2012年10月27日

コーヒー栽培はやっぱり自然栽培がいい

幕末の昌平坂学問所というと現在の東大にあたりますが、
そこで儒官をしていた佐藤一斎が57〜66歳の頃に
書き記した語録255条の「言志後録」の147条に、

草木の移植には、必ず其の時有り。
培養には又其の度(ど)有り。
太(はなは)だ早きこと勿(なか)れ。
太だ遅きこと勿れ。
多きに過ぐること勿れ。
少なきに過ぐること勿れ。
子弟の教育も亦(また)然(しか)り。


草木を移植するには、必ずそれに合った時期がある。
草木を育てるために与える肥料にも
適度な程合いというものがある。
速すぎてはいけないし、遅すぎてもいけない。
多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけない。
子弟の教育もこれと同じである。


と、あるように、
植物の栽培では、
「肥料をただあげればいいわけではなく、施肥の量や時期がある」
というわけですね。

コーヒー20121027-1.JPG
コーヒー山の、最も東側のコーヒーです。
相次いだ大型台風の多くは、例年型の東や北東からの風で、
コーヒー山の東側は大きな谷があることから、
東側は大打撃かもしれないと心配していたのですが、
ご覧のとおり無傷で安心しました。


戦後、特に昭和30年前後に林野庁が
「林地施肥」
という、
農地と同様に森林にも肥料を撒いて
樹木の成長速度を早めようとしたことがあるのですが、
結果は頓挫しています。

なぜかというと、
肥料が途切れると
「肥料切れ現象」
という、
樹勢が悪化したり、病害虫が発生したりといった
生育不良の樹木が多く出たからです。

野菜は数か月で収穫できるのですが、
樹木は最低でも10年以上の長い年月がかかり、
面積も農産物の耕作地と森林とでは
圧倒的に森林の方が広大で、
コスト面を考えただけでも破綻してしまうのですが、
さらに肥料の力で急速に生長した樹木は強度も低くなり、
風害に弱くなる傾向もあるのです。

ということは、
森林栽培でのコーヒーは風に要注意なのに困りますよね。

子供を過保護に育てて、
ある日突然スパルタ式にするようなものですから、
子供だって即座に順応できずに混乱したり、
グレてしまうことだってあるかもしれませんが、
それとまったく同じことなのです。

コーヒー20121027-2.JPG
 コーヒー山で最も西側のコーヒーです。
 今回の大型台風は、揃って返しの風(西風)が猛烈でしたから、
 ふだん台風の影響が最も無い西側のコーヒーが
 少し暴風にあおられたように見受けられますが、
 それでも元気なので安心しました。


コーヒーの木の寿命は、放任しておくと100年を超えますから、
本来自然のままにしてあげるのが一番なのです。

県内ではコーヒー栽培に鶏糞を撒く生産者が多いはずです。
恩納村の山城先生も、東村の足立浩志さんもそうしていました。

堆肥の効用は、私も人並みに知っていて、
私の今の環境では、鳥や豚、牛の堆肥をタダで大量に作ることが出来ますが、
私はコーヒー山では堆肥は使いません。

その理由は上記のように、
不健康な木になる可能性があるからですが、
さらに、例えば鶏糞を例に上げると、
鳥は6割を未消化で排泄しますから、
「何を食べたのか」
がとても重要になります。
養鶏は伝染病が怖いので、
多くの予防ワクチンをエサに投入しています。
エサも配合飼料で、米国のトウモロコシや小麦が主成分ですが、
それが本当に安全なのかも疑わしい。
となると、未消化で排泄したものが、
土壌を汚染すると考えるなら、
「堆肥は完熟発酵してから使う」
のは当たり前にしても、
「安全とはいえない堆肥を使うことが、そもそも有益なのかどうか」
と考えると、
私の答えはNOなので、堆肥は使いたくない、
それで有機栽培ではなく、自然栽培派なのです。

在来種の森林は弱肉強食の大変な競争で構成されているのですが、
そんな中に外来種のひ弱いコーヒーを植えるのですから、
コーヒーだって生存競争に巻き込まれて大変なのですが、
何とかやんばるの森林内の秩序に調和してもらうために
私が黒衣(くろこ)のように介添えや補足をしていきたいと考えているのです。

クワ20121027.JPG
 自宅庭のクワの木です。
 相次いだ大型台風で葉がすべて吹き飛ばされ、
 ようやく再生に向けて新芽や葉が出始めたところです。
 やんばるの多くは、こういった現象になっています。


フクギ20121027.JPG
 自宅のクロキです。
 フクギやクロキといった沖縄で古来から防風林にされていた木は
 相次ぐ大型台風でもビクともせず、葉も飛ばされていません。
 とても頑丈な樹木ですが、成長はコーヒー以上に遅いのです。
 それでも、こういった台風に強い木で
 頑強な防風林を構築していく必要性があります。


今日は吉田松陰が江戸伝馬町の獄で斬首され、29年2カ月の生涯を閉じた日です。
もちろん当時は旧暦ですから厳密には今日ではないのですけど。
1859年(安政6年)10月27日ですから、153年前になりますね。

辞世の有名な句、
身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂
は、
10月25日に
「留魂録(りゅうこんろく)」
という、松陰の遺書の書き出しに書いてある歌です。

ちなみに、
松陰の生まれ育ったのは松本村で、
松下村熟(しょうかそんじゅく)とは、
松下=まつもと
「松本村の熟」
という意味のようです。
posted by COFFEE CHERRY at 22:59| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月24日

コーヒーの挿し木が難しい理由を考える

西川勢津子さんの著書によると、
ご自身でコーヒーを鉢栽培されていて、
挿し木で増やしているという記述がありました。

コーヒー栽培のデメリットの最たるものは
「タネ植えから実が取れるまで約5年という長い時間がかかる」
という、
原田知世主演映画『時をかける少女』の
「桃栗3年柿8年、ゆずは9年で成り下がり、ナシの馬鹿めは18年」
というセリフに、
コーヒーも混ぜて欲しいくらいの辛抱さが必要なのですが、
収穫までの時間短縮のために、
こぼれタネからの自生苗の利用や、
挿し木を検討する生産者は県内でも多いはずです。
私もそうでしたから。

キノボリトカゲ20121023.JPG
 我が家のアルミ製の門の近くに出てきたキノボリトカゲです。
 ふだんはすぐ近くのハイビスカスあたりにいて獲物を狙っているのですが、
 台風一過後、涼しくなり、ひなたぼっこをしているのかもしれません。


ところが、県内での挿し木テストは思うような結果が出ず、
私も
「100回やっても1回成功するかどうか」
というような、マグレに近い低確率ですから、
今はウサギと亀の競争のように、無難に
「挿し木はせず、毎年コツコツとタネ植えをする」
ことに徹底しています。

私の挿し木テストでは、
挿し穂の状態、剪定バサミでの切り方、
剪定バサミを事前に火で炙(あぶ)り殺菌するとか、
葉を落としたり葉を半分に切るとか、春から秋までの
満月や新月などの時期とか、
メネデールやHB101を使うとか、
およそ私が考えられるやり方はすべて行ったのですが、
結果は骨折り損の繰り返しばかりでした。

そのため、西川勢津子さんが挿し木で増やしたという記述を読んで、
驚いたと同時に興味深く感じたのです。
「コーヒーの挿し木って、出来るんだ」
と。

キノボリトカゲ20121024.JPG
 恐竜を連想させるキノボリトカゲは私は大好きです。
 今日のコーヒー山で撮影しました。


実生(みしょう)苗と挿し木苗を比較して考えると、
タネ植えからの発芽苗、つまり実生苗は、種子の栄養分を利用して生育しますが、
挿し木苗は切り枝に蓄えられている栄養分で発根し生育することになりますから、
両者の比較では発根と根の生育に時間的差があり、
初期成長においては
「実生苗の方が良好」
と、一般論では考えられています。

コーヒーは他の樹木に比べて
幹や枝が細いのが特長ですから、
挿し木にした場合の、切り枝内の栄養分がもともと少なく、
発根しにくいことは充分考えられるはずです。

また、挿し木が根付いたとしても、
その後の生育や寿命にどう影響するのか、
また品種や土壌、日照、その他栽培環境によっても傾向が違うでしょうし、
そうなると、仮に挿し木自体の成功率が高まったとしても
積極的に取り組むべきではない、と私は思うのですがいかがでしょうか。


ヤンバルクイナ20121023-1.JPG
 台風21号の後、初めて昨日の明け方に
 まとまった降雨がありました。
 相次ぐ台風でヤンバルクイナもエサ探しが大変なようで、
 昨日はあちこちで見かけました。


ヤンバルクイナ20121023-2.JPG
 約10m先の雑草群の中に入り込もうとしているヤンバルクイナです。
 雑草群でも、出入り口や、その中の通路はほぼ決まっているようです。
 ケモノ道のようなヤンバルクイナ専用の通路が踏み固められていますから。
 これも昨日の撮影です。


ヤンバルクイナ20121024.JPG
 これは今日の撮影でピンボケですが、これでも最も良かった画像です。
 動きが俊敏なので、私のようなデジカメ音痴では
 ピントが合う前に慌ててシャッターをきってしまうので、
 実は撮影数は多く、ほとんどがゴミ箱行きなのです。
 8月頃から野良犬が群れになって近くに来ることがあり、
 ヤンバルクイナたちも、それを警戒して生息地を移動しています。
 犬たちは夕方から夜にかけて近くに来るので
 ヤンバルクイナは日中は安心して出てくるのです。
 「ごめんね、もう飼ってあげられないの。何とか元気に生き延びてね」
 という、犬猫を捨てる飼い主の気持ちも解からないではないですが、
 それは優しさではありません。
 捨てられた犬猫たちには残酷な結果しか残されていないのです。
 飢え死にするか毒まんじゅうをたべさせられるか、
 あるいはいずれ捕獲されて
 動物愛護センターのガス室送りになるかでしょう。
 返って苦しませることになるのに元の飼い主は気づかないのです。
 野良犬軍団は近隣の養豚の番犬やヤギにも危害を加えているようです。
 今のところ我が家のRIUと鉢合わせすると、野良犬は逃げて行きますが…。
 困ったものです。

posted by COFFEE CHERRY at 23:27| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月23日

ホルストガエル現る

やんばるは自然の宝庫ですが、
林道開発や森林伐採で生態系が分断され、
生息環境の悪化などによって
絶滅の危機に瀕した動植物が確実に減少しています。


ホルストガエル20121023.JPG
 「ホルストガエル」という変わった名前の大きなカエルです。
 英名「Holst's Frog」、「ホルスト氏のカエル」という意味の名前なのです。
 大きさは約15cm、「イボがあって気持ち悪い」と言ったらカエル君に失礼かな。
 ジャンプを恐れながら前足の指が5本あったのも確認出来ました。


撮影は国頭村の我が家の裏玄関の先、つまり自宅の庭です。
我が家は典型的な過疎地で隣家とも数百メートルも離れているので、
ヤンバルクイナやリュウキュウヤマガメ、ノグチゲラなど絶滅危惧種も多く、
まるでサファリパークの中に住んでいるようです。

ホルストガエルが、我が家の周りに生息しているのは
引越し当時から判っていました。
何しろ毎日夕方以降、大きな声で鳴くのですから。

それも、とてもカエルの鳴き声ではなく、
「ポン!」とか「オン!」とか、そんな感じの
静寂な空間にこだまするような大きな、
特長ある鳴き声なのです。

「ヤンバルクイナの鳴き声も数種類あるけど、これではないし、
 いったい何が棲んでいるんだろう」

と調べて、ホルストガエルだと判明たのですが、
彼らは慎重なのか警戒心が強いのか、
姿をまじまじと見たのは今日が初めてです。

ホルストガエルは、
 ・ 環境省レッドデータブック:絶滅危惧TB類
 ・ 沖縄県レッドデータブック:絶滅危惧TB類
 ・ 沖縄県指定天然記念物

に指定されている希少種で、
しかも本島北部の山林地域と
那覇空港から肉眼で見える渡嘉敷島にのみ分布している
なかなか見ることが出来ない動物ですから、
我が家近郊では、毎日のように見かけるヤンバルクイナより希少かもしれません。

コーヒー山にも生息しているのかもしれませんが、
彼らが鳴く夕方は私は帰路に着くので、
ハブと同様に、夜間活動派とはなかなか会えません。

食性は肉食系で、
昆虫類、甲殻類、クモ類、ムカデ類、陸棲の貝類などに加え、
ガラスヒバァ(成体で約1mの小形無毒ヘビ)の子供を
食べることもあるようです。
posted by COFFEE CHERRY at 17:03| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒー山の動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月22日

ポット苗には目一杯の腐葉土を投入します

今回ポットに移植している発芽苗は
沖縄でよく使われているブラジルのアラビカ種ではありません。

コーヒーのポット苗20121022-1.JPG
 私は自然栽培なので、腐葉土を多用しますが、
 ポット苗には目一杯の腐葉土を
 「これでもか」というくらい投入します。


タネ植え後8か月目になりますが、
従来のブラジル品種と現段階で比較すると、
格段に成長が早く、また幹の太さや葉の元気さなども
今回の方が明らかに良く、また根付きも良いので、
「沖縄の土壌や気候環境に最適な最強の品種」
の可能性があり、
今後の成長がとても楽しみになりました。

これとは別の品種も、現在発芽待ちで、こっちも楽しみですが、
大型台風3連発でプランターの遮光ネットが吹き飛ばされて、
その上、潮が入ったり、台風でエサが激減中の野鳥が
タネを掘り返して食べているのを発見しましたから、
こっちのタネ植えは、再度行う必要性も出てきました。

コーヒーのポット苗20121022-2.JPG
 発芽後8か月目とは考えられないほど元気に生育しています。
 今日の作業ペースは1時間で42個でした。


沖縄ではコーヒー栽培はマイナーで、
野鳥もコーヒーの実は認知していませんし、
さらにコーヒーの実にはカフェインというアルカロイド(毒)があり、
沖縄の野鳥からすると、積極的に食べたい実ではありません。
他に食べるものが無い時に、仕方なくコーヒーの実を食します。

ということは、
野鳥が食べる果樹や実のなる樹木、
いろいろありますが、例えばクワを植えると、
野鳥は好んで実を食べにやってきます。
我が家でもノグチゲラやアカヒゲなどの絶滅危惧種が
台所の窓から2m前後にあるクワの実を食べにやってきます。
こういうダミーをコーヒーと植えれば、
野鳥による食害は激減するのですが、
今回の、相次ぐ大型台風でクワなどの葉や実が吹き飛ばされてしまい、
野鳥たちが仕方なくコーヒーのタネまで掘り出しているのです。

コーヒーのポット苗20121022-3.JPG
 腐葉土を目一杯投入するのは、
 それ自体が自然の最高の肥料だからですが、さらに
「保湿・保水」という乾燥させないようにしてあげること、
 初めてのやんばるの厳冬期を経験するための「保温」、
 微生物の活躍の期待などが主な理由ですが、
 ポット内の土壌を固くさせずに根を伸ばしたい、ということも
 微生物に期待していることです。
 ふつうポットや鉢に入れた土を、そのままにしておくと
 ガチガチに固くなりますが、腐葉土を撒いておくと、
 微生物の働きで、土が軟らかい状態をキープしてくれるのです。


コーヒー山の西側の松の樹形20121022.JPG
 コーヒー山の西側の松の樹形ですが、画像の右が西です。
 松の枝葉は西側に伸びて、東側には無いですよね。
 これは松の成長過程で台風の猛烈な暴風の影響なのです。
 このあたりの松は、東側に枝葉が無いか、
 西側に傾斜するように生えています。
 それだけ東からの風が強烈なことを示しているのです。
posted by COFFEE CHERRY at 22:46| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月20日

コーヒー栽培ではなぜ直播ではなくポット苗移植なのかを考える

コーヒーのタネは温度、酸素、土壌湿度といった条件が揃えば
発芽まで1カ月前後と時間を要すものの、わりと簡単に発芽します。

本当に良い豆を作るなら、
タネ植えをする前段階で、品種選定はもちろん、タネ自体の良し悪しの選別や
発芽以降の苗木の生育や定植する苗木の選別や時期なども重要で
「発芽したから、もう成功したようなものだ」
というのは早計なのです。

稲作に昔から伝わる
「苗半作(なえはんさく)」
というのは、
「苗を上手に育てれば半分は成功した様なもの」
「苗の善し悪しによってその後の作物の育ち方に大きく影響する」
という意味ですが、
これはコーヒーにももちろん言えることで、
良い苗木を作るには、まずコーヒーの特長を知る必要があります。

コーヒー山の東側20121020.JPG
 コーヒー山の東側には大きな谷があります。
 台風の東風は、谷を降り、山に吹き上がってきます。
 度重なる台風で、照葉樹は葉が吹き飛ばされて
 隣の山が見えるようになってしまいました。
 やんばるらしい深い森林に回復するまでは2年はかかりそうです。


タネ蒔きには、
栽培する場所に直接タネを蒔く
「直播(じかまき)」

育苗箱やプランターなどにタネを蒔いたあと、
ある程度の大きさに育った苗を圃場に植える
「移植」
があるのですが、
コーヒーのタネ蒔きでは、
「移植」
が行われます。

コーヒーでも直播で発芽しますし、
実が熟して「こぼれタネ」となって落下して発芽する
「自生苗」
があります。
コーヒーの成木の幹の周りには
おびただしい自生した苗が発芽していて、
私も2年前まではその自生苗を重宝にしていたのですが
今は苗木を選別して、良い苗木だけを定植するようにしています。

「発芽までの長い時間や、その後の苗の生育期間を考えると、
 自生苗の利用は、かなりの時間短縮になる」

という考えでしたが、
実際には自生苗は、その後の生育が悪かったり、徒長苗が多かったりと、
デメリットの方が多かったからです。

直播(じかまき)は、文字通り
「栽培する圃場に直接タネを蒔く」
方法で、
コーヒーのような根が真っ直ぐ下に伸びる直根性の植物には
本来、直播の方が良いのですが、
コーヒーの場合は、
「生育に、とにかく時間がかかる」
というのが特長ですから、
「コーヒーより雑草の方が生育が旺盛なため、コーヒーの生育が負けてしまう」
そのため
「発芽したコーヒーは、光合成をしようと焦り、徒長してしまう」
ということや、
自生苗をプランターやポットなどに移植しようとした時に
「移植で根を損傷させてしまい、その後の生育を阻害してしまう」
こともありますし、
また、
「圃場では灌水(水やり)や排水、保温がしにくい」
ことや
「圃場は土壌が固く、デリケートな苗は根が伸びにくい」
こともあり、
直播は苗づくりの省力が図れるメリットはあるものの、
コーヒーの場合は使い勝手が良くない、ということがいえるのです。

また、自生苗は、そのまま放置しておくと、
すくすくと生育することはなく、苗段階で枯れてしまいます。
熱帯地域では違う結果が出るのかもしれませんが、
沖縄では、私の知り得る限りでは、
例外なく自生苗は苗段階で枯れてしまっています。

自生苗をポットに移植し、その後圃場に定植した苗木は、
その後の生育過程で徒長が修復することは無く、
節間が間延びした状態で、すくすくと成長します。

節間が長いと収穫量が少なくなりますし、風にも弱く、
台風には耐えられない木になり、
ストレスが多く、良い実を付けない結果に至るはずです。
また、収穫後の浮豆も多く、
この時点で
「どうして浮豆が多いのかな?」
と悩むことになるのですが、
多くの人は、それさえも気づかないかもしれません。

私は今に至るまで13年間、
コーヒー栽培では紆余曲折して失敗を山のように積み重ねてきて、
「沖縄でのコーヒー栽培ではこうすべきだ」
というゴールは、まだはるか遠く先で、
私が生きているうちにゴールに到達できるのかどうか、
というゴールのないようなマラソンレースに出場しているようなものですが、
「沖縄でのコーヒー栽培では、こうすべきではない」
ということに関しては、
「どうしてダメなのか」
ということを、よく学習してきました。

そういう意味でも、
「沖縄でのコーヒー栽培では自生苗は扱いにくい」
というのが、
私なりの結論なのです。

さて、そうなると、
沖縄でのコーヒー栽培におけるタネ植えは、
「直播(じかまき)ではなく、プランターや育苗箱でタネ植えさせて
 さらにポットに移し替えて、適当な時期が来たら、圃場に定植する」

という、
面倒で時間もコストもかかる方法が良い、
ということになるのですが、
なぜ、そんな面倒なことをするのか、というと
「充分な根出し」
をさせたいからです。

コーヒー苗の根20121020.JPG
 プランターで発芽させ、根を切らないように注意して
 ポット苗に移し替えます。


コーヒーは陰樹という、照りつける太陽のもとで育つより、
森林内の木漏れ日の入るような、遮光ネットの中のようなところで
元気に生育する木ですが、
発芽から苗木の段階では、
「光合成をしたい」
と、願っている天邪鬼(あまのじゃく)の面もあり、
また、土壌湿度が必須で、
手のかかる幼児のようなところもありますから、
「小さなポット内で根を充分に育てる」
ために、
プランターや育苗箱などでタネ植えして
発芽後に、またポットに移し替えをするような
面倒で時間もコストもかかる方法を取るのです。

コーヒーの発芽苗20121020.JPG
 プランターに何個タネを入れるか、というのは私もいろいろ行っていて、
 発芽率を出したい時は45か60個で厳密に行っています。
 この画像のプランターには200〜300個のタネを
 エイヤっと大ざっぱに蒔き、ほとんどが発芽をしてきました。
 土壌は軟らかい、完熟の山の腐葉土に
 少量の山の土壌を混ぜてあります。


プランターやポット内の土壌を軟らかくさせておけば
根が充分に伸びますし、水やりの管理も容易ですし、
植え替え時に毛根を切らないように注意すれば、
雑草にもやや抵抗力が付いて、移植後の生育も良くなります。

直根は、真っ直ぐに地下に伸びていきたいので、
ポット内で根がグルグル回ってしまっては
正常な生育ができなくなりますし、
移植の時期が遅れても徒長の原因になります。
また、定植する穴の大きさや深さなども
定植後の根付きに大きな影響を及ぼしますし、
定植後の水やりが充分出来ない場合の保水方法などもあるのですが、
それらはまた後日記述するようにしましょう。

コーヒーのポット苗20121020.JPG
 今日は他の作業もあり、1時間だけプランターからポット移植をしましたが、
 31個出来ました。
 段取りが悪かったので、準備さえ良ければ1時間で40個以上は充分可能ですから
 この作業は私はベテランの域に入ったのかもしれません。
 画像のポットに、落ち葉を山盛りで投入して、水やりをすれば
 今日の作業は終了です。


ヤンバルオオフトミミズ20121020.JPG
 ポット苗は、かなりデリケートなので、
 根が充分伸びやすいように
 軟らかい完熟腐葉土リッチの配合にしています。
 紫色のヘビみたいなのは「ヤンバルオオフトミミズ」の子供です。
 画像のは約20cmあり、撮影時は頭部は潜り始めていました。
 成体になると大物は40cm近くなります。
 イノシシの好物でもあります。
posted by COFFEE CHERRY at 22:54| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒーの品質を高めるための考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月19日

台風一過で路地のコーヒーが悲惨な姿に

迷走後、黒潮暖流に乗って北東方面に向かった台風21号は、
8月下旬以降、約2週間の間隔で本島に襲来した台風3連発とは
比較できないほどスケール度が小さく感じましたが、
大東島や座間味などの離島では、
先週の12日(金曜)くらいから船便が欠航していたために
食料品などが島内の店舗で在庫ゼロが続いていたようです。

台風一過で、一段と涼しさを増し、
もう台風の接近は無いでしょうから、
以下、相次いだ大型台風の爪跡を見てみましょう。

台風一過20121019-1.JPG
 国頭村奥集落の小学校付近では、道路標識が倒されていました。

台風一過20121019-2.JPG
 奥集落から楚洲(そす)にかけての県道70号線沿いでは、
 暴風が吹き荒れたエリアは木がバタバタと倒れていました。
 手前に倒れた木は、道路をふさぎ、誰かがチェーンソーで切った跡が見えますね。
 私もノコギリは車に必ず搭載していますが、
 台風後など、行き帰りに林道に木が倒壊していることがあり、
 ノコギリは必須アイテムです。


台風一過20121019-3.JPG
 平成16年3月に廃校になった楚洲小中学校の跡地は
 宿泊施設を伴った社会福祉施設「楚洲あさひの丘」になったのですが、
 その入口付近の「ヤンバルクイナの標識」も
 暴風で倒されていました。
 暴風の威力はすさまじいですね。


台風一過20121019-4.JPG
 楚洲の風力発電の付近の道路標識も倒壊。
 風力発電の羽3枚のうち1枚は根元で折られています。


台風一過20121019-5.JPG
 ここも楚洲の風力発電の付近ですが、
 ここでは道路標識がポキリと折られていました。
 飛ばされて、道路の邪魔になるので
 ガードレールの外側に置かれたようです。


台風一過20121019-6.JPG
 私の管理する大バナナ園です。
 ここの地主は
  「ここでは吹きさらしになるのでバナナはムリ。
   ここは自由に使っていいけどバナナは下の1200坪の方が条件がいい。
   子株を掘り出してそっちに植え替えたらいい。」
 と言われ、ここではすでにハイビスカス苗木を植え出していたのですが、
 我が家の東(海)側の方にバナナ園を新たに造ることに決意しました。



台風一過20121019-7.JPG
 我が家の防風林モクマオウも、根元から倒壊してしまいました。
 樹高が20m近くになる大きな広葉樹モクマオウは、堅いのですが
 暴風にはもろく、樹高3〜4mくらいでポキリと折れてしまうことは多いのですが、
 根元から倒されるのは今まで見たことがないです。
 この倒壊したモクマオウの先端付近の堅い枝は、
 我が家の北側の出入り口をふさぎ、チェーンソーで切りました。



道路標識が倒され、大きな樹木もバタバタ倒壊するくらいの
暴風が吹き荒れたのですから、
路地植えのコーヒーはひとたまりもありません。

以下は、我が家に隣接したミニバナナ園の北東の端に植えたコーヒー画像です。

路地のコーヒー20121019-1.JPG
 ミニバナナ園は度重なる大型台風3連発でほぼ壊滅しています。
 ここでの防風対策は、生育途上のハイビスカスと、
 東側と北側はL字型に雑木林があるだけでした。
 この状態では、風速30m〜40m程度まで、
 しかも月に1回までしか耐えられないのに、
 2週間おきに3回の大型台風が、しかも輪をかけて猛烈化したことで、
 防風役のハイビスカスは葉がほとんど吹き飛び、
 無防備になったミニバナナ園は、
 猛烈な暴風の吹きさらし状態になっていました。
 そのため、画像のようにコーヒーは丸裸になってしまいました。


路地のコーヒー20121019-2.JPG
 コーヒーの根元部分です。
 地面と根元の間にすき間がありますが、
 これは暴風でコーヒーが右に左に、
 グルグル振られたことを意味しています。
 こうなると、毛根も切られて損傷していますから、
 葉が無くなって光合成がどうなるのか、という問題よりも
 このコーヒーの木が、復調を期して頑張ろうとするなら
 まず上部の幹や枝を枯らしても、
 まず根を、かなり時間をかけて再生するものと思われます。
 もし根が生きていれば、
 この木の再生はカットバックしか選択肢はありません。
 カットバックで元通りに復調するまでには、
 おそらく3年以上かかることになるでしょう。
 こういう場合は、他のコーヒー苗木と入れ替えるのがふつうです。
 苗木を定植して、その生育の方が早いし、元気だからですが、
 私は木が枯れてしまえばそうしますが、
 まだ生きている間は、放任して木の生命力に任せます。
 苗木は他にいくらでも植えるところがあるので。


路地のコーヒー20121019-3.JPG
 8月中旬頃の、台風3連発の前の元気な頃のコーヒーです。
 せっかく順調に生育して、春には一部開花もして結実もしていたのに…。
 残念というより可哀そうなことをしました。
 私の非力のせいですから。



沖縄でのコーヒー栽培は、
「栽培出来るのかどうか?」
というと、
答えは
「出来る」
のですが、
当ブログで再三書いていることですが、
「沖縄の土壌や気候風土に最適な品種選定」

「沖縄に最適な栽培方法」
と同時に、
「台風対策」
は必須条件なのです。

私が直接お会いした人には、
こういった話は必ずするのですが、
ほとんどの方は
「言葉は理解するけど、頭では理解していない」
ようで、
台風のたびに被災され、台風を恐れているのが実情です。

沖縄は台風とも共生しなければいけない地域ですから、
台風は甘んじて受け入れざるを得ないのです。
台風は必ず来るので、
「それならどうすれば守れるのか」
を考えなければいけないし、
ただ考えるだけでなく、
「どうすれば防風できるのか」
という具体策を実行しないといけません。
防風対策が甘ければ当然被災するでしょうが、
「それなら、さらに頑強な防風対策はどうすればいいのか」
を考え、
それをさらに実行する、そういうことを何度も繰り替えせないなら
沖縄でコーヒー栽培なんて、とてもムリだと思います。

東西南北の周囲を頑強なフクギ、クロキ、イスノキなどの防風林を造るとなると、
20年以上はかかるはずですが、私は来年からフクギの防風林を造ることにしました。
それが完成するのを私が見れるかどうかは判りませんが、
後継する娘婿夫婦の時に完成していてほしいからです。

私は沖縄に移住して13年になりますが、その当時にフクギを育てていたなら、
もう私の背丈を超えていたかもしれません。
戦前の沖縄は、フクギが周囲を囲い、
その中の萱葺(かやぶき)き民家も、台風に耐えていたのです。

今回の度重なる大型台風で、私も初心に立ち返ることが出来ました。

沖縄でのコーヒー栽培で、良い実を作り、安定して生産するなら、
台風対策を考えると、やんばるの森林栽培が最適だと
ますます確信的に思います。
posted by COFFEE CHERRY at 16:20| 沖縄 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 台風の被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月14日

タイリクショウジョウトンボのつかの間のひと時

台風21号が沖縄本島に接近しています。
明日15日(月曜)以降は、北西に進路変更をする模様で、
そのままだと本島と久米島の間の座間味諸島に向かうようになっていますから、
だとすると、来週の中ごろには本島全域はまたしても暴風域に入り、
やんばるはまた東からの暴風に苛(さいな)まれることになりそうです。

度重なる大型台風ではお決まりの停電も困りますが、
やんばるでは台風で電話線も被災していて、
我が家でも電話が復旧したのは昨日13日(土曜)の夕方5時半で、
台風17号通過後、実に2週間ぶりのことでした。

今度の台風17号は、最近めっきり冷え込んできた本土や
台風で海底をかき混ぜられて海水温度が下がっている本島近海には
さすがになかなか上がって来られないようで、低速で迷走しています。

台風は時速7kmらしいのですが、
これはどのくらいの速さかというと、
不動産屋さんの店頭に出ている「駅から徒歩○分」という表示は
「一分間に80m歩く速度」
つまり時速4.8kmなので、
急ぎ足といわれる時速6kmより、
遅いジョギング程度をイメージすればいいと思います。

遅いジョギング程度で、ダラダラと海上を進み、
しかも迷走しているのですが、
50km競歩の世界記録は3時間34分14秒、
時速換算すると14.0kmですから、ヒトより遅い。
来るなら早く来てサッサと通りすぎてほしいものです。

昨日、自宅の庭でタイリクショウジョウトンボと出会いました。
彼は相次ぐ台風でも生き延びていたんですね。
彼が翅(はね)を休めている間、彼を見て癒されていました。

タイリクショウジョウトンボ20121013-1.JPG
 トカラ列島以南の南西諸島に分布するタイリクショウジョウトンボは
 本土のショウジョウトンボの亜種です。
 成体の雄は全身が鮮やかな赤色で、
 未成熟の雄や雌はオレンジ色なので、画像のトンボは雄だと判るのです。
 童謡で歌われる「赤とんぼ」はアキアカネなどのアカネ属のトンボですが、
 アカネ属種は沖縄にはいないようで、
 沖縄で赤とんぼというとタイリクショウジョウトンボの雄のことを指します。
 腹部に黒い筋が入り、アカネ属のトンボに比べて
 腹部が太めで平べったいのがタイリクショウジョウトンボの特長のようです。
 一年中飛んでいるふつうのトンボで、絶滅危惧種ではありません。


タイリクショウジョウトンボ20121013-2.JPG
 タイリクショウジョウトンボの「ショウジョウ」は、
 中国の伝説の動物というと竜や麒麟がありますが、
 “猩々(しょうじょう)”という、体は人間に似ていて
 朱色の長毛に覆われ、人語を解して酒を好むという
 動物の名前にちなんでいるようです。
 能の、おめでたい演目に「猩々(しょうじょう)」に使われる能面が
 赤ら顔をしていて、赤い長い髪を振り乱して舞うので、
 能の「猩々(しょうじょう)」から命名されたのでは、と
 勝手に想像しています。
 漢字で「猩々」と書く動物はオランウータンだから、これは無関係ですし、
 赤い目をしてお酒に群がるショウジョウバエや
 漢字で「猩々木」と書くポインセチアなど、
 赤みの強い色彩を持つ草、貝、蟹、海老、鳥などの動植物には
 この「猩々(しょうじょう)」が付いた名前が付けられているものがありますから、
 なかなか名付けも興味深いところがあります。
 宮崎駿監督のアニメ作品「もののけ姫」にも
 「猩々(しょうじょう)」と呼ばれる不気味な容姿と赤く光る眼をした
 猿の一族が登場していましたね。
 夜な夜なタタラ場周辺の禿山に出没しては樹を植えるのですが、
 直接山犬族や猪族と一緒になって人間と闘うことはせず、
 最後には絶望して森を去ったような記憶があります。
 壮大な内容のわりに、印象度が少ないアニメ映画でした。
 ちなみに、千葉県木更津市の浄土真宗本願寺派の
 證誠寺(しょうじょうじ)をモデルとした
 野口雨情(うじょう)作詞、中山晋平作曲の童謡
 「証城寺のたぬきばやし」は
 まったく無関係のようです。


コーヒー生豆が翡翠なら、
タイリクショウジョウトンボはルビーですね。
posted by COFFEE CHERRY at 14:50| 沖縄 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒー山の動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月12日

Batman現る

相次ぐ大型台風で吹き飛ばされるのは屋根や家屋、車両の一部だけではなく、
昆虫なども吹き飛ばされています。

そのため、野鳥やヤンバルクイナ、ヘビ、トンボなどが
エサを求めて駆けずり回っている光景を、
台風一過後によく見かけるようになっています。

我が家に隣接するミニバナナ園や、
そこから約40m海抜が高い大バナナ園は
残念ながらほぼ壊滅してしまいましたが、
自宅の庭周辺では奇跡的に約10本のバナナが残りました。

午後のまだ明るい時間なのに、私の頭上を飛んでいくオオコウモリが
イスラエルバナナに向かって行きました。

オリイオオコウモリ20121012-1.JPG
 沖縄本島とその周辺の離島に生息する
 「オリイオオコウモリ」
 で、両腕を広げた大きさは、子どもの傘くらいありました。
 この画像は背中側で、台風でかろうじて残ったイスラエルバナナの果実を
 食べているところです。
 黒いエプロンを腰のあたりで締めているように見えますね。


オリイオオコウモリ20121012-2.JPG
 彼は私の気配に気が付いて、
 タヌキのような頭を私に向けて、私の様子を伺っているところです。
 私は「ただ撮影しているだけだから何もしないよ」と想念を送りました。


オリイオオコウモリ20121012-3.JPG
 私の撮影がヘタなので画像がはっきりしないのですが、
 彼は再びバナナの熟れた果実を食べ始めました。


オリイオオコウモリ20121012-4.JPG
 どうも集中できないようで、
 「バナナを食べたいけど、ヒトが気になるし…」
 と思案しているところです。


オリイオオコウモリ20121012-5.JPG
 再び私と目を合わせ、彼は直後にバタバタと飛び立ってしまいました。
 彼の首の周りがエリマキのように白っぽくなっていますが、
 これが沖縄のオリイオオコウモリの特長です。



日本に生息するオオコウモリは2種類あり、
1つは小笠原諸島にオガサワラオオコウモリ、
もう1つは南西諸島の奄美諸島以南のクビワオオコウモリです。
昔はオキナワオオコウモリが本島に生息していたらしいのですが、
現在は見かけたことも死骸を発見することもなく絶滅したといわれています。

沖縄本島とその周辺に生息するオリイオオコウモリは、
クビワオオコウモリの亜種で、
奄美大島周辺に生息するエラブオオコウモリ、
北大東島と南大東島に生息するダイトウオオコウモリ、
宮古島から西の八重山諸島に生息するヤエヤマオオコウモリという
それぞれ首周りが白っぽくなっているクビワオオコウモリの4種の亜種が
南西諸島のそれぞれに分布しているようです。

オリイオオコウモリは沖縄県レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されているものの、
本島内では低地の林から山地まで見られ、
日中は樹木の枝にぶら下がって休息し、
ふつうは夜間に活動するのですが、
度重なる台風で食餌が少なくなっているようで、
日中の午後にバナナを食べに来たのでしょう。

花の蜜や昆虫なども食べるようですが、
彼らの主食は果実で、バナナが大好物です。
彼らのためにもバナナ畑を復活させないといけません。
posted by COFFEE CHERRY at 20:47| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒー山の動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月10日

相次いだ大型台風の教訓と課題

8月5日(日曜)に台風11号、
8月27日(月曜)には「戦後最大級」といわれた台風15号、
(最接近直前で風向きが変わり戦後最大級ではありませんでした)
9月16日(日曜)には15号より強烈な台風16号がやんばるを横断、
その復旧の最中の9月29日(土曜)には16号を上回る台風17号が、
本島を南部から北部にかけて西沿岸を縦断しました。

台風16号、17号は大潮の満潮と重なったこともあり、
本島だけでなく離島にも、特に沿岸部では甚大な被災がありました。

台風17号は、何しろ本島の過半数の世帯が停電したくらいですから、
車の横転などはあちこちで見られ、
私の住む国頭(くにがみ)村では、台風と三点セットの停電や断水は当然としても
高潮による床上浸水、床下浸水、林道決壊、土砂崩れ、
風力発電の羽根が根元から折られたり、漁船が流されたり、
民家や畜産施設などの屋根やトタンが吹き飛ばされたり等々
台風の爪痕の深さがあらわになっています。

国頭村楚洲の風力発電20121002.JPG
 暴風で羽根が根元からポキリと折れてしまっては
 風力発電の意味がありません。
 ここには2基あり、国頭村の全世帯の電力がまかなえるほどの
 電力量が作れるそうですが売電なので…。


大宜味村の道の駅の北側の山は台風16号で土砂崩れになり復旧修復中でしたが、
約2週間後の台風17号で被害が増幅され、
再度民家や58号線に土砂が流出したりして
一時58号線が通行止めになっていました。

伊平屋島では電柱40本、宜野座村でも21本が倒壊したようです。
今どきの電柱は昔の木ではなくコンクリ製ですから
これがバタバタ倒れるくらいの猛烈な暴風だったわけです。

我が家でもトタンが数十枚飛ばされたり、
コンクリ製の直径50cmの鉢が割れて飛び散ったり、
車のバックミラーが吹き飛ばされたり、
数百メートルも離れた畜産施設のトタン屋根(6m×10m)や車両の一部などが
我が家の防風林モクマオウに直撃して、あちこちに落ちています。
毎度おなじみの停電も長期にわたり、
冷蔵庫や冷凍庫内は停電中は扉を開けていませんでしたが、
大部分は廃棄せざるを得ませんでした。

自宅に隣接するミニバナナ園や大バナナ園は全壊し、
バナナは自宅庭の10本くらいが残っただけです。
運よく生き残ったバナナは、
暴風に当たらない場所にたまたま定植してあったためです。

ミニバナナ園20120930.JPG
 ミニバナナ園は見た目には全壊ですが、
 倒壊したのは高さが1m以上に成長したバナナで
 それ以下の子株は倒壊していません。
 バナナは球根のような草本ですから、仮に子株が折れたとしても
  新しい新芽が次々に出てくるのです。


ミニバナナ園20121010.JPG
 今日のミニバナナ園です。
 台風一過で、生き残ったバナナが一斉に新葉を出してきました。
 こうしてみると、全壊のように見えたのに、
 「予想以上に残っているものだな」
 とバナナに感心してしまいます。
 白っぽい苗木はハイビスカスです。
 度重なる台風で木が丸裸になり、剪定をし直しました。
 ハイビスカスは応急的な防風林には成り得ても
 風速40mまでしか耐えられないので、近年の大型台風では
 とても暴風を防ぎきれるものではありません。
 それでも在来種なので、丸裸になっても
 約2カ月で元通りに復活するのです。


県農林水産部によると、
台風17号の県内農林被害総額(台風3日後の速報第2報)は17億8888万円で
今年の台風被害では最大でした。


沖縄でのコーヒー栽培は、
戦後、具志川(現うるま市)の和宇慶(わうけ)先生や
恩納村の山城先生が行われていた栽培方法がベースになっていることや、
コーヒー栽培のイメージが
「見渡す限りの地平線までコーヒー農園」
という、森林伐採後にコーヒーだけを定植するプランテーション型にあることで、
県内のほとんどの生産者が路地栽培、つまり空が見える状態で栽培しています。

沖縄では4〜5月の、満月や新月の大潮の前後1週間にコーヒーの白い花が開花し、
その後結実して実が成長し、10月以降から収穫期を迎えるのですが、
沖縄の台風の時期、5〜10月というのは、開花がおおむね終わり、
コーヒーの緑の実が少しずつ大きくなってきている大事な時期にあたり、
台風の暴風で枝葉がこすれることで、緑の実や葉が落ちてしまうのです。

今夏の8月以降の相次ぐ台風で、
県内の路地コーヒー栽培では、かなり大きな被災を受けているはずです。
空がぽっかり空いている農地では、
暴風が叩きのめすくらいの勢いで吹きつけますから
被害が大きくなるのは避けられないのです。

また、台風の通過位置で風向きが変わったり、
台風17号では特に返しの猛烈な西風で被害が拡大したように、
全方位の堅固な防風対策が必要になるのですが、
栽培面積や地形的な問題もあり、
頑丈な防風対策はなかなか難しいのが現状ですから、
路地栽培のコーヒーの多くは半壊以上と予想されます。
ということは
「今期の収穫は期待出来ない」
はずですが、
ドラえもんの四次元ポケットか魔法のランプを持っているあそことあそこは
沖縄産と称するコーヒーを無制限で売ることでしょう。


前置きが長くなりましたが、コーヒー山の被災状況をお知らせします。

2001年(平成13年)4月より施行された改正JAS法の後に
「無農薬栽培」
「減農薬栽培」
「無化学肥料」
「減化学肥料」

という表示が曖昧(あいまい)だとして
その6年後の2007年(平成19年)3月に
「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」
が改正され、
「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」
の表示は表示禁止事項になりました。

スーパーの店頭などでは、
いまだに「無農薬」とPOPに表示されるのを見受けますし、
私も時々「無農薬栽培」と、つい習慣で言ったりしてしまうのですが、
罰則はないものの、曖昧(あいまい)で誤解を生みやすい表示なので
その使用が禁止されているのです。

それを踏まえて、あえて
「コーヒー山は、台風の被災はほぼ無い」
というのが、
正直な報告なのです。

適当な表現が思い当たらず、
曖昧(あいまい)な言い方で申し訳ありませんが、
以下、画像を交えて説明していきましょう。

台風17号の被災状況20121003-1.JPG
 定植を待つ黒ポリポットのコーヒー苗木に
 照葉樹などの枝葉が落下しています。
 「台風大変だったね」
 と1つ1つに声をかけて枝葉を取り除いていきます。


台風17号の被災状況20121003-2.JPG
 樹高の高い照葉樹は、暴風をモロに受けるので
 枝葉が折れたり、幹が折れたり、倒壊することもあります。
 森林栽培では中高木の照葉樹の下でコーヒーを定植しますから
 画像のように大きな幹が倒れてくることもあります。
 コーヒーの木は幹が細く、見るからに弱々しいのですが、
 柳のようにしなり、ある程度の強風や
 画像のように幹や枝葉の落下で当たっても
 それを取り除くと、まず元通りに復活します。
 コーヒーは弱さも充分ありますが、強さも兼ね備えているわけです。


台風17号の被災状況20121003-3.JPG
 ここでも、バタバタと上空から枝葉などの落下があったようですね。
 コーヒーだけでなく森林内の樹木には激励しながら
 とにかく丹念に落下してきた枝葉などを取り除いてあげることです。


台風17号の被災状況20121003-4.JPG
 落下してくる枝などは、生木よりも多くは枯れています。
 台風はある意味、照葉樹などの中高木の大掃除的な
 枯れ枝などの除去や剪定などの役割も担っているのかもしれません。
 というより、植物が台風をそうやって共生しているのかもしれません。


台風17号の被災状況20121003-5.JPG
 ここでは照葉樹の大木が根元から倒されかけて、
 その根元付近に置いてあったコーヒー苗木たちが
 地面ごと持ち上げられていました。
 まだ根が付いて生きている樹木は、
 出来る限り切らずに、そのまま放任することにしています。
 コーヒー苗木ポットは、他に移動しました。


台風17号の被災状況20121003-6.JPG
 か弱いコーヒーの葉も、暴風の影響がまるで無いくらい元気な苗木が多数あり、
 樹木による防風の効果が充分にあることを証明しています。


台風17号の被災状況20121003-7.JPG
 照葉樹が折れてタコの木のように見えますね。
 苗木がどうなったかは次の画像をご覧ください。


台風17号の被災状況20121003-8.JPG
 上の画像のタコの脚部分です。
 コーヒー苗木が奇跡的に当たらないのではなく
 当たってもしなるので、よほどの直撃でなければ大丈夫、
 ということが判ってきました。


台風17号の被災状況20121003-9.JPG
 樹高の高い中高木から、雨あられのように降ってくる枝葉を
 ただひたすら、とにかく丹念に拾い上げてあげます。


台風17号の被災状況20121003-10.JPG
 暴風が吹き抜けるエリアに置かれたコーヒー苗木たちは
 枝葉がこすれ合い、一部の葉は破れてしまっています。
 雑木の幹が折れるほどの暴風でも
 意外とコーヒーは耐え抜いたことを示しています。
 出来る限り風が吹き抜けるエリアには苗木は置かない、
 定植もしない、という考えですが、
 暴風が吹き荒れている現場に立ち会えば判るのですが、
 それが出来ないために、平時の状態で
 周囲の樹木の配置や地形、方位を勘案して
 “勘”で「ここにしよう」と決めるのですが、外れも多々ありますね。


オオジョロウグモ20121003-1.JPG
 日本最大のクモ「オオジョロウグモ」が網を張って
 獲物を待ち構えていますが、
 台風一過で獲物もだいぶ吹き飛ばされているはずですから
 開店休業状態でした。


オオジョロウグモ20121003-2.JPG
 オオジョロウグモの裏側です。
 足の先端の端から端までの大きさは
 私の手のひら全体の大きさに相当します。


台風17号の被災状況20121003-11.JPG
 周囲には落下したり飛ばされたりした枝が散乱しているものの
 暴風の影響が無いコーヒー苗木もあり、
 「無事で良かったね」
 と声をかけずにはいられません。


台風17号の被災状況20121003-12.JPG
 コーヒー山の縦貫道路「重機の道」の導入部分です。
 松の大木が倒壊するなど、行く手をはばみますが、
 倒壊した松は頭上の上なので、当面はこのままにしておきます。


台風17号の被災状況20121003-13.JPG
 コーヒー山の縦貫道路「重機の道」では、
 土砂崩れになっているところもありました。
 ここは以前から少し崩れかかっていたところですが、
 植物の根で抑えこむようにして被害拡大を防ぐ考えでいます。


台風17号の被災状況20121003-14.JPG
 ここでも暴風の影響はありませんね。

台風17号の被災状況20121003-15.JPG
 コーヒーだけでなく、エリア全体を見渡して
 風がどう吹き抜けたのか、その影響がどうだったかを観察します。
 コーヒーも葉が吹き飛ばされていないか、
 丹念に見てあげます。


台風17号の被災状況20121003-16.JPG
 ここでも被害はほとんど見られません。
 手前のコーヒーの葉が一部破損しているのは
 虫ではなく枝が当たったり風で葉がこすれ合ったりしたようですね。


台風17号の被災状況20121003-17.JPG
 中低木の幹が折れて落下し、
 危うくコーヒー苗木に直撃するところでした。
 こういうのは今までの台風でもよく見かけました。
 不思議に当たらないのです。


ヒメハブ20121003.JPG
 雨水バケツの取っ手部分にヒメハブがうたた寝をしていました。
 カエルの産卵やオタマジャクシを捕食するために
 この付近に棲みついているようです。
 雨水バケツの中は、枝葉やオタマジャクシ、ボウフラ、ヤゴなどで
 込み合っていました。


台風17号の被災状況20121003-18.JPG
 コーヒー山の東側は大きな谷になっているために風が吹きあがってくるので、
 尾根はすさまじい暴風が吹き荒れたらしく、
 スダジイが根元から倒壊していました。
 こういった暴風が吹く沖縄でのコーヒー栽培は
 空がぽっかり見える路地では、とてもムリだと思います。


台風17号の被災状況20121003-19.JPG
 このあたりでも、台風が無かったと思わせるような
 元気な姿を見せていました。


台風17号の被災状況20121003-20.JPG
 昨年の台風の爪跡から照葉樹が復活できていないところに
 夏以降の台風3連発ですから、
 さすがのコーヒー山でも空を見上げると
 ご覧のとおり、スカスカの状態で空がよく見えています。
 光量の考え方はいろいろありますが、
 時期にはこれから寒季に向かうので
 陽当たりが良くなってもいいかもしれません。


台風17号の被災状況20121003-21.JPG
 このエリアも暴風の影響はありません。

台風17号の被災状況20121003-22.JPG
 コーヒー山では、おおむねこういう感じで
 台風の被災は「まったく無い」と言ったらウソになりますし、
 「被害があった」という状況ではないし、そのため
 「コーヒー山は、台風の被災はほぼ無い」
 というあいまいな報告をしたのです。


台風17号の被災状況20121003-23.JPG
 陽が落ちるのが早くなりました。
 「また来るからね」
 と、コーヒーに声をかけるのですが、
 五感ではなく想念で声をかけるように心掛けています。



コーヒーの生産地の中で、
沖縄は台風とは切り離せない特殊な環境の地域ですから、
沖縄でコーヒー栽培をして、安定的な生産をするには、真摯に
「台風とどう向き合うか」
を考えなければいけません。
当たり前のことですが、
「実が出来たらどう売るか」
ということばかり考えて
防風対策を軽視する方があまりにも多く、
当然のことながら次々に失敗、撤退が繰り返されているのが現状なのです。

路地栽培やアルミパイプのハウスでは
暴風はとても防ぎきれませんし、
高価な鉄骨ハウスを建てるとしても、
ハウス内でコーヒーばかりを植えると
連作障害のようになってコーヒーは病弱化してしまいます。

防風対策としての防風林は
ハイビスカスやホンコンカボックでは、
成長は早いのですが、風速40m程度で
しかも葉が生えそろう2カ月以内に再度台風が襲来すると
木がスカスカ状態なので、まったく防風の役は果たせません。

また、歴史的に考えても
タンカンやシークワーサーなどのみかん、果樹類は
本島西海岸側で行われていて、
東海岸側ではパイン栽培が中心です。
これは東海岸側での暴風で果樹栽培が適しないことを意味しています。

そういうことを鑑みると、
防風林は時間がかかってもイスノキや、出来ればフクギにすべきで、
農地の全方位に造る必要性があることが判ってくるのです。

イスノキやフクギは効果ある樹高にするには20〜30年もかかりますが、
次世代のためには絶対必要だということが
今回の相次いだ大型台風で心底確信しました。
今後はフクギ苗木も作り、随時植えて行こうと考えています。
フクギの発芽はなかなか難しいのですが、
何となく判ってきました。

また、改めて
「沖縄のコーヒー栽培は森林栽培が最適」
ということが認識できました。
森林栽培は在来種の生存競争の場ですから
コーヒーのようなひ弱な外来種は
放置すると死に絶えてしまうので
人はコーヒーを補佐をする役割に徹すればいいのです。
“人”という字は、支えあって出来ているといわれますが
コーヒーと人が支えあって森林で栽培すればいいのです。

要は、コーヒーも人も、森林の中の一員になるよう
共生するように心掛けていけば、
おのずと答えは出てくるものと確信出来ました。
今後も私の信ずる道を歩んで行きますので、
どうか皆様方のお力をお貸しください。


相次いだ大型台風とスケール度が違いますが、
「猛風」で始まる夏の夕立の詩があります。

「夏夜(かや)」  
 猛風飄電黒雲生
 霎霎高林簇雨声
 夜久雨休風又定
 断雲流月却斜明

 
 猛風(もうふう)飄電(ひょうでん) 黒雲(こくうん)生(しょう)ず
 霎霎(しょうしょう)たり 高林(こうりん) 雨声(うせい)簇(むらが)る
 夜(よる)久(ひさ)しくして 雨(あめ)休(や)み 風(かぜ)又定まる
 断雲(だんうん)流月(りゅうげつ) 却(かえ)って斜(なな)めに明らかなり


 激しい風が吹き、大気に亀裂を生じたかのごとき稲妻が走り、
 黒雲がムクムク・モクモクと湧き起こる
 思う間もなく、高い木々の林の辺り、雨の激しく降る音が大きな音を立てている
 夜が更けて雨が上がり、風も静まった
 夕立の過ぎ去った後には、ちぎれ雲が漂い、
空に浮かぶ傾き加減の月が明るく流れているように見える


唐代末期の韓偓(かんあく)の詩です。

韓偓(かんあく)は889年、
47歳で進士(しんし、国家公務員T種合格のような超難関試験合格)に、
その後、翰林学士(かんりんがくし、皇帝の秘書官)、
中書舎人(ちゅうしょしゃじん、皇帝を補佐し政治を行う宰相の次官)から、
兵部侍郎(へいぶじろう、現・国防次官クラス)とエリートコースを歩むのですが、
時の権力者に憎まれて左遷され、終生都に帰れませんでした。
当時の日本は平安時代中ごろで、
学問の神・菅原道真(すがわらのみちざね)は
韓偓(かんあく)の3歳年下で同世代になります。

左大弁(さだいべん、太政官)、勘解由(かげゆ)長官(行政の監査・監督官)、
春宮亮(皇太子の家政補佐)を兼任していた49歳の菅原道真は
894年、遣唐大使に任ぜられるのですが、
「遣唐使の派遣には莫大な経費がかかるわりに
 航海には海賊などかなりの危険が伴う。
 唐の国力が衰退し、騒乱が頻繁に起こっている現状では
 遣唐使の派遣は国交の意味はなさない」

と、道真は天皇に派遣中止を進言し、
遣唐使派遣は停止になりました。
(907年に唐は滅亡し、この時点で遣唐使は終了)

道真はその後も出世街道をばく進し、
55歳で右大臣まで上りつめるのですが、
奈良時代以降、何代にもわたって天皇家との姻戚関係を結び、
摂関政治を完成させて強大な権力を持つ藤原氏が道真に立ちふさがります。

中央で権力を振り回し、贅沢三昧の藤原氏のおかげで地方が疲弊し、
農民が苦しむ構図を打開しようと、
藤原氏を快く思わない宇多天皇や次の天皇の醍醐天皇が道真を要職に就かせ、
地方の立て直しを図ったのですが、
当時の左大臣・藤原時平ら藤原氏一族が
「道真は自分の娘婿にあたる醍醐天皇の弟を天皇にさせようと陰謀を企んでいる」
というウワサを流し、
大宰権師(だざいごんのそち、大宰府の長官、現副知事くらい)という
名誉職に格下げさせて、
道真は妻子と別れ、流人扱いで福岡に左遷させられてしまうのです。

道真は、京都の自邸で大事にしてきた梅と別れる前に
 東風(こち)吹かば 匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ

 東風(春に吹く強い風)が吹いたら、香りを私のもとまで届けてくれ、梅の花よ。
 主人がいなくなったからといって、春であることを忘れるな。


という有名な和歌を詠んでいます。

都にいた妻や左遷させられた息子二人の死をはるばる大宰府で聞き、
道真自身も濡れ衣を晴らせないまま
着任2年後の59歳で失意のまま、大宰府でその生涯を閉じました。

出世街道を上りつめて、政敵に嫌われて左遷、都に戻れないまま亡くなるのは、
3歳年上の唐の韓偓(かんあく)と重複し、興味深いです。
こういうことは古今東西どこにでもあり得ることですが、
権力を持つズルい人が勝ち上がる構図はイヤなものですね。

道真が亡くなった後、大宰府から少しはなれた土地に墓が作られ、
後に太宰府天満宮が建てられましたが、
当時の神道思想では、怨霊を恭(うやうや)しく祭ることによって、
いわば負の絶対的パワーが大いなる守護霊に変換されると解されていましたから、
大宰府天満宮は、当初は
「道真の怨霊を鎮めるために建立された」
といえるでしょう。

道真は、京都の邸宅を出て行く際には、
 君が住む 宿の梢を 行く行くも 隠るるまでに かえり見しやは

 君が住んでいる家の立木を、道すがら隠れて見えなくなるまで振り返って見ていました。

という悲哀の歌を詠んだように、
家族や庭木を大切にしていたのですが、
同時に庭木たちも道真を慕っていて、
(ペットでも動植物、人間も、かけた愛情がそのまま返ってくるのです)
桜は主人が遠くへ行ってしまったことを悲観して
見る見るうちに枝葉を落として、ついには枯れてしまい、
梅と松は、自分たちを大切に育ててくれた主人の後を追うべく
空を飛んだというのです。
ところが松は途中で力尽きて、
摂津国八部郡板宿(現・兵庫県神戸市須磨区板宿町)近くの
後世「飛松岡」と呼ばれる丘に降り立ち、この地に根を下ろし(飛松伝説)、
梅だけはその夜のうちに主人の居る大宰府まで飛んでゆき、
その地に降り立ったという「飛び梅伝説」があります。

また、道真が世を去ってから、京都では落雷など天変地異が相次ぎ、
「これは道真の怨霊の祟(たたり)りに違いない」
と恐れられました。
特に930年の清涼殿への落雷では公卿、官人らが巻き込まれ
死傷者が出てからは、道真の怨霊は雷神と結びつけられ、
京都の北野に北野天満宮が建立され、
朝廷は道真の罪を許すとともに、官位を贈り、
祟りを鎮めようとしました。
道真の死後百年ほどのあいだは、大災害がおきるたびに
「道真の祟り」
として恐れられ、
天神信仰は全国に広まっていきます。

やがて、各地に祀られた祟りを封じるはずの天神様は、
道真が優れた学者であったことから、
天神は「学問の神様」として信仰されるようになったわけです。

夏以降の相次ぐ大型台風の襲来は、誰の祟りなのでしょうか。


また、韓偓(かんあく)は陝西(せんせい)省西安)の出身ですが、
西安は以前は長安という前漢、北周、隋などの首都で
三国志でも当時の都は長安でしたね。

中国の王朝においては、西の長安(現西安)、東の洛陽の両都が
長きにわたって首都に選ばれることが多く、
王朝が南遷した場合の仮の都としては、南京が選ばれることが多かったのですが、
日本で平安時代末期の中国の北宋では
大運河の影響により開封(かいほう)が首都に選ばれ、
さらに航海術の発達により元代に大都(現北京)に首都が置かれた後は、
全て北京に首都が置かれるようになりました。

西安は兵馬俑抗博物館に代表される古代遺跡はもとより、
数多くの仏教遺跡などがあるのですが、
日本の尖閣諸島国有化に対する抗議行動中、
日本車を破壊した映像を撮影していたのも西安でした。

また、10月5日(金曜)の深夜に
奈良時代の遣唐留学生・阿倍仲麻呂の記念碑がペンキで汚されたのも、
西安市内の公園に設置されています。

また、西安市には西安輸出加工区があり、
JETROの2010年の資料の25ページには
日系企業リストが掲載されていますが、

来年までには撤退する企業も続出することでしょう。


台風21号が今週末から来週初めにかけて沖縄本島に接近する可能性がありますが、
相次ぐ大型台風で海底が撹拌され、本島近海の海水温度も下がり、
本島でも台風以降、朝晩はずいぶん涼しくなりましたから、
もう本島には台風は来ないような気がしますが、楽観的すぎるかな。


リハビリ中のRIU20121006.JPG
 画像右下で遊泳しているのはアザラシではありません。
 ラブラドール特有の亜関節脱臼になって
 9か月間も正座状態で歩行できなかった我が家の家族RIUが
 昨年5月に奇跡的に自力で立ち上がるようになり、
 以降、小走りが出来るように回復してきました。
 週イチの遊泳もリハビリには良いようで、
 画像の岩礁を一周してくることもあります。
 RIUにも想念で話しかけるように心がけていて
 断片的ですが、対話が少し出来るような気がします。

posted by COFFEE CHERRY at 16:10| 沖縄 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 台風の被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月08日

防風対策として効果的な土塁

近年沖縄に来る台風が大型化して、沖縄弧列島に沿う従来の進路だけでなく
沖ノ鳥島方面から北西の沖縄本島に向かって来る台風も珍しくなくなり、
防風対策としては北東方向だけではもはや充分ではなく、
全方位での必要性が出てきました。
しかも台風の大型化で、より堅固なものが必要になっています。

ここ数年の台風による被災があっても
なお防風対策の重要性を理解しないコーヒー生産者も実際にいて
私としては不可思議ですが、こういう方々は論外として、
「沖縄でのコーヒー栽培では台風対策は必要不可欠」
なのが、
他の生産地と大きく異なるポイントだといえるでしょう。

防風対策には防風ネットや防風柵、鉄骨ハウスなどもありますが、
恩納村の故・山城武徳先生の名言
「自然には自然で立ち向かう」
「人工的な防風柵や防風ネット、ハウスを使わず、
 台風にはハイビスカスやホンコンカボックなどを防風林とすることで
 ある程度防ぐことが出来る」

ことに共感している私も、出来うる限り
「自然体」
「あるがまま」
を意識したいので、
人工的なハウスや防風柵、防風ネットは使わず、
地形や防風林で対応したいのです。

防風ネット20120905.JPG
 台風15号で倒された島バナナの修復に防風ネットを使いました。
 この防風ネットの主用途は収穫したバナナの房を置くクッションとして使っていますが、
 その前はタネ植えしたプランターの遮光や
 タネ植えプランターに雨がポタポタ降り注ぐのをやわらげるための
 天井ネットとして使っています。
 防風ネットを「風を防ぐ」という目的ではなく、
 遮光や防虫ネットとして使っていたことがある程度なので、
 私にはムダな買い物でした。


山城先生が
「どこか被災があれば、どこをどう対策をすれば良いのか、
 次回被害に遭わない方法を考えればいい、その繰り返しだ」

と言われたように、
例えば
「バナナは風速20kmで倒壊してしまう」
「ハイビスカスやホンコンカボックの防風林は風速40kmまでしか耐えられない」
ことが判ったのですが、
「それなら具体的にどうすれば守れるのか?」
を考えないといけないし、
またその対策に仮説を立てて、すぐに行動を起こさなければいけません。
台風はまた必ず来るのですから。

そういう意味では、誤解を恐れずに言えば
台風が来るのがある意味楽しみにもなってくるのです。

私の対応策で、
「暴風にどの程度耐えられるのか」
「どこがどうダメだったのか」
「どこをどう補修すべきなのか」
などが体験学習できるからです。

山城先生が、見事なハイビスカス防風林を
樹高2.5m、7m間隔で並列させる方法を確立される前には
ハイビスカスの剪定の度合いで減風率が違うとか
ブロックで花壇風にした上にハイビスカスを植えたらブロックごとなぎ倒されたり、
その後何度も何度も何度も改良して、
最終的に並列式に至ったという話を聞きましたし、
東村のヒロ・コーヒーの故・足立浩志さんからも
1㎥のコンクリートの塊を基礎にした防風ネットが暴風にあおられて倒壊し、
基礎のコンクリ塊が地表に出てきた話も
もう10年以上昔のことですが聞いていて、
今でも昨日のことのように覚えています。

また、足立さんからは二段式防風柵「ひんぷん」という、
防風ネットが離れた2段式になっていて、
風が上に吹き抜ける構造になっている防風柵の話も
何度も聞いたことも懐かしく想い出されます。
「通常の防風柵より数段強そうだけど高額すぎる」
と言われていましたね。
私は北中城村のコーヒー農園で、この「ひんぷん」を見たことがあります。

ここでは「ひんぷん」の防風効果が実際にどうだったのかはよく覚えていないのですが、
この「ひんぷん」で囲われた中の平地でコーヒーの成木が数十本定植されていて
そこにはニワトリが数十羽放し飼いにされてました。
農園内の雑草をニワトリが食べ、同時に園内に鶏糞がばら撒かれることに
「よく考えているな」
と、興味深く見ていたのですが、
雑草がやがて全部無くなって地肌が露出し、
その後ニワトリがコーヒー成木の主幹を突き出したようで
コーヒー成木すべてが立ち枯れてしまった光景を見た時には
私は驚愕してしばらくそこを動けませんでした。
「ひんぷん」の防風効果はあったように思いますが、どうだったかな…。

東村慶佐次(げさし)の「森のハーブガーデン」の比嘉利正さんのところでは
イスノキの並木道が作られているのですが、
ここに至るまで
「20年かかった」
といわれています。

森のハーブガーデンのイスノキ並木道201208.JPG
 台風で枝が折れたのを一度見たくらいで、
 主幹はビクともしないイスノキの並木道で壮観です。
 東村役場を退職されて苦しい時も悲しい時も乗り越えてきた
 比嘉さんの強い想いを感じさせる風景です。


森のハーブガーデンの鶏201208.JPG
 比嘉さんはハーブガーデンで安全な鶏糞を使いたいがために
 自身で養鶏を行っていて、
 その飼料も安全であることはもちろん、漢方薬まで使われています。
 県内では10個400円で卵が売られていますが、
 なかなか買えないくらい予約が殺到しています。


また、やんばるの古民家の多くは
フィリピン原産のフクギを防風林、防潮林として植栽してあり、
みごとな景観と、どんな台風でも折れない強さもあって
イスノキやフクギは私はとても魅力的なのですが、
「とにかく成長に時間がかかる樹木」
なので、即応が出来ないのが欠点なのです。

我が家に隣接するミニバナナ園でも、
防風対策の実験をいろいろテストしていましたが、
「土塁は有効」
ということが、今回の台風15号で判りました。

高さ約1mの土塁は、昨年11月に一輪車で何度も土を運んで
約2週間で造り上げた私の手作りで、
土が固まるように倒木を積み重ねた中に土を入れて作り上げました。

ミニバナナ園の手作り土塁20111110.JPG
 土塁だけでは雨で土が削られてしまうので、
 土塁完成後は、土塁手前にハイビスカスを並列に植え、
 さらに土塁の上にもハイビスカスを植えました。
 ハイビスカスは適度に剪定して強化を図るのですが、
 ハイビスカスは“短中期”用であり、
 イスノキやフクギの苗木をポットで準備して来年には定植し、
 「次世代の時に堅固な防風林が完成出来ればいい」
 と考えています。


重機で高い土塁が築ければ、減風率は著しく向上するはずです。

今回の台風15号は沖縄気象台から
「戦後最大級」
という警告が発令されていましたが、
(それが当たっても当たらなくても警報はありがたいです)
私が住む集落の長老の漁師は、台風上陸前に
「今回の台風はあまり強くない」
と判っていたのだそうです。

ところが戦後最大級と信じて疑わない区長の避難誘導があり、
「区長の立場を尊重して公民館に避難したが…」
と言われていました。
具体的にどうして台風が強くないことが判ったのか、
今度お会いした時に、何度もしつこく聞いて
そのキーポイントの一部でも学べたら、と考えています。

農家は昔からそれぞれが試行錯誤でいろいろな学習経験がありますが、
良くも悪くもそういう大事な知恵が次世代にうまく引き継がれないと
同じことの繰り返しになってしまいます。
私の後継者にはそういうことがないようにしたいのですが、
「言うは易(やす)く、行うは難(かた)し」
という格言の通り、
何をどう伝えれば判りやすいのか、
判りやすい整理の方法が難しいところです。

大国林道20120908.JPG
 我が家からコーヒー山に向かうのに利用する大国林道でも
 土塁があちこちに見られます。


大国林道の土塁20120908-1.JPG
 大国林道建設時に、斜面を削った時に土塁として残ったのか、
 意識的に土塁造りをしたのかは、見ただけではよく判りませんが、
 土塁に樹木が生えていて、防風効果があることは判ります。


大国林道の土塁20120908-2.JPG
 土塁に生えている植物は、
 土塁をしっかりと根で抑えるように伸びていて
 「防風土塁+防風林」
 というセットが、
 沖縄の防風対策としては理想的ではないかと思います。
posted by COFFEE CHERRY at 23:23| 沖縄 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 台風の被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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