2006年08月09日

フィリピン、ミンダナオ島の“バラコ”コーヒー

フィリピンの諸言語の習得のために
フィリピンに在住されている方からメールを戴き、
ミンダナオ島の“バラコ”コーヒーについて、
現地情報を教えて戴くことができましたので、
ご本人の承諾を得てご紹介させて頂きます。

今年の6月に、言葉の修行を兼ねて
バスでミンダナオ観光をされたたときに、
ミンダナオ島のマギンダナオ州コタバト市で
ピキット(この近くの地名だそうです)・コーヒーという
バラコの挽き売りのコーヒーを
500グラム90ペソ(約200円)で買われたそうです。
 pikit_coffee_02.jpg
バタンガス・コーヒーの値段はこの倍くらいするようです。

3段階の焙煎度で売られていたそうで、
画像の使用許可も戴けました。
 pikit_coffee_03.jpg

マギンダナオはブキノドンの南西の方角にある
モスリムの自治区で、
市場の看板もアラビア文字が併記されているような
貧困地区らしいので、物価も安いのかもしれませんね。
 pikit_coffee_04.jpg

バギオよりもっと奥に入った、
マウンテン・プロビンス州の州都ボントックで
飲まれたコーヒーもバラコだったそうです。

フィリピン国内ではバラコが普通に流通しているので、
「リベリカ種の珍しいコーヒー」
という意識はなさそうです。

現地での飲み方は、
ミルクと砂糖をたっぷり入れるのが主流だそうですが、
ぜひ一度味わってみたいものです。

ブキノドンに大手のコーヒー会社が
コーヒー農園を経営しているようですが、
ミンダナオ、特にモスリム自治区の各州は
フィリピンでも最も貧しい地域らしく、
日当200円以下で現地人を雇用しているようです。

フィリピンでは、バナナのように
巨大資本企業が大プランテーション農場を経営し、
植民地感覚で現地人を支配しているのです。

posted by COFFEE CHERRY at 11:21| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピンのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月25日

フィリピンのコーヒー事情〜その4

“幻”というと、
入手が難しい限定モノなど
希少性があるものを定義しますが、
“幻”だからといって、
必ずしも高品質かどうかはわかりません。

やみくもに、“幻”だからという理由で確保するのではなく、
どうして“幻”なのかexclamation&question
を良く吟味する必要性があるでしょう。

そういう意味では、
現在の沖縄コーヒーも“幻のコーヒー”なのです。

半数以上は、
「さしたる“こだわり”もなく、ただ栽培しているだけ」
なのが現状なのです。

そう考えると、
フィリピンの“幻のコーヒー”だって、
本当に凄いのかどうかは分かりませんが、
ご紹介だけしておきましょう。

 パームシベット.jpg
東南アジアに分布するジャコウネコ科の
「パームシベット」という夜行性の動物がいます。

野生での詳しい生態は未だによく分かっていないようですが、
雑食性で、小動物や昆虫を捕らえるほか、
果実や植物の種子なども好んで食べる“害獣”のようです。

英名の「Palm civet」は、
ヤシ(=Palm)の樹液を好んで食べることから
命名されたようです。

このパームシベットは、
コーヒーの実も好んで食べるのですが、
排泄したコーヒーの実が
“幻のコーヒー”の正体なのです。

 パームシベット2.jpg

パームシベットは、
リベリカ種、ロブスタ種、アラビカ種の種類に関係なく
食べるようですが、
消化器系で分解発酵されて、
豆の姿のまま排泄されるのだそうです。

コーヒー栽培農家は、
コーヒー収穫時期に、
赤い実だけでなく、
地面に落ちたパームシベットの糞も集めているようです。

パームシベットの名前にちなんで、
「civet coffee(シベット・コーヒー)」
と言われ、
年間500s程度しか取れない希少性が売りで、
焙煎されたコーヒーは、
1kg当たり100US$以上しているそうです。

肝心の味は、
「チョコレートのフレーバー」風らしいですが、
どうなのでしょうかexclamation&question


実は、このスタイルは、インドネシアのパクリなのです。

 ハクビシン.jpg
インドネシアで
「KOPI LUWAK(コピ・ルアック)」
と呼ばれるコーヒーがあります。

東南アジアには、
上記のパームシベットの親戚(マングースも親戚)で、
同じジャコウネコ科の「ハクビシン」という、
SARSで有名になった動物がいます。

ハクビシンは、パームシベットと同様に、
夜行性で果樹の実を食べるのですが、
ハクビシンがコーヒーの実を食べて、
排泄される過程で、
体内で特殊な酵素で自然処理されるために
特別なアロマを持つといわれて珍重されているのです。

インドネシアを中心に、
東南アジア全域でも約1,200s程度しか
生産されない希少性が売りで、
米国では1kg当たり130US$以上しているそうです。

このスタイルを、フィリピンが真似たわけです。

いっそのこと、ハクビシンやパームシベットを、
コーヒー農園で放し飼いにしたら、どうなのでしょうかexclamation&question


また、リベリカ種の“バラコ”には、
堆積脂肪除去の性質があるらしく、
「バラコ コーヒービーン スクラブ
  (Barako Coffee Bean Scrab)」

という、
ボディセラピーのスクラブも、
現地では行われているようです。

コーヒーは、
「嗜好品として飲む」
というだけでなく、
こういった考え方は参考にしなければいけませんね。


posted by COFFEE CHERRY at 12:52| 沖縄 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | フィリピンのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月24日

フィリピンのコーヒー事情〜その3

フィリピンのコーヒー生産が
リベリカ種に変わりつつあるのは、
ロブスタ種の買い取り価格の低下にあります。

コーヒーのアラビカ種はニューヨーク市場、
ロブスタ種はロンドン市場で価格が決められるのですが、
世界のコーヒー消費量が減少傾向にあって、
コーヒー相場はここ数年、値下がりしています。

コーヒー農家には1kg当たり1ドル必要ですが、
現在のコーヒー価格では、
コーヒー農家の手取りはその半値くらいなのです。

そのために、コーヒー農家の暮らしは成り立ちません。

“安全・安心”がキャッチフレーズ化して、
宣伝コピーとしても使われるようになりましたが、
“フェアトレード”も実は同様で、
一部の善良な業者以外は、
チラシコピー感覚で使っているのです。

「世界のコーヒー市場を攪乱しているのは、
 ベトナムコーヒーにある」

という考え方もあるのですが、
そのお話はまた後日にさせて戴きましょう。

コーヒーの値下がりの結果、
生産農家は肥料や苗木を買うことができず、
農民の生産意欲はなくなり、
品質の低下と共にコーヒーの味が落ちている、
とも言われています。

特に安いベトナム産コーヒーを使うインスタントコーヒーなど、
「安いコーヒーほど味が落ちた」
と言われています。

フィリピンは、
沖縄以上に経済的な自立基盤が出来ていない、
貧困な国です。

フィリピンのバナナは、
米国資本の
・ ドール
・ チキータ
・ デルモンテ
・ 日本(住友)資本のバナンボ
の4社がバナナプランテーションを支配していて、
主として日本向けに生産・輸出しているのは
ご存知の通りですが、
フィリピン人は農薬まみれになって、
低賃金で奴隷状態で現場で雇用されています。

「品質を良くしてコーヒー価格を上げよう」
という試みも、
コーヒー生産国の一部でありましたが、
結果的には徒労に終わっています。

こういう背景の中でのコーヒーの価格破壊ですから、
フィリピンが、その歴史に着目して、
フィリピンらしい独自のコーヒー(リベリカ)を生産する、
という考え方は、
私は的を得ていると思っています。


「バラコ」コーヒー復活の取り組み
・ ルソン島南部のカビテ州にあるタガイタイで
  布教活動を行っているカトリックの神父が
  「バラコは、かつて中東にも輸出されていた伝統的な製品で
   もっと売れるはず。
   バラコを育てることは農家の収入増にもつながるはずだ」
  
  と、バラコの復活を唱えていました。

・ タガイタイは標高400mほどの高地にあって、
  コーヒー農家が集まっている地域です。

・ 神父は布教活動のかたわらに、
  コーヒー農家への農業教育や支援を続けていて、
  バラコの復活をコーヒー農家にも働きかけていました。

・ 神父の活動を知ったマニラの有名コーヒー・チェーン店
  「フィガロ」の経営者や
  フィリピンのコーヒー財団、行政が、
  バラコ復活の後押しに乗り出ししました。

・ 自国の味に誇りを持ち、
  国内航空会社(フィリピン航空)やマニラのホテルなどで、
  フィリピン産コーヒーを出し、
  世界にバラコの味を広げたい、と意気込んでいるのです。


「バラコ」コーヒーの課題
今後、「バラコ」コーヒーを
輸出の柱にしたい意向はあるようですが、
・ リベリカ種自体が、
  世界的に認知されていないという状況下で、
  どこまで商品価値を高めていけるのか
・ “個性的な味”が好まれるのかどうか
・ ターゲットをどこに絞っているのか
・ 高いレベルでの栽培管理や品質管理が出来るのかどうか
・ 販売ルートを巨大資本を外して、独自に出来るのかどうか
など、課題も山積みですが、
これを克服してゆくことで、面白い展開も見えてきそうで、
私はとても楽しみにしています。

明日は、フィリピンの“幻のコーヒー”について
書きたいと思います。

posted by COFFEE CHERRY at 21:00| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピンのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月23日

フィリピンのコーヒー事情〜その2

フィリピンのコーヒー生産量(JETRO資料より)
・ 1890年 14万1千トン
・ 2001年 13万2千トン
・ 2002年 13万2千トン
アラビカ種、ロブスタ種の比率や栽培面積などは
フィリピンの農業省の統計資料では分かりにくいし、
いろいろな資料によって、数字が違うのですが、
 「コーヒーの巨大資本企業(ネスレ、フィリップモリス等)が、
  インスタントコーヒー用に、
  ロブスタ種を買い叩いているので、
  フィリピンで生産されているコーヒーはロブスタ種が多い」

という説が現実に近そうです。

日本には、
毎年約600トンのインスタントコーヒー(中間製品)が
フィリピンから輸入されていますが、
これは生豆に換算すると
約1万5,600トンに相当する数量になります。

  フィリピン.png  
フィリピンは大小7千もの島々からなり、
インドネシアに次いで世界で2番目に島の数が多い国です。

フィリピンの主なコーヒー産地
・ ルソン島 カヴィテ州、
・ ルソン島 ベンゲット州
・ ルソン島 バタンガス州(主にロブスタ種、リベリカ種)
・ ミンダナオ島 ブキノドン州
・ パラワン島(主にロブスタ種)

ルソン島バタンガス州のすぐ西側にルバング島があり、
この島で1974年(昭和49年)3月
小野田寛郎元少尉が救出されました。

フィリピンのアラビカ種は、
1868年頃にサビ病による大被害に遭い、
それ以降に、
病害虫や悪環境に強く生産量も多いロブスタ種が導入され、
19席末にアメリカがリベリカ種を持ち込んだ、
とされています。

リベリカ種は、
アフリカ大陸のリベリアが原産地のコーヒーなので、
そう命名されているようですが、
世界のコーヒー生産量の数%を占めるだけの少量品種ですし、
そのほとんどが欧州に輸出されているようですから、
日本ではまず目にすることがない品種なのです。

「アラビカ種やロブスタ種とは違う独特の風味があり、
 飲んだ後には強い苦味が残る」
という個性の強いコーヒーのようですが、
フィリピンでは、栽培が途切れることなく続いていましたし、
「このリベリカ種が一番美味しい」
という現地人もいるようですから、
“個性派コーヒー”であることは間違いないようなので、
ぜひ飲んでみたいです。

那覇からマニラまでの距離は、
大阪から那覇までの距離とほぼ同じで、近いですからね。

このリベリカ種は、
ルソン島南部にあるバタンガス(Batangas)州にちなんで
『Baracos(バラコ)』
と命名されているようです。

フィリピンのコーヒー栽培には、
約8万人が従事しているようですが、
ロブスタ種の価格破壊で
リベリカ種の『バラコ』栽培に切り替える農家が
増加しているようです。

明日は、
「バラコ」コーヒー復活の取り組みについて書きたいと思います。

posted by COFFEE CHERRY at 21:18| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピンのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月22日

フィリピンのコーヒー事情〜その1

日本で、フィリピン産というと
「バナナ」のことをイメージするはずです。

フィリピンのコーヒー生豆が、
日本にはほとんど入ってきていないのですから、
認知されていないのも当然のことです。

それでも、
インスタントコーヒー(中間製品)としては、
ここ数年約600トン
(全輸入の約8%弱、平均単価約700円/s)
が日本に入っている
のです。

昨日の「インドの歴史」での記述のように、
1700年には、
ジャワ島でコーヒーの大量生産に成功しているようですし、
18世紀には
 「ヨーロッパ人のコーヒー・プランテーションは
  西インド、中南米に広まる」

と文献で出てきますから、
1740年に
「スペインの修道士がフィリピンにコーヒーを伝来した」
という文献は、キリスト教の布教活動の一環とも考えられ、
18世紀初頭には、
フィリピンでもアラビカ種が広域に栽培されていた、
と考えるのが自然でしょう。

1868年のセイロンでのサビ病被害を契機に、
東南アジアのコーヒー栽培地に大打撃を与えますから、
この後に、
ロブスタ種の栽培が始まってきたものと考えられます。

「フィリピン産コーヒーは、
 かつて世界第4位を誇るコーヒーの生産国」

という記述も文献に出てきますが、
それがいつごろの話なのかは出てきません。

それでも、
フィリピン産コーヒーの生産量が
その昔は多かったことは充分考えられ、
「フィリピン産コーヒーが珍重された時代もあった」
ということもあったのでしょう。

フィリピンでも、
輸出の約8割が巨大多国籍企業に支配されていて、
「生かさず、殺さず」
という奴隷に近い状態で
バナナやコーヒーは買い叩かれているのですが、
そうした中で、
フィリピンは“リベリカ種”の生産で、
特長を出そうとしています。

続きは明日書きます。

posted by COFFEE CHERRY at 15:42| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピンのコーヒー栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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