光ネットの中のようなところで
元気に生育する木ですが、
発芽から苗木の段階では、
「光合成をしたい」
と、願っている天邪鬼(あまのじゃく)の面もあり、
また、土壌湿度が必須で、
手のかかる幼児のようなところもありますから、
「小さなポット内で根を充分に育てる」
ために、
プランターや育苗箱などでタネ植えして
発芽後に、またポットに移し替えをするような
面倒で時間もコストもかかる方法を取るのです。

コーヒーの発芽苗20121020.JPG
 プランターに何個タネを入れるか、というのは私もいろいろ行っていて、
 発芽率を出したい時は45か60個で厳密に行っています。
 この画像のプランターには200〜300個のタネを
 エイヤっと大ざっぱに蒔き、ほとんどが発芽をしてきました。
 土壌は軟らかい、完熟の山の腐葉土に
 少量の山の土壌を混ぜてあります。


プランターやポット内の土壌を軟らかくさせておけば
根が充分に伸びますし、水やりの管理も容易ですし、
植え替え時に毛根を切らないように注意すれば、
雑草にもやや抵抗力が付いて、移植後の生育も良くなります。

直根は、真っ直ぐに地下に伸びていきたいので、
ポット内で根がグルグル回ってしまっては
正常な生育ができなくなりますし、
移植の時期が遅れても徒長の原因になります。
また、定植する穴の大きさや深さなども
定植後の根付きに大きな影響を及ぼしますし、
定植後の水やりが充分出来ない場合の保水方法などもあるのですが、
それらはまた後日記述するようにしましょう。

コーヒーのポット苗20121020.JPG
 今日は他の作業もあり、1時間だけプランターからポット移植をしましたが、
 31個出来ました。
 段取りが悪かったので、準備さえ良ければ1時間で40個以上は充分可能ですから
 この作業は私はベテランの域に入ったのかもしれません。
 画像のポットに、落ち葉を山盛りで投入して、水やりをすれば
 今日の作業は終了です。


ヤンバルオオフトミミズ20121020.JPG
 ポット苗は、かなりデリケートなので、
 根が充分伸びやすいように
 軟らかい完熟腐葉土リッチの配合にしています。
 紫色のヘビみたいなのは「ヤンバルオオフトミミズ」の子供です。
 画像のは約20cmあり、撮影時は頭部は潜り始めていました。
 成体になると大物は40cm近くなります。
 イノシシの好物でもあります。
posted by COFFEE CHERRY at 22:54| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今晩は、少し肌寒い季節になりました。
台風もそろそろ終わりでしょうか。

今日の話題、直播苗からの収穫では浮豆が多いとの事ですがどうしてでしょうか。
確かに海外でも苗作りをポットで行い、ある程度育苗の後ち定植しているようですが私は
その理由を集約的な要素で見ていました。
岡田さんの言われる浮き豆が多くなるとは考えも付きませんでした。

ところで我が家の鉢植えコーヒーの木は、まだ花を付ける気配すら見せません。
昨年のSCAJ2011会場でコーヒーの苗木をかみさんが貰って来たのですが、コナカイガラ
ムシが付着していたものですから大被害を受けその影響で今年は全てが散々です。

今年もSCAJ2012に行ってきましたが、海外の小農園のブースにも日本商社がバックアップに
入り込んで面白みが少なくなりました。
Posted by まめこがし at 2012年10月21日 21:50
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